「うちも、うちもと、地下室の被害」

（杉並区 60代 男性 消防団員）

住人が舟で救い出されたマンションは、昭和57年にも台風で水が出ているんです。われわれ消防団も連絡を受けてすぐポンプ2台を持って駆けつけましたが、もうテレビ局が10社ぐらい来ていました。以前に水が出たのを知っていたんですね。

地下部分は水が胸ぐらいまできていました。地下にあった変電機が水に浸かって使えなくなっていたので、私たちは雨が止むのを待ってポンプで水を汲み出しました。

ただ、「自分のところもやられているのに、何でそのマンションだけ先に水を出すんだ」という苦情が周囲から出ましてね。うちもうちもと地下室がある家から何十軒も、紙に番地を書いて、「次はうちへ来てください」って頼みにくるんです。優先順位をつけるのに苦労しました。

昔からそこへ住んでいる人たちなら、地下室は多分作らないと思うんですが、よそから来た人は何も知らないから、便利だからと地下室を作ってしまうんですね。川から離れたところでも、土地が低いところにある地下室には下水があふれて水が出てしまうんですよ。