東日本大震災(平成23年3月)
「3メートルの津波」に危機感持てず~防潮堤を越えた津波は高い水の壁~
(釜石仮設団地 70代 男性)
防災無線で3メートルぐらいの津波が来ると聞き、アパートの管理人もしていたので、「津波が来るから逃げろ!逃げろ!」と、建物内を言って回って避難させました。ただ、心臓や足腰の悪い人や高齢者、「ここまで来ないから大丈夫だよ」と言っている人たちが12人ぐらい残っていましたので、私も残ることにしました。
1階と2階の人を3階の空き部屋に逃がしてから海の様子を見に行くと、水がダーッと引いて、砂浜に波がチョロチョロときているだけでした。そして、湾の入口の方には、水平線なのか何なのか分からない白い帯がありました。
すると、その白い帯が一気に高くなってきたのです。「3メートルの津波ならたいしたことはない。防潮堤があるから、越えても1メーターぐらいだろう」と思っていたのに、ダーッと波が防潮堤を越えたとたん、立っちゃったんですよ。水の壁みたいに。
それが一気に市街地を襲い、木造住宅はみなメリメリと音をたてて壊れました。うちのアパートはロの字型で中庭がありましたから、津波はうずを巻きながら3階の床上まで到達しました。3階にいた人たちは4階に逃がして無事でした。
夜の9時ごろにようやく水が引いたので、避難所に行こうと歩き出しましたが、旧国道は流れてきたガレキで通れず、やむなくアパートに戻り、空いている部屋にみんなを集めてひと晩過ごしました。道路が通れなければ避難所にも行けないんですよね。
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