「博多駅前は一面の泥の海」

福岡水害(平成11年6月)

博多駅前は一面の泥の海
~通勤客は靴を片手に、水の中を歩く~

(福岡県大野城市 70代 男性 タクシー運転手)

あの日の朝6時ごろ、「雨雲が異常に黒いですね」なんて、お客さんと話をしていたのを覚えています。それから雨がだんだん激しくなっていきました。

私らタクシー運転手にとっては、急に雨や雪が降ってきた時が一番の稼ぎどきですからね。「えらく降りよるな」と思いながらも、あちこちに車を走らせていました。

しばらくして博多駅の方へ行くと、あたり一面茶色の濁った水で覆い尽くされ、まるで海のようになっていました。

ちょうど通勤の時間帯だったので、タクシー乗り場にはサラリーマンや学生さんたちが長い列をつくっていました。電車もストップしてしまい、みんなそこから早く逃げ出したいと思っていたのだと思います。でも、車が列の近くを通れば、それが大きな波になってザブリと水がかかってしまいます。かえって並んでいる人たちに迷惑をかけることになるし、自分の車もこれ以上進んでは危険だと判断して、引き返しました。

中には、脱いだズボンを頭の上に載せ、靴を片手に、ハダシで道路を渡っている男性もいました。靴を濡らしたくないのは良くわかるけど、泥水はバイ菌だらけですからね、もし足でも切ったら大変だなと思いました。

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