阪神・淡路大震災教訓情報資料集【06】道路交通規制と道路復旧

教訓情報資料集

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  • 2.第2期・被災地応急対応(地震発生後4日~3週間)
    • 2-05.都市基盤・サービスの復旧
      • 【06】道路交通規制と道路復旧
        • 01.1月19日から、災害対策基本法により東西2つの緊急物資輸送ルートが指定された。これらのルートは、その後も交通事情等の変化に応じて変更された。
          • 01) 1月19日から、災害対策基本法の規定に基づいて東西2ルートの緊急輸送ルートが指定され、規制期間を1カ月として交通規制が実施された。
          • 02) 1月22日、および2月1日には、交通事情等の変化に応じて規制区間が変更・追加された。
        • 02.法に基づく緊急物資等輸送車両用標章をはじめ計4種類の規制除外車両用標章が交付されたが、当初は標章の不足から手書きやコピーによる交付も行われた。
          • 01) 規制除外車両用標章としては、法に定められている緊急輸送車両用標章(緊)のほか、社会的要求に応じるための標章(許)、住民等の生活上の必要性に応じるための標章(認)、ガレキ等搬送車両用の標章(廃)の4種類が発行された。
          • 02) 震災直後は、標章不足から、各警察署では手書きやコピーによる公布が行われた。
        • 03.大量の標章が公布されたことに加え、偽造・私製標章が横行し、一方で厳格な取り締まりが難しいことから、主要幹線の渋滞はほとんど改善されなかった。
          • 01) 県警等による標章公布件数は2月24日までに総計約35万件を超えた。
          • 02) 1台の車が複数の標章を所持するという事態が生じたほか、偽造標章や私製標章も多かった。
          • 03) 厳しい取締を行うことも困難で、一旦迂回した車がわき道から戻るなど、渋滞はほとんど改善されなかった。
        • 04.2月25日より、「復興物資輸送ルート」「生活・復興関連物資輸送ルート」の2種類のルート設定が行われ、道路交通法による交通規制が開始された。
          • 01) 交通需要が緊急物資などの輸送から復興物資の輸送に移行したため、2月25日からは道路交通法に基づく交通規制に切り替えられた。
          • 02) 新規制では、復興物資の円滑な輸送を確保する「復興物資輸送ルート(復興ルート)」と、生活関連物資の円滑な輸送を確保する「生活・復興関連物資輸送ルート(生活ルート)」の2種類が設定された。
          • 03) このうち「生活ルート」の設定については、食料等の生活必需品の確保による物価安定化を望む地元市からの要望によって実現したとされている。
        • 05.新しい交通規制では「復興」「除外」の2種類の標章が発行され、これらの標章を持つ車両およびバス等の通行が許可された。標章の交付審査は厳格になり、また標章偽造者等の検挙もされた。
          • 01) 震災の復興事業に使用し関係省庁・自治体等から復興事業の委託・発注を受けている事業所等の車両に対しては「復興」標章、新聞輸送車や沿道に住宅・車庫のある者の車両など、社会生活上特に必要と認められる車両に対しては「除外」標章が発行された。
          • 02) 復興ルートは「復興」「除外」標章を持つ車両とバス、生活ルートはその他に貨物車・タクシー・二輪車の通行が許可されるという車種別規制が行われた。
          • 03) 「復興」「除外」標章の発行審査は厳格で、自治体の公用車であっても普通乗用車は発行対象外となった。
          • 04) 偽造標章や不正使用の発見も積極的に行い、悪質な違反については検挙・書類送致も行われた。
        • 06.その後、交通規制が徐々に緩和される一方で、標章がカラーコピーできない図案のものに切り替えられるなどの対策がとられ、規制は翌1996年8月10日まで続いた。
          • 01) 4月以降、復興ルートの一部見直しや、規制時間の短縮、日曜・休日の解除、除外対象の緩和などが行われた。
          • 02) 4月29日の規制見直しでは、あたらしくコピー不能の標章が発行された。
          • 03) 96年8月10日、国道43号線と名神高速道路の交通規制が解除され、被災地内の交通規制はすべて解除となった。
        • 07.被災地内の交通渋滞は、通勤時間の増加、交通事故の増加など、被災生活へ与える影響が大きかった。
          • 01) 鉄道の途絶・交通渋滞などの影響により、人々の通勤時間は大幅に増加した。
          • 02) 道路交通状況の悪化により、被災地では交通事故が増加した。
          • 03) 交通規制により、生活道路に自動車が進入してきたことが問題という意見もあった。
          • 04) 交通規制と交通渋滞により、交通マナーが悪化した。▲
          • 05) 鉄道不通と深刻な交通渋滞に対応するため、鉄道代替バス専用レーンの設置、信号制御等の対策が講じられた。▲
        • 08.道路交通の確保のため、路面整備や補強工事などによる道路復旧が行われた。阪神高速4号湾岸線の高架橋では、落橋した橋桁をジャッキアップして利用した応急復旧も行われた。
          • 01) 路面の段差・亀裂・陥没等に対しては、応急仮復旧により交通確保が図られたが、交通渋滞により必要な資機材の輸送に影響もあった。
          • 02) 橋梁や高架橋に対しては、ベント(支保工)、鋼板巻き等による補強が行われた。
          • 03) 阪神高速道路4号湾岸線では、支承破損に伴う落橋が4箇所発見されたが、早期復旧のため落橋した橋桁をジャッキアップし、車両走行可能な状態に復旧した。
          • 04) 被災した道路が復旧前でも、やむなく通行止め解除を求められる場面があった。☆
        • 09.震災直後は全線通行止だった阪神高速道路などの高速道路は、緊急点検・応急復旧の結果を受けて徐々に開通された。段階的路線・区間開放に伴うサービス確保、緊急輸送確保のため、さまざまな措置がとられた。
          • 01) 緊急点検・応急復旧により、1月19日午前0時の14号松原線を皮切りに、全面通行止めとなっていた阪神高速道路の各路線・区間が次々と開放された。
          • 02) 中国自動車道は、国内における東西物流確保のため仮復旧による暫定開通を行い、損壊の著しい宝塚高架橋で「間欠交通」を行った。
          • 03) 阪神高速道路では、大阪地区で乗り継ぎ制度が導入されたほか、7号北神戸線の無料通行措置、緊急物資輸送車両に対する通行料金免除措置などが図られた。
          • 04) 阪神高速道路3号神戸線の復旧に際して、元の高架ではなく地下化等でとの提案もなされたが、早期復旧が優先され、高架方式で復旧された。☆
        • 10. 建設省は「兵庫県南部地震道路橋震災対策委員会」を設置して「兵庫県南部地震により被災した道路橋の復旧に係る仕様(復旧仕様)」を通知、これを受けて道路橋は今回の地震と同程度の地震に耐えられるよう再構築・補強され復旧した。
          • 01) 1月20日、建設省は「兵庫県南部地震道路橋震災対策委員会」を設置し、その審議結果を受けて建設省より「兵庫県南部地震により被災した道路橋の復旧に係る仕様(復旧仕様)」が通知された。
          • 02) 阪神高速道路公団では、「阪神高速道路震災復旧対策技術委員会」を設置し、専門家による技術的検討を行った。
          • 03) 阪神高速道路公団は2月22日に「阪神高速道路公団復旧本部」を設置、3号神戸線、5号湾岸線の復旧にあたった。
          • 04) 特に被害の大きかった3号神戸線は、阪神高速道路公団内に「神戸線復旧建設部」が設置され、工期短縮等のために様々な工夫を図りながらの復旧が進められ、平成8年9月30日に当初予定より早い全線開通が達成された。
        • 11.一般道路等の本格復旧においては、ライフライン復旧との調整が必要だった。早期復旧のため、国費負担に関わる事務手続きの簡略化や私道に対する助成措置が図られた。
          • 01) 一般道の本復旧においては、ライフラインの復旧等との間に調整が必要となり、道路復旧の進捗を妨げる一因となった。
          • 02) 本復旧の迅速化のため、特に道路被害の大きな地域については、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担の査定に原単位方式が導入されるなど、災害査定の簡略化が図られた。
          • 03) 市民生活の早期回復等のために、私道の復旧に対し、既往の私道整備助成制度が拡充された例もあった。
          • 04) 日常生活への支障の観点から歩道部の復旧に関する配慮がなされてもよかったという指摘もある。▼
          • 05) ライフライン施設の情報を一元管理し、被災個所や復旧状況に関する情報を交換できる場を提供するシステムが必要との指摘がある。▼
        • 12.神戸市では、災害モニュメントとしての保存など特色ある道路復旧もなされた。
          • 01) 神戸市では、震災の教訓を後世に伝えることを目的に、代表的な被災事例等について被災箇所をそのまま保存したり、被災状況を伝える記念物を設けたりした。

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