福住町町内会の取組み  1

岩滑(やなべ)区自主防災会


1.取組みの経緯
・愛知県半田市岩滑区は知多半島の中央にあり、世帯数約2,400、人口6,400人の住宅を中心とする街で、もともとコミュニティ活動が盛んな街である。ただし防災に関しては、自主防災会は約30年前から組織されていたものの、活動は代々の町内会長があて職として担当し、年1回の防災訓練に留まっていた。
・東海・東南海地震対策が叫ばれるようになった3年前、県の「減災のための防災のまちづくり事業」のモデル地区となったことを契機に、大きな災害にあっても被害を最小限にし、とりわけ人的被害のない地域作りをめざし、新たな防災まちづくり活動に取り組むこととなった。
・そのためにはまず体制づくりに着目、2004年3月に自主防災組織を再編成し、地区内に7つのブロック防災会(1ブロック約300世帯)を新設し、各ブロックが自主活動を行なえるようにした。
・また災害時に具体的な活動をすみやかに行なえるよう「情報班」「救出・救護班」「消火班」「避難・誘導班」「給食・給水班」を設置した。住民総参加の活動を目指し、隣組単位(約10世帯)を核に、1世帯1人以上が何らかの活動班に所属することを目標とした。
・組織のリーダーである町内会長や隣組長は毎年交代するが、引継ぎをうまく行い、また役員OBの活用などを含め、層の厚い活動体制を作りあげることに成功しつつある。
・具体的な活動内容についても、まず各ブロック防災会でどんな活動を行なうかについて、住民によるワークショップ形式で提案をまとめ、これを持ち寄って全体で取り組む内容の絞込みを行なった。決まった形の活動をトップダウンで行なう従来のスタイルに比べ、企画からの参加は多くの人々の当事者意識や参加意欲を高める大切な方法でもあるからだ。
2.主な活動内容
(1)家具転倒防止対策
・自主防災会役員が建築士会や大工さんから方法を学んだ上で、災害時要援護者世帯などの自宅に出向き対策を講じるもので、これまで94人のボランティアが参加した。
・要援護者の家具固定は無料、一般住民には道工具を貸出し、必要器具は自己負担してもらう。
・この取組みは市内でも高く評価され評判を呼び、平成18年度には、自主防災会が中心となって行なうこの方法を『岩滑方式』として、半田市の他の地区でも実施することになった。
(2)安否確認
・全世帯の家族名簿を作成、隣組長が全員の安否を確認し区で集約する仕組みを作った。
・全世帯参加により訓練を行ったところ、40分で全員の確認ができた。
(3)水害防災訓練
・2006年11月に大雨による災害想定に基づき、区内全域の水防訓練を実施。住民730世帯約1,200人が参加し、愛知県河川課の応援のもと水害対策の重要性についても認識できた。
・2000年の東海豪雨など過去に水害に遭った住民を中心対象に、アンケート調査や「水害勉強会」を実施し、平成18年度中に避難マニュアルを作成する予定。
(4)その他
・防災倉庫の設置、防災器具の補填(各ブロック)
・通学路のブロック塀診断、住宅の耐震診断に着手(地元建築士会や大工さんの協力により実施)
・各種防災訓練:(例)上記安否確認訓練時には避難所への避難・誘導訓練も行なったが、全世帯の半数に近い約1,000世帯が参加した。
3.活動の成果と課題
・成果としては、「役員の防災」から「住民の防災」になり盛り上がりが出たこと、世代間の役割分担がうまくいくようになったこと、専門家との連携で防災まちづくりの質を上げることができたこと、さらに私達の試みが半田市や愛知県の参考に少しはなったのではないかということなどある。これからも継続して進めたい。
・2006年8月名古屋市で開催された「第2回全国防災まちづくりフォーラム」において、全国及び愛知県内の防災まちづくり先進事例16団体の1つとして活動の発表を行なった。これを契機に、他都市の活動団体が当活動の研修に訪れるなど、広域的な交流も始まっている。
・永続的な活動に向けた課題として、当面次のような点を「宿題」と考えている。
①活動の発展、継続にはリーダーの自覚とリーダーシップが欠かせないが、現状では役員OBがリーダーに就任するケースが多い。若い人たちにもリーダーとなってもらう手立てをどうするか。
②婦人や子どもの参加は多いものの、長続きするよう、より興味を持ってもらう手立てをどうするか。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.