日吉学区防災安全まちづくり委員会

日吉学区防災安全まちづくり委員会


1.防災まちづくり活動の経緯

・日吉学区は人口約8,000人、名古屋駅西側に位置し、「日吉」という太閤秀吉の幼名を持つ由緒ある地域だが、戦前からの古い木造密集地域、軟弱地盤、高齢化など防災に関しては数々の弱点もある。
・東海・東南海地震対策に短期間で取組む必要性が求められる中、阪神・淡路大震災では地域の人たちが協力し合った地域では被害が少なかったというレスキューストックヤード関係者の講演を契機に、限られた地域資源でいかに早く確実に地域防災力の向上ができるかを考えた。
・その結果、地域のさまざまな人々が多様な方法で参加し、多角的に地域防災力を高める活動メニューを発案。全体を『プロジェクトH』と名づけ、平成12年より具体的な活動をスタートさせた。
2.プロジェクトHの内容

(1)先進的な取組み:プロジェクトHの中核
①R2(あるある)パック(レスキュー&リサイクル)
 ・阪神・淡路大震災ボランティアが各家庭で備えておくべき非常用持ち出し防災用品として上げた17品目を揃えるために、地域住民が持ち寄った不用品(リュックなど)を防災用品の一部として再利用、配布する。ゴミの削減、手軽で安価な防災用品の調達の一挙両得作戦。
②実践研修会(地震の揺れによる屋内の危険に関する研修とその実践)
 ・防災技術者(家具の固定を行なえる人)の養成研修。地元大学教授を招聘、地震の揺れと家屋の危険に関する研修を受けたのち、地元NPOとタイアップし、家具の固定の方法を学習。事前に依頼のあった高齢者宅に出向き、実地研修を兼ねて家具固定対策を実施。併せて高齢者宅の他の危険解消(高いところに置かれた重いものをおろすなど)も行なった。
③模擬避難所体験
  ・災害時に避難所となる場所を使った避難所体験。学校の校庭やコミュニティセンター会議室、また車中などをいろいろな季節に体験。寝にくいこと、冬の避難所は寒いこと、グラウンドではテントもなく雨天時には居ることもままならないことなど、避難所生活の不便さを実体験するとともに、その解決策を考える。
④厳選防災用品の共同購入事業
・(避難所体験等を通して体験的に分った)個人単位で準備しておくべき備品のうち、個人ではなかなか入手しにくい用品を共同購入し、斡旋する。委員会メンバーが地域で流用できない必要品を厳選、東奔西走し安くてよい品物を探して、実施している(例:防寒シュラフ)。
⑤防災伝道活動
 ・自分たちの地域で経験した防災活動や先進的な取組みを発表し、地域での防災のあり方を“伝道”するもの(行政や関係機関による防災活動への協力、全国規模の防災講演会等にパネラー出席、ホームページ開設、防災啓発ビデオ作成やTVの防災番組に協力するなど)。
(2)地域防災力向上の取組み:プロジェクトHの中で、即効的に地域防災力の向上を図るもの
①学区基礎力養成講習
 ・基礎力養成訓練:公園、グラウンドなどにおいて、全ての参加者が初期消火、避難誘導、応急救護など基礎的な技術を習得するための訓練。1,000人規模の訓練。
②リーダー養成講習
 ・地域の防災リーダー(自主防災組織の中核となる人たち)養成が目的。より実践的な知識を習得するため、東海地震の図上訓練などを、消防組合署員のアドバイスを受けながら実施。
③区民運動会
 ・希薄化する地域コミュニティ強化策として、地域運動会を活用。参加者を増やす工夫をはじめ、競技種目には火消競技や防災救助作戦といった防災色も加えている。
④防災倉庫の設置
・町内会単位で設置し、資機材や住民の非常用食料等の保管を行う。災害時の活動マニュアルのもと、防災訓練として倉庫の資機材等を利用したり、新たな資機材の補填なども行なっている。
・外壁のデザインは子どもたちと一緒に決めてペイントもする(防災は地味になりがちなので、明るい、はなやかな、可愛いデザインなどに)。
⑤防災安心マップの作成
・2町単位で子ども、要援護者、地域ボランティアを募集、一緒に自分の町を歩き、資源、危険箇所、要掩護者宅をチェックし、マップ化する。
・子どもは要掩護者宅に訪問し居住環境や身体状況、生活のようす(必要な介助、就寝場所など)、災害時に利用する避難所の場所などを調べる。(この情報は「お助けカード」(※)作成に活かす)
・マップ上で災害時を想定した図上訓練を実施。
・マップ情報を整理、A3サイズにまとめて全戸配布
⑥「お助けカード」の作成(※)
・災害時に避難誘導を希望する要援護者世帯と地域ボランティアを募集。要援護者一人につき数名のボランティアによるチームで日頃の見守りや災害時の安否確認、避難誘導を行なうもの
・要援護者の情報はチーム内でのみ共有情報として保管、その他の人には知らせない(ただし、各人の情報は本人の了承を得て一元化、一括して区政協力委員長が保管)
・チームごとに共同の防災マップ(要援護者宅の位置や避難ルート、ボランティアの自宅位置、連絡先など記載)を用意。訓練としては「ボウサイDAYキャンプ」の避難誘導訓練時に使用。
⑦各町内会の訓練
・伝達研修、防災器具等の取り扱い訓練
・地域密着型訓練⇒生活の場所を会場として、突然の地震発生への対処法を体験する実践訓練(実施例:防災倉庫の活用訓練として、倉庫前に現地本部設置、要援護者避難誘導のための人手の手配や消化救出活動用資機材の調整などを行なった)    など
3.活動の成果
・各種の活動が認められ、消防庁より「消防科学総合センター理事長賞」を受賞(2006.2)
・内閣府・名古屋市等主催の「第2回全国防災まちづくりフォーラム」(2006.8)において、全国及び愛知県内の先進事例16団体の一つとして寸劇形式で活動発表。審査の結果「審査特別賞」を受賞した。
 

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内閣府政策統括官(防災担当)

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