阪神・淡路大震災教訓情報資料集【03】災害公営住宅の供給

教訓情報資料集

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  • 4.第3期以降も続く課題(地震発生後6ヵ月以降)
    • 4-01.生活の再建
      • 【03】災害公営住宅の供給
        • 01.公営住宅の供給は順調に進んだが、仮設住宅入居者の実態調査を踏まえた計画見直しが必要となった。
          • 01) 兵庫県の「ひょうご住宅復興3カ年計画」(95年8月)、神戸市の「震災復興住宅整備緊急3か年計画」(95年7月)など、被災自治体での住宅復興計画が作成された。
          • 02) 「災害復興準公営住宅」とよばれる民間賃貸住宅を借り上げて供給するなど多様な供給形態が導入された。それらの管理にあたっては、民間管理法人の協議会が設けられ、広報・入居募集を推進した。
          • 03) 県・市の住宅復興計画が作成された約1年後には、仮設住宅入居者の実態調査を踏まえた計画の見直しが行われ、公営住宅の戸数増加、家賃の減免措置拡大などが盛り込まれた。
          • 04) 恒久住宅供給と被災者の要望のミスマッチ解消のためには、地理情報システムの整備により都市行政に必要なデータを一元管理する、職住をできる限り一体的にとらえた対応が必要、などの指摘がある。□
          • 05) 「災害復興準公営住宅」は、最終的に入居者が伸び悩み、計画戸数を下回わることとなった。☆
          • 06) 計画段階で目標とされた「混住」を実現するための空間整備、入居者選定の仕組みが不十分であったとの指摘がある。▼
        • 02.大量の建設用地の確保が必要となり郊外の開発予定地にも大量に建設された。神戸市では借上げ型の公的住宅確保により、公的住宅の4分の3を被災6区に供給することができた。
          • 01) 建設場所は、短期間に大量供給を実現するために、郊外の開発予定地にも大量に建設された。
          • 02) 被災者の応募は、市街地の公営住宅に集中し、郊外の公営住宅への応募は少なかった。
          • 03) 神戸市では借上げ型の公的住宅確保により、公的住宅の4分の3を被災6区に供給することができた。
        • 03.単身者用として狭小住宅が大量整備されることや、公営住宅の空き家の設備についての問題も生じた。
          • 01) 単身者用として狭小住宅を大量ストックすることとなり、居住水準の低さが問題視されているが、一方で、高齢者世帯には、より小さい面積の住宅の供給を工夫すべきとの指摘もある。
          • 02) 災害復興公営住宅等のうち、公営住宅の空き家の割合は16%にのぼるが、風呂を設置できない等の物件も多く、応急仮設住宅住民の応募者の中からは不満の声があがった。
        • 04.高齢者や障害者向けシルバーハウジング、コレクティブハウジングなどの新たな取り組みが進められた。
          • 01) 生活支援員を設置したシルバーハウジング、コレクティブハウジングが導入され、「緊急通報システム」の設置も進められた。
          • 02) 仮設住宅からの住み替えは、高齢者等にとっては再度のコミュニティ構築となることから、一般公営住宅では全国で初めて「グループ募集」「コレクティブハウジング」「ペット飼育可能な公営住宅」などが実施された。
          • 03) コレクティブハウジングやコミュニティプラザは先進的な取り組みだが、今後の展開には関係者の努力と知恵が必要である、という指摘がある。□
          • 04) シルバーハウジング以外の一般災害復興公営住宅でも、生活援助員(LSA)の設置が有効だという指摘がある。□
          • 05) シルバーハウジングは、相互扶助は機能せず、LSAへの負荷が大きくなっているとの指摘がある。▼
        • 05.短期間に大量の公共住宅建設を成し遂げ、様々な新たな試みがなされたことを評価する声も聞かれた。
          • 01) 既存制度の枠組みを最大限に活用し準公営住宅などの多くの新しい工夫がなされた。
          • 02) 工期短縮・コスト削減への様々な取り組みも進められた。
          • 03) 公的住宅建設の3割近くを分担した住宅・都市整備公団(当時)の果たした役割も大きかった。
          • 04) 災害公営住宅の街並みについて、神戸にいてもどこか他の先進国にいるのと変わらない印象しか残らない、という指摘がある。□
          • 05) 災害公営住宅の早期大量確保という観点から、従前のマスハウジングによる住宅供給を進めたことはやむを得ないこととはいえ、災害公営住宅への社会的弱者の集中、居住者が従前の地域とのつながりを確保しにくい等の課題を残したという指摘もある。□
          • 06) 災害復興公営住宅の供給は、官民の賃貸住宅供給バランスを一変させたとともに、被災地の都市空間変化に大きな影響を与えた。●

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