平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震(平成20年6月)
「ここにいるよ!」と笛をひと吹き
(栗原市 60代 男性)
地震で道路が割れて、運転していた軽トラックもろとも横転してしまい、何とかかんとか車からはい出して、一応安全かなと思うところに逃げ込んだんですが、余震が来て、また道路にひびが入ったんですね。
怖かったけれど車に戻り、靴を山用に履き替え、リュックを持って、車から離れた広いところへ避難したんです。山岳救助隊の隊員でもあるので、私のリュックにはいろいろなものが入っているんです。で、「さあ、どうするか」ですよね。歩いて山を越えたとしても、自分の住む地区も多分山が崩れているだろうし、山岳会では「何かあった時は動くな」というのが鉄則ですから、その場でじっと動かずに待っていました。
1時間ぐらい経ったころ、地元の人たちが見回りに来たらしく話し声が聞こえてきたのです。「おおい!」と呼んでも答えがないから、今度は笛を吹きました。すると、すぐに区長さんが来てくれて、「とにかく避難所に行きましょう」と。
笛というのは、200メーター、300メーター先まで聞こえますからね。持っていてほんとうに良かったなと思います。