阪神・淡路大震災教訓情報資料集【02】電力事業者の緊急対応

教訓情報資料集

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  • 1.第1期・初動対応(初動72時間を中心として)
    • 1-09.ライフライン関係の緊急対応
      • 【02】電力事業者の緊急対応
        • 01.地震発生直後から、関西電力の中央給電指令所では、急きょ揚水発電所の運転を行って電力需給バランスを保つ一方、停止中の火力発電所の立ち上げ、送電系統切替を実施して、停電箇所の復旧につとめた。
          • 01) 電力需要の急低下により周波数の上昇が起こり、急きょ揚水発電所の運転を行って電力需給バランスを保つ措置がとられた。
          • 02) 送変電設備及び配電設備の被害により約260万軒の停電が発生したが、系統の切替送電を行うことにより、午前7時30分には主に神戸市、西宮市などの約100万軒にまで減少した。
          • 03) 18日午前8時には、全ての変電所が電力供給可能となった。さらにその後の応急復旧作業により、72時間後には停電軒数は11万戸に減少した。
          • 04) 関西電力が保有する電力保安通信設備や事業所間通信設備は正常に機能し、事業所間の情報連絡にほぼ支障はなかった。しかし、協力会社では停電、液状化による水没などで通信手段がなく、混乱したところもある。
          • 05) 新規に携帯型移動無線機の増設、基地局仮設なども行い、現場と営業所間の通信確保がなされた。
        • 02.非常災害対策本部が設置され、「5日以内に重要負荷・生活用電力への応急送電を完了」という目標がたてられた。
          • 01) 本店では7時半、神戸支店では7時に非常災害対策本部が設置され、同日午後には両対策本部がテレビ電話で結ばれた。
          • 02) 神戸支店では、9時までの出社率は37%、当日中の出社率は69%。通常のルートで出勤できたのは10%で、多くはマイカー・バイク・自転車・徒歩を利用した。
          • 03) 居住地近くの指定事業所への出勤は安否確認には有効だったが、復旧体制としてうまく機能したかという点では問題を残した。
          • 04) 神戸支店のビルは大きな被害を受け、午後に地下の食堂に対策本部を移転。同ビル内の営業所は隣接する駐車場に仮事務所を設け業務が続けられた。
          • 05) 「5日以内に被災地全域の重要施設及び生活用電力への応急送電を完了する」という目標が立てられた。
          • 06) 被災エリアをブロック化し、それぞれに独立した現地指揮命令系統を確立しブロック毎に責任復旧する体制が導入された。
        • 03.被害の少なかった電柱や架空配線、発電機車の配置などを工夫し、応急送電が行われた。
          • 01) 災害時活動の拠点となる官公庁施設、病院、避難所等への発電機車による送電も行われた。しかし、被災地では軽油や特殊オイルが不足し、発電機車のための燃料調達は、当初数日間の大きな課題だった。工業用水の途絶によって発電機を停止する事態もあった。
          • 02) 応急送電では、壊れている部分は修理せずにバイパスして、先の使えるところを次から次へつながれた。折れた電柱は、応急措置として添木で支え、倒壊した家が寄り掛かっている電柱は、取り除くと家が倒れてしまうので、電線だけはずすといった作業が、各地で一斉に進められた。
        • 04.関西電力および協力会社の作業員が多数投入され、応急送電作業が行われた。宿泊場所確保のため、お座敷船、観光バス、テントなどが利用された。
          • 01) 復旧については全社的な応援体制をとり、地震当日から神戸支店管内事業所に復旧要員を送り込んだ。また他電力会社や、協力会社からも多大な支援を得て、技術系復旧要員は、1日最大6,000人以上にのぼった。
          • 02) 全国の電力会社より人員および資機材などの協力があったが、周波数の違いにより利用できない発電機車もあった。
          • 03) 作業者のための水・食事・トイレ・宿泊場所の確保と健康管理は、安全かつ迅速に応急送電を実施するための最重要課題だった。
        • 05.被災地全域への応急送電は6日後の23日午後3時に完了した。復旧にあたっては各戸別の安全確認なども行われたが、電力の復旧に伴って電気機器が原因と見られる火災(電気火災)も発生し、問題視された。
          • 01) 道路事情の悪化、家屋の倒壊、不在家屋の状況確認等のために配電線の復旧には困難を極め、応急送電の完了は、地震発生後6日後の1月23日15時となった。
          • 02) 被災地域では戸別訪問を行ったり、家屋の被害の著しいエリアや安全が確認できない家屋については適宜送電を保留するなどの注意が払われたが、送電回復に伴って「電気火災」が起こるという問題も発生した。

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