「あれ?おかしいな」~過酷な毎日で従業員の名前も消える~

東日本大震災(平成23年3月)

「あれ?おかしいな」~過酷な毎日で従業員の名前も消える~

(宮古市 30代 男性 建設会社社員)

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現場監督の私は、夕方まで障害物撤去作業をした後、次の段取りをしなければなりません。当時は連絡手段もなく、明日クレーンを使うとなればクレーン業者に行き、毎晩8時には役所との打合せをするといった毎日でした。

そんな毎日が続く中、ある朝、作業員に声をかけようとしたら名前が出て来ないんです。「あれ?おかしいな。」と思っていると、そのうち震災前のことを訊ねられても答えられなくなっていることに気がつきました。完全に記憶がなくなってしまったのです。

とにかく依頼される作業が多いんです。国からだけではなく、市町村からも個人からも一斉に依頼が来るので、それにどう効率良く順序立てて対応するかで頭がいっぱいでした。記憶が戻ってきたのは1か月くらい後です。その間はおかしいなと思っていても社長に相談するゆとりがありませんでした。

当時、自分では誰にも気づかれずにやり過ごせたと思っていましたが、近くにいる人間はひそかに心配してくれていたようです。

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