わがやネット

わがやネット「かぐてんぼう隊」


1.活動を始めた経緯
・「わがやネット」は福祉住環境コーディネーター中部推進協議会で、家庭内事故をなくすというテーマに取り組むため、2000年に発足した組織である。
・「かぐてんぼう隊」は、わがやネットとしての活動を進める中で、住宅を改修した人から「(段差などをなくしても災害時には)家具の下敷きで死ぬのか」という言葉を聞いたことと、大学教授からの「(建築学科の)学生に社会貢献をさせたい」という言葉を契機に、「家具の転倒防止対策」を行なう施工部隊として、平成16年12月に発足した。平成17年8月現在、隊員は学生・社会人60名、施工実績は150件にのぼる。学生部隊は毎週土曜日に活動、社会人部隊は単発的に活動を行なっている。
・昨年は、まず建築学科学生に養成研修を行ない、実践実習を兼ねて「施工キャンペーン」を開催したところ、縁あって天白区の民生委員経由で対象者を募集でき、30件施工した。これがマスコミに取り上げられ、100件近い問い合わせがあった。ニーズが高いことを知り、学生有志だけでなく地域住民による施工部隊を育てる必要性や施工方法を確立する必要性を感じ、養成研修用テキストを編集し、養成講座を開催し、社会人部隊を作った。
・このほか、施工グッズを集めたり作成したりすることも始めている。
2.施工キャンペーンの実際
(1)施工前の準備
①壁の下地、家具の配置、利用者の状況(身体状況、施工日程の都合等)事前確認
②模様替え申請書類の準備(平面図、家具固定の仕様図、現況写真)
③利用者や家族、立会人に施工の説明を行い「承諾書」への記名・捺印を頂く
④近隣への騒音配慮として掲示板に「お願い書」の掲示
⑤利用者に両隣、上下階へ「お願い書」を持参してもらう
⑥利用者に近隣の状況を聞く(トラブル回避のため)
⑦関係機関へ模様替え申請の提出
⑧施工当日のチーム人員割り振りを検討
⑨駐車場の有無を確認
⑩使用金物の購入 が事前準備である。
(2)施工当日の確認事項(本部をコミュニティセンターなどに置き、下記の確認をする)
①隊員のグループ
②施工場所
③利用者
④近隣住民
⑤予想されるトラブル回避方法
⑥事故対処の連絡などの説明
(3)施工
・3人一組のチームに分かれて現場へ行く。
・施工終了後は、写真を撮り、掃除を行い、きちんと挨拶をして帰ることを徹底
・施工当日の昼食時に午前中の反省を行う。
・午後の施工終了時は、皆疲れているため、隊員の一言スピーチを行い解散。
(4)その他
   ・かぐてんぼう隊の活動を行う場合、代表の工務店での設計・施工の現場経験を活かし、考えられる危機(リスク)を洗い出し、執行部メンバーや弁護士、施工依頼者・団体(利用者、社会福祉協議会、管理組合)などと相談し、危機回避の方法を検討しながら、「かぐてんぼう隊派遣事業」を行っている。
(注)当会では、2006年4月以降、公営住宅以外の分譲、民間賃貸マンションにおいても模様替え申請を管理組合、建物持ち主に提出するようにしている。
3.活動の成果、普及活動

・実地研修は区の社協などとも連携して行なっている。市の供給公社で実施した際は、守山区の防災ボランティアネットワークにやってもらった。トラブル防止の書類を用意し、利用者自身に近隣に配布してもらったが、工事クレームはなかった。むしろ近隣からなぜ一般市民にはやってくれないのかという“クレーム”が出たほどだ。65歳以上という枠組みをはずすことも考えなければいけないのでは、と思っている。
・普及活動としては、介護者家族のための講座、施工講座、かぐてんぼう隊員養成講座を、社協やシルバーセンターなどとの連携で行なっており、徳島など他地域にも出かけているが、大変関心が高く、講座などには大勢が集まってくる。
4.課 題

①隊員養成の結果、隊員数は増えるが、施工のプロの参加がまだ少ないこと ⇒全国建設労働組合総連合愛知各支部の大工職人の紹介を受け、分隊長としてサポート活動をしていただけるよう働きかけ中
②事前及びフォロー調査を含め、事務的作業を行なう人員の補強、事務局員確保のための運営費の捻出 ⇒施工の有償化や、対象(高齢者限定)の拡大などを検討中
③施工検討会の実施 ⇒事前調査では把握しにくい下地の状況などについては、施工のプロが加入すればケースバイケースの対応ができていく。これら施工上の問題点などについて、今後は隊員による検討会を実施していく必要性も感じている。
④利用者とのコミュニケーション ⇒我々の本来の活動目的は、地域福祉、学生教育、生涯現役の活動であり、利用者との対話は重要な要素であるが、現在は隊員数等の制約から、そこまで余裕のある施工期間をとれない。隊員や分隊長の人員確保を進めながら、本来の目的を達成できる環境を作っていきたい。
 

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