防災とボランティアのつどい(分科会A)

防災とボランティアのつどい(午前の部)

分科会A 「被災地が主役の防災ボランティア」

コーディネーター 丸谷浩明 氏(京都大学経済研究所教授)
コメンテーター  蓮本浩介 氏(ひょうごボランタリープラザ)

午前中活動報告者からの補足説明

?愛媛県新居浜市

(災害ボランティアセンターの取り組み)

・8月中旬と9月末の台風被害では、住民だけではなく、行政との関係も大きく変わった。当初から、災害ボランティアセンター(以下センター)では災害ボランティア、自治会関係者、行政職員と一緒に毎日ミーティングを行っていた。9月の台風災害直後には、センターと行政の間で行政からセンターに対する要望、またセンターから行政への要望、行政から住民への依頼事項などを確認した。行政がその2日後、行政の対応と担当課を整理した文書を作成して新居浜市内連合自治会の会長を対象にした説明会を開催し、住民への要望も伝えた。
・9月末の台風災害では地域の中でそれぞれが助け合いをするようになり、災害ボランティアセンターに来られるかたが非常に少なくなり、被災地が中心の災害ボランティアセンターの活動となった。被災地の案内人、被災地での救護活動等、地域とボランティアさんをつなぐ役割も果たしていただいた。

(立川地区の取り組み)

・地域に避難のことをチラシなどによる一方的告知ではなく、意思表示ができるアンケートや集会で声を聞きだすことができたため、地域の実情を知ることができ、結果的に避難がスムーズにできたと思う。
・高齢者の避難には予想外の時間がかかるほか、9月末は非常に冷え込み、毛布が1枚では足りない方もいたほか、避難所では洋式トイレが必要だった。また、ペットがいるため避難しない人がいた。
・災害後は行政からの手厚い支援が受けられたが、行政は地域内の具体の状況を把握できないため、地域住民は自分たちで自分たちの身を守るということが大事だと感じた。

質疑応答

■ボランティア保険に加入していない災害ボランティア活動の対応をどうされたのか
→災害ボランティアセンターでは、8月中旬からの活動に参加したのか受付で確認した。各地域、学校単位、自治会単位など、さまざまな所属単位で活動された人には、「保険が必要な場合はセンターとしての活動で来てください」と呼びかけたが、各自治会等で保険に関しての相談はなかった。学校行事の一環として活動された場合は、ボランティア保険に頼らず、そのほかの保険で対応されたと思う。
■9月の台風では、行政から自治会向けに出した文書では、住民に依頼したい内容を率直に書いたのでしょうか。結果として住民たちの自主的な活動を生み、ボランティアセンター利用者も減らすことができたのでしょうか。お互いにできること、できないことをきちんと明記することが大事だと思う。
→たとえばごみ処理の対応方法、対応者、災害ボランティアの連絡方法、行政の支援内容などをまとめた資料を配布した。自治会長は、それぞれ地域の区長に行政、センターの対応内容とあわせ、自治会の対応内容を説明して呼びかけていただいた。結果として、1000トンのごみを2日で片づけたという地区や、災害ボランティアセンターを通さず安全管理、手洗いうがいの徹底など独自に行う自治会もあった。自治会で用意できない物資がある場合は災害ボランティアセンターで、衛生品や飲料水など提供するようにした。文書は行政が災害ボランティアセンターの要望も整理した上で出した。
(解説・コーディネーター)
・話が専門家のレベルになっているので、解説します。
・災害ボランティアセンターを立ち上げ、ボランティアを受け入れるということが、災害ボランティア活動の場合に必要になる。この分科会のテーマの「被災地が主役の防災ボランティア活動」というのは、被災者の意向をあまり尊重しないで外部のボランティアが活動してしまうことで地域への迷惑にならないよう、被災した地域の意向をよく踏まえて、地域の状況に合った活動を考えていくことが大事ということ。
・「被災地が主役」といっても、被災した地域がボランティア活動することを強調しているわけではない。被災した地域は大変な状況であるため、地域外の支援も必要であり、一方、同じ地域内でも被害がなかった人たちのボランティア活動もある。
・午前中に紹介された地域では、高校生など地域内のボランティアや近隣のボランティアが多いと思われる。しかし、マスコミなどは遠方から駆けつけたボランティアのことをとりあげるケースが多く、そのような活動もありがたいことだけれども、地域内でのボランティア活動は大事。
・災害ボランティアセンターで、地域のボランティアと地域外のボランティアをどううまくコーディネーションしていくかが課題だ。
・発言があったのは、被災地の自治会活動や地域内の助合いもすべてセンターが引き受けて調整するのは、あまり合理的でないかもしれないということ。行政が、地域内は地域内でやって、ボランティアセンターでは地域で解決できないところをやるという文書を出して、センターにあまり負担をかけず、地域の自立的な助け合いを活かすことは、ありえる話だ。ただし、都会でこれが成立するかは難しいかもしれない。自治会活動があまりない地域では、ボランティアセンターにあまり人が行かないように対処すると、頼める人がいなくなってしまうこともあろう。ここでは、新居浜市ではこういうことが行われたことに着目して議論している。
■技術者として、災害の直前対応がきちんとしている印象を受けた。ルールを決められたということだが、実際には夜中に雨量が急増するし、夜中の避難は危険で困難。かなり前からの準備が必要。例えば地域の高校生や中学生も含めて対応されたのか。
→明るいうちに避難しないといけないと承知していた。避難の後雨があがって家に帰ることになったこともあった。避難をするたびに、自治会で反省会を開き、避難した人の意見を聞いた。子どもや勤めている人は、夕方帰ってくるため、状況によっては、市街地に泊まっていただくようにした。土砂崩れなどにより地域が孤立する可能性があるので、持病を持っている高齢者にも同様にしてもらった。自治会の役員会などで話し合って、マニュアルづくりを進めている。小学生、中学生が地域にほとんどいないので、学校ぐるみで対応することはなかった。

?宮崎県宮崎市

・午前中に復興支援のためのフリーマーケットを開催したと話をしたが、その売上は県の共同募金会に全額寄附している。フリーマーケットの物品は、マスコミ関係者の協力を得て新聞等で呼びかけをした。
・1回目は、集まった物品の保管場所、売れ残りの問題があったが、当日持参いただき、売れ残りは持ってきた人が各自処分することにした。
・2回目は、規模を拡大するために、要請があれば、500円いただきレンタカーで取りに行くしくみを取り入れた。使えない物品が会場前に放置されたこともあったが、売上の一部を使い、処理した。3回目も同様のしくみにしたが、瞬く間に完売した。
・現在寄付などが集まり20万円ほどあるため、いざというときに動ける状態はできている。
・みやざき災害復興支援ネットワークは様々な団体の緩やかなネットワークとして残っているが、地域の人たちに防災意識を継続していただくためにも継続していく必要がある。
・災害が起こった後は、「災害ボランティア」を養成しようとする動きが出てくるが、今回の災害で、日頃からボランティアをしている人の動きの素晴らしさを感じたことを踏まえると「特別なボランティア」でなくていいと思う。日頃の活動が、地域の力になっていくと実感している。
・ボランティア支援活動をした地域には、外部から移り住んできた人が多く住んでいる新興住宅地や古くから住んでいるが多い農村地域もあった。
・新興住宅地の場合は、ボランティアに対するニーズが多かったが、農村地域では、当初自治会長から自分たちの助け合いで対処するからボランティアはいらないと言われた。実際には被災者同士で手伝えないので、ボランティアコーディネーターが地域で調整をつけ、支援を行うようにしたが、時間差が生じた。特に農村地域では、ボランティアの受け入れに慣れていない、拒むことがある。
・高校生のボランティアを学校単位で対応したことが新聞に報道され、ほかの学校からも多数来て、さばききれなかった。地域の実情がわかるコーディネーターが不足しており、非常に困った。どうしても同じ人に頼らざるを得なくなってしまい、中には仕事を休んで対応していただいた方もいた。
・高齢者や障害者から優先的に支援を行ったが、近隣からクレームが来たことがあった。やはりセンターで優先順位などのルールを説明しなければ、後になって問題が出てくる。
・今回の災害では、市内の活動を対象にした市民活動保険を活用した。ボランティア希望者が多くなりすぎたため、隣町の支援に行ってもらうようにしたかったが、市外での活動は保険の対象にならないために、活動ができなかった。
・ボランティアが犬にかみつかれて怪我をしたことや、熱射病で入院したケースがあった。
・センターを閉鎖する直前の週末にはたくさんのボランティアが集まったが、ニーズもたくさんなく、河川の清掃をすることにした。ところが、活動の承諾とごみの処理について行政に相談したところ、管轄が違うために一日中走り回った。こういった行政との調整やボランティアの調整などを担えるコーディネーターの存在は不可欠だと思う。
・行政職員など公務員の場合、ボランティアと同じ活動をしていても時間外手当が出ているのではないかと噂された。センターの同じ仕事を有給でしている人がいる場合、事前説明が必要でないか。
・ 設置したセンターのひとつに病院の駐車場を借りてセンターを設置し、当初はその病院の泥だしや床ふきをした。病院では診察などができないため、看護士さんに被災者の往診を協力いただいた。まず高校生に被災地をローラー作戦で回っていただき、その状況をもとに看護士さんが往診に出かけた。

質疑応答

■けがや日射病があったということですが、狂犬病とか重大な病気はあったのでしょうか。防災ボランティアの安全衛生マニュアルをつくっているので参考にしていただきたい。
→一応救急の措置をし、救急病院にすぐ連れていったが、大きなけがではなかった。県外からのボランティアで糖尿病のためインシュリンを打たないまま作業をしていて入院された方がいた。
■糖尿病も死の危険がある。
■社会福祉協議会の職員は、給料は出ているが、残業手当は出ていない。
■ボランティアコーディネートは非常に多忙であるためついついできないことがあるが、センターに訪れたボランティアに被害の状況や活動の説明、なぜその仕事が大事なのか理由などを説明されたのか。
→そのことは、大事だと思っている。日ごろボランティアをしている人は、支援が行き届いていない「すきま」を見つけることが訓練されている。依頼したことの理解が早く、対応も的を射ている。
(解説・コーディネーター)
・日頃のボランティア活動が災害についてなかなか広がらないことが、各地で問題になっている。災害救援だけでなく、災害に強いまちづくりをボランティア活動しようというときに、、「災害ばかり考えると疲れてしまい、長続きしない」という悩みを聞いている。
・地震災害の備えを毎年繰り返すうち、地震が来ないと疲れてしまうため、「防災だけをやらなくてもいい」、「防災の活動ではない町の活動に防災の味つけをしましょう、防災の観点を加えましょう」といったアプローチの方が長続きするし、広がりがあるのではないかという検討結果が、有識者の会合から出ている。
・日頃活動しているボランティアが力を合わせて防災に取り組めばうまくいくし、地域活動として別のこともやっていくと、防災も続くのではないか。当然、防災にまじめに取り組んだほうがいいが、防災だけでずっと長くやっていくというのは、災害を待っているようになってしまい、よくないのではないかとという点で、興味深い。
・日ごろ頼りになるのはどういう人なのかの議論も重ねられていた。災害ボランティアセンターの担い手を社協や行政が探すとき、地元のNPO活動、地域活動をやっている人に聞いてみるという話題も今まで出てきていた。実際に最近の災害でも、そういった例が少なくない。地域のポテンシャルや、地域でボランティア活動をするためのコツ、地域の人脈のようなものを活かしていくことが注目されると思う。

?山口県美川町

・災害発生時、東西南北に長い美川町の地形が、大体二分された状態になった。迂回路も土砂崩れのために地域が陸の孤島化し、人口1700人、850世帯のうち172戸の床上浸水、床下が92戸という被害状況だった。
・役場も被害状況がつかめないなかで、防災無線を使いながらボランティアセンターの立ち上げ準備を進めた。最初の2日間は町内を中心にボランティアの募集をかけ約12名が活動された。9月9日にボランティアセンターが立ち上がり、県内外からの一般のボランティアを募集したが、災害専門のボランティア団体が現場を見られて、運営について夜のミーティングなどでアドバイスをしていただいたことで円滑に動いたと思う。
・土日には学生ボランティアや県職員も多く来たが、平日は減少したため、地域の中学生や周辺の高校生に呼びかけて、100名ぐらいの高校生が活動した。そのことが災害で落ち込んだ地域住民に、少し明るい兆しが見えてきたような気がする。
・立ち上げから10日間で、災害ボランティアセンターは閉所したが、初めてボランティアに参加し、ボランティアの大切さ、やりがいを感じた。その後、知識や技術はないが、なにかお手伝いをしたいという人たちが集まり、10月1日に名前を改めて「清流レンジャー」が正式に立ち上がった。
・災害のため通行が困難になっていることや高齢者が多いため、数多くの支援物資や日用品等の消耗品をバケツに詰めて、地元の中学生とボランティアで配布することから始めた。センターが閉所した後、地元は地元の力で復興していこうという意識が少しずつ出てきて清流レンジャーの活動ができたように思う。
・ 後日ブログを開設し、暖房器具等の募集をしたところ、全国から数多くの支援物資が届いた。それを保管する場所も手狭になり、被災されたお店でを無料開放していただき、支援物資を陳列して無料で持ち帰れる「清流ストア」を開設した。

質疑応答

■高校生にはどのように呼びかけたのか。
→周辺の5〜6校に、直接電話し相談し、日程などは先方の高校にお任せした。授業の一環でボランティア活動をする予定であった高校もあり、多くの高校生に入っていただけた。
■(コーディネーター)ボランティア活動に今回初めて参加されたとのことだが、いままでに地域の活動をされていたのか、仲間の方のことも含めて教えていただきたい。
→もともと美川町はボランティアグループがなかった。仕事柄、地元を歩いているため細かい地区、ここにどういう人がいるかがわかっていた。ボランティアセンターを運営する側で地元の人間は私一人で、あとは県の社協職員などと一緒にやっていた。清流レンジャーは主に主婦や、仕事を持ちながら子育てをしている方、女子高生など、女性が多い。
■清流レンジャーのメンバーでは、例えば生理用品、トイレ、着替えなど女性ならでは問題について考えられたことや発見はあったのか。
→一般ボランティアにも女性が多かった。簡易トイレが町内に複数設置されたが、現場で活動する場合は水分も摂らないといけないため、困った状況もあったかもしれない。ボランティアは体調が崩れても訴えることが少ないかもしれないが、ボランティアセンターでは看護士にいていただき、遠慮なく相談できたかと思う。途中からは親戚などが物資や食料を支援されるようになり、確認は取っていないが、生理用品などは足りていたのではないかと思う。
→山口県内で「守っちゃれ山口」という各地にある災害救援ボランティアグループや防災関係者の緩やかなネットワークがある。所属しているメンバーはそれぞれの経験を活かして応援を行っており、今回も活躍した。日頃のイベント等を通じて顔見知りになっていたため、地元の意見を尊重しながら支えるという視点でサポートした。報告していただいたお一人は介護中心のサポート、もう一人はセンター運営を担っていた。当初は地元の社協職員と勘違いしたくらい地元の地名を知っており、判断も早かった。本業の仕事も休むことなく続けていたのでご苦労もあったと思うが、役場や組織、自治会などのキーパーソンとのパイプ役になっていただき、外部のボランティアにとっては非常にありがたい存在だった。
(解説・コーディネーター)
・内閣府の「防災ボランティア活動検討会」では、災害ボランティア活動における女性の視点についても議論され、その議事録も公開されているので、ご参考に。また意見いただきたい。
・外部からのボランティアが、地域を知らない、地元の文化を知らないことをよくわかっていて、地域を支えるという視点で何が一番ふさわしいのかを考えたことが。今回のテーマのひとつのキーワードと思う。

【3地域に対しての意見交換】

■新潟県中越地震の経験から、地元に社協職員やボランティアに参加できる方がほとんどいない地域も多いと思う。やはり地元で、ボランティア活動を十分経験した人がいることは大きな違いだと思う。外部の応援団との関係で困った点や克服した点について教えていただきたい。
(新居浜市)
・当初は外部からの支援がよくあったが、災害ボランティアセンターは新居浜市の被災地のために寄り添いながら支え合う、寄り添いながら活動していただけるかたを受け入れ、自分の主張を押し付けるようなかたはお断りして帰っていただいた。
(美川町)
・「守っちゃれ山口」が支援に入って比較的被災地中心にうまくいった。一方、岩国市ではボランティアセンターの設置は早かったが、市外のボランティアを受け入れないことを表明していたため、知っている人もいたが、応援することができず残念だった。
(宮崎市)
・ 宮崎市の隣にある高岡町も宮崎市同様大変な被害を受けたが、外部からの応援が少なかった。外部者の能力が分からないため、安全なところにだけ送っていた。その後1週間ほどたって被害がひどかったところにボランティアが行くという状態になった。宮崎市と違い、NPO団体もなく、ボランティアもお年寄りと女性中心だったとのことだが、これまで宮崎市とのつながりがなく、顔が通じていなかった。社協職員が非常に少なく、大変な地域はたくさんあるので、そういった地域と日ごろにつながりや地元の動きをつくっておくことが大事だと思う。
(参加者からの発言)
・高山市でも、平成16年台風23号で被災し、ボランティアセンターを設置したが、地元ボランティアの活動があり助かった。別の地域の支援に行ったときのこと、ボランティアセンターを立ち上げたが、ある産業でものを出荷しているため、早く災害が収束の方向に向かわないと、あの町に仕事は頼めないとの風評が流れるため、ニーズが減ったら早くボランティアセンターを閉めようということになった。しかし、地域外のボランティアから「なぜ早く閉めるのか。私たちは10年以上災害ボランティアをやっているから、知っている人間の話をよく聞け」とクレームがでたりした。地元のニーズを大切にする活動が、本当に大事なのだということをその場面でも感じた。
・自治体職員に「今ここでボランティアセンターをやると決めないとだめなんですよ」と言ってしまうと、前例のない災害で混乱し、担当者だけでは決裁できないこともあり、相手のことを考えながら進めなければいけないことを痛感したことがある。
(解説・コーディネーター・コメンテーター)
・ボランティア活動は被災者中心とか、被災者が主役というと、外に頼んではいけないと思われてしまうので、あまり正確でないように思う。外部から来てもらいたいなら来てもらうようにしなければならず、、そのため、日頃から地元も努力をしなければいけない。都道府県社協などの役割はその意味で大きいと思う。
・ボランティアの経験やネットワークを持つ方ならば、トラブルになりそうなボランティアに帰ってくれといっても、マスコミの批判なども押さえる自信も持てるだろうが、初めてだと難しいと思う。、せっかく来てもらっても、一緒に活動すると問題と思われる場合、相談できる人がいるといいのではないかと思う。
・今日の発言者の中にはそういった経験がある人がいらっしゃるので、このつどいの機会に知り合っておき、電話などで相談ができるとよいのではないか。
・被災地が中心、主役になるのは結果であり、そのプロセスでは、地元が助けてほしいという希望、本音をうまくメッセージとして出せる仕組みがなければならない。本当は助けが欲しいが、行政や社協がつかんでおらず、要りませんとならないように。
・次に、たくさんのボランティアが被災地に集まった場合、地域を重視して活動してもらうよう調整する2つ目のプロセスがあり、それがポイントになる。うまくいけば、被災地が主役になる。被災地だけが働くのではなく、外部からの支援者も有効に働くと理解すべき。
・被災地が中心だから被災地独立で頑張る必要はまったくない。またニーズを発信することをためらう必要も全くない。ニーズがかなえられるという情報をインプットしてあげて、ニーズを引き出すことも「被災地が主役」ということにまったく反するものではない。
・(コメンテーター)被災地のことや本来のコーディネーションを考えると、来ていただいたボランティアに、本当は、帰ってくれと言うのは、負けかなと思う。よい解決策はないが、来ていただいたボランティアの思いを開花させ、支援活動につなげていくことを考えて、仕掛けていくのがコーディネーターの果たす役割だと思う。なかなかできるようでできないが、被災者に寄り添った視点を持っていただき、帰っていただけることも考えていく必要があるだろう。いい知恵があればぜひ聞きたい。

フリーディスカッション

?除雪ボランティア活動について

■昨年末ぐらいから雪害がひどくなり、除雪ボランティアが大勢参加するようになっているが、その安全衛生対策を心配している。「雪氷災害調査検討委員会」がホームページをつくっているが、衛生対策はほとんど着手されていない。除雪作業は重労働のため、心臓病や脳卒中などが心配される。被災地で自主的に取り組んでいる例があれば、教えていただきたい。
(参加者からの発言)
・飛騨高山でもたくさんの雪が降ったため、社会福祉協議会が災害ボランティアセンターを設置したが、屋根の上での作業は危険だったためやらないことにした。ただし、独居老人では屋根の雪を下ろすことができず、業者に頼むと10万円以上かかるため悩みではある。長野県では、県社協が中心になり災害ボランティアセンターを設置したが、軒先や玄関などの危険を伴わない作業に限定している。
・地域外から雪下ろしのために長岡市栃尾地区にいっている。必ず事前に「雪に関しては素人で知識もない学生の作業であることを考慮してコーディネートしてください」とお願いしている。学生OBの消防職員、医療職、救命士が、経験のある4年生に対して事前のレクチャーを行い、現場では安全管理要員として1〜3年の作業を見守りや依頼者とのコミュニケーションを図るようにしている。
・新潟県は今年予想以上に雪が降って困っている。県では、自衛隊、消防団、消防署員、行政職員あるいは社協職員、それで間に合わない場合ボランティアというように優先順位をつけて対応している。そのためボランティアも、雪掘りや豪雪地帯にはほとんど出していません。ボランティアには「雪掘りボランティアスコップ2006」という登録制をとっており、登録は800人を超えている。いろいろな細かい制約もあるが、慣れている方がほとんどだと思う。そのほか、各市町村が個人的な交渉でボランティアを募集している。県内では17〜18名死亡され、けがも80人も出ているため、雪の経験がないと、ボランティアの事故が出てしまうことも考えられ、非常に苦慮している。
(解説・コーディネーター)
・内閣府にいたとき、新潟県中越地震では現地のボランティア担当課長と除雪作業などに伴う事故が起こらないように頻繁に連絡をとり、一部ボランティアが危ない雪下ろしをしているのではないかという情報があるたびに、ぴりぴりしていたという経験もある。行政サイドも社協も事故が起こると大変なことになる。ボランティアセンターを通さない活動であっても、同じように厳しい状況になることが予想される、心配だということは分かる。

?大規模災害の対応について

■大規模な災害が起こった場合、都道府県単位や市町村単位での対応というのは検討されているのでしょうか。地域によっては重化学工業や発電所などの非常に危険な地域もあるため、どのような対処が検討されているのか。また、そのような場合のボランティアセンターの運営は個別に検討されているのか。
(参加者・コーディネーターからの発言)
・(コーディネーター)重化学工業や発電所などの対応は専門家による回答が必要であり、この場にはその専門家がいない。避難についてはボランティアには直接関係のない話題。広域災害対策をテーマにしたシンポジウムなどで発言を。ただし、広域的な災害、超巨大災害対策、東海地震、首都直下地震、東南海・南海地震時のボランティア活動については「防災ボランティア活動検討会」で議論されている。
・大規模災害の場合、被災地に入ることが危険と考えられる場合は安全衛生管理上問題があるため、ボランティア活動ができないと思われる。行くべきではないというメッセージを出すことになるだろう。
・広域災害の対応はやってみると難しい。災害時に権限や役割分担がはっきりしていないため、たくさんの災害ボランティアが集まってやる作業ではないだろうと考える。広域災害の中心では、災害ボランティアの経験者が自分の生活拠点で災害ボランティアセンターを立ち上げる形になると思う。
・弾薬庫関係、軍関係、自衛隊関係も避けていただきたい。

?復興期のボランティア活動

(話題提供)長岡市の仮設住宅近くでお茶飲みサロンを開き、被災者との話す機会からニーズを見出すような形で、被災者の声を取りまとめた。2005年12月からは足湯マッサージとお茶飲みサロンを仮設住宅の集会所で行っているが、その中で、ボランティア活動へ依存しているように感じている。新潟県中越地域ではこれから被災者が主体性を持って団結し、復興していくことが望まれる。地域外からのボランティアはいずれ離れなければならず、ボランティアセンターや社協などとつながりをもって、新しい活動を見出していかなければならないと感じている。地域を重視したボランティア活動や、地域のメッセージをうまくひき出せるしくみづくり、地域の人々と仮設住宅の人々をつなげる役割を果たしていきたいと考えている。
(参加者・コーディネーターからの発言)
・(コーディネーター)復旧段階での「主役」とは違い、復興の段階になるとまさに被災地が主役となってくる問題があり、非常に重要な話題提供と思う。
・支援している仮設住宅は、集落単位の仮設住宅から外れてしまった人を中心とした仮設住宅で、やはり人間関係に戸惑っておられる人もおり、その特殊性がひとつの原因だと思う。仮設住宅から来る人たちに「救援物資もありますのでぜひお茶飲みサロンに来てほしい」ということを前面に出したために、最近はお茶飲みサロンを開いていても、「今日は何があるのかしら」「今日はこういうものをもらえるのでしょう」というように、自分たちが被災者という意識があるように思える。その依存を解決する手段として、「一緒にやりませんか」ということを提案している。
・中越でもバラバラに入れられている仮設住宅はあり、個別に住んでいる。初期に物資を介在させてコミュニケーションをとろうとしたことがあったため、対応のしかたが以前の物資をくれた人たちとだぶっていると見られるのかもしれない。被災者の変化に気づいて、みんなと一緒にやろうという解決策を打ち出したことは評価できる。
・地域住民を対象にした防災講座やボランティア向けの防災講座をやっている中で気がついたことがある。防災講座の受講者は、被災地支援のためのボランティア活動よりも、自分の地域が被災したときに力になりたいという意思で講座を受けられている人が多い。ボランティア向けの防災講座の受講者は、自治会活動に参加していない割合が多い。そのため、地元のボランティアと地元の組織のつながりはとても大事になってくるのではないだろうか。自治会関係者に広域災害のときにボランティアの支援はあるのか、また自治会が高齢化し、参加する若い人もいないという悩みをよく聞く。同じ地域内で自治会関係者とボランティア関係者をつないでいく事例や経験があれば教えていただきたい。
・(コーディネーター)自治会の高齢化問題、ジェネレーションギャップの問題が、防災まちづくりの分野では気になるという話題を聞いたことがある。自治会を仕切っておられる方と年齢ギャップがあり、入っても意見が通らない、話をきいてもらわないとのこともあるらしい。
・災害ボランティア講座、コーディネーター養成講座でも、平均年齢が非常に高いケースがある。対象とした地域以外からの参加者が多いケースもある。そのため、小学校単位を対象に、コーディネーターの養成、自主防災組織の立ち上げをと、PTAを対象にした避難所運営や災害図上訓練などを予定している。
・復興支援フリーマーケットは非常にリクエストがあるが、いつかは打ち切る必要があると感じている。また、災害ボランティアを続けている青年には入り込みすぎて、社会に戻れなくなっている人もいる。抜けられない人は普段社会になじめない人が多いため、普通の社会に戻してあげる必要がある。
・防災というテーマではなく、防災だけではなく防犯もふくめた「安心・安全」というテーマにして、地域の助け合いの当事者でいてもらうように工夫している。現在、地域の介助必要度調査を実施しており、手助けの必要な人を分かりやすくチェックできるような度数づくりを進めている。この結果を地域にフィードバックし、地域が動き出すというしかけになればと思っている。いろんな人が関わらないと地域はなかなか動かないと思う。
・新潟県川口町で災害ボランティア活動をしていたとき、引き揚げるタイミングの難しさを感じた。現場の先輩や経験者から「いずれボランティアはいなくなるのだということを常に肝に銘じて動け」と忠告されて活動していた
・ボランティアに関心があるという人は非常に多いと思う。関心のある人の熱意や行動力を地域の活動にうまく活かすことができればと思う。
・新潟県中越地震では各県から多くの社協職員が集まったが、それぞれの社協が地元で活動していれば、足湯サービス、歌を歌うなどのいろんなアイデアが出てくる。しかし、出てきたアイデアを地元の社協職員や自治会長が引き継げるかどうかは問題になってくる。被災地の方が求める継続的なイベントについては、選別を行い、実際に引き継ぐ相手を見据える必要があるのでは。
・防災ボランティア講座やコーディネーター講座が各地でされているが、防災に関する知識よりも、人間関係づくりや対話ができることが大事なのではないかと思う。
・地域によっては差別的な部分が町でも村でもある。ボランティアは短期的に均等に支援できるが、ボランティアが終了してそこから出ていった場合、もともと地域内で差別されていた災害弱者と呼ばれるかたがたに、果たしてどう支援を続けられるか、彼らの自立をどう継続してあげられるかということが、また一つ難しいところ。何かこうしたことによってよくなったという経験をされた方は。
・日ごろから独り暮らしをしている方はボランティアにより非常に安心されるため、ボランティアがいなくなることに対して不安を訴えられることはよくある。
・ボランティア活動の引き継ぎ方では、行政の福祉窓口とか、民生委員などを紹介し、たずねるように紹介し、一方で紹介したセクションにもニーズがあったからぜひ聞いてきれと伝え、その後、聞いてもらえたと電話すると、つながってきたと実感している。
・被災した地域の高齢者は、ボランティアの若い人たちと話をする機会ができたことを非常に喜んでいて、若者の活動は非常にありがたい。
・地域によっては、保健士が家族構成やかかっている病院などを知り、かかわりを持っている。そういう方は、メンタル面も考えて引き継いでもらえ、引き際がみつかるのではないかと感じる。
・(コーディネーター)被災地でボランティア活動の支援を引き継いでいただける役割を持っている人を見つけ出すこともボランティア活動の中に含めていくしかないのではないかと思う。

?地域コミュニティ活動とボランティア活動の接点

(参加者・コーディネーターからの発言)
・社会福祉協議会で防災活動や自治会の防災講習会の相談を受けた経験では、「地域活動はたくさんやることがあり、いつ来るか分からない災害のために時間やお金をかけられない」のが本音ではないかと思った。そういった中で、環境や福祉分野の活動のなかで、災害時の応急対応に備えた防災活動に取り組む動きもある。
・社会福祉協議会に防災バンクのためのボランティア登録制度をつくったところ、高齢者の登録が多かった。話を聞くと、自身が不安を抱えている人がたくさんいた。
・日ごろ福祉の活動をしている方は、地域の安全安心を考えて行くと、災害時に何か役に立つことができる。
・災害の専門性を持つグループは、普段地域で活動している人たちに、災害時の視点でみて、日ごろの地域活動の中でどんなことが役立つか情報として提供できると思う。
・町会や自治会関係者は自分の町の状況はわかるが、NPOやボランティア団体、防災活動の情報は持っていないために、ボランティアに声をかける機会は少ないと思う。そのためにはNPOやボランティア団体などが日ごろから地域とどのように関わるかが問題となってくるだろう。
・自治会によってはバス旅行などをしている機会に参加して顔見知りになっておくことができるのではないか。以前、地域内で放火事件が相次いだため、知っている地域の人とパトロールをするようになった。市の防災訓練は災害でいのちが助かったことを前提に行うが、まずいのちが助かるためにできることに取り組めば、参加者は増えるのではないだろうか。
・高齢者が活躍している地域は若い人たちが参加しにくくなるため、工夫は必要になる。
・地域に直接関わることが難しいのであれば、青年会議所のような比較的年齢が近い組織に関わるところからできると思う。青年会議所はOBもたくさんいてネットワークももっているため、災害時のボランティア活動やセンター運営にも力になってもらえると思う。
・最近ふだんの地域防災活動の中で、NPOと自治会のかたが連携を図られているという事例は実際ある。都市部になるが、自治会がイベントに防災活動を取り組みたいと東京のボランティア団体に相談した例がある。そこでは自治会の人に動いてもらうように、NPOは人集めや会場づくりなど地域が主体的に取り組むためのメニューを出して進めている。
・防災訓練だけでなく、地域づくりの調査を行い、そこにボランティアが参加し、調査の結果を地域に紹介していくこともひとつの関わり方だと思う。
・ボランティアでは、NPOの活動と地縁グループの連携がますます求められるが、被災地ではいろいろ問題が起こっているので、連携の事例や連携していく現場を提供していると思う。
(コメンテーター)
・日ごろの地域の活動や見守りなどを通じて、地域内の人と人をつなぐことや「災害にも強い」取り組みを取り入れていただけることができるのではないか。
・地域内で取り組むことが難しい場合、「災害にも強い地域づくり」のために災害経験のあるボランティアが関わることもできると思う。分科会の話題ではさまざまな事例やヒントが出てきて、参考になった。

内閣府(災害予防担当)

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内閣府政策統括官(防災担当)

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