阪神・淡路大震災(平成7年1月)
知らなかった土壁の壊し方
(神戸市 50代 男性)
地震の後は、近所のみんなと力をあわせて、こわれた家の下敷きになった人たちの救出にとりかかりました。
木造家屋のほとんどが土壁でした。土壁っていうのは困ったもので、なかなかこわれないんですよ。バールで突っついたらバールが土に突き刺さってしまうし、ハンマーでたたくとハンマーの頭の形だけが凹む(へこむ)だけなのです。
だから土を削っていくしかないと、少しずつ削りながら壁をくずしていきました。そうすると、今度は、竹でできた下地が出てくる。この竹っていうのが、これまたくせもので、のこぎりでもなかなか切れない。しかたがないから、人が通れるぐらいにその竹の編み目を広げて、人をひっぱり出したのです。
カケヤ ※ で一番上の部分をバーンとたたけば、バンと壁が外れることはあとから教えてもらいましたが、その時はみんな知らなくて。竹の下地には、ほんとうに悩まされました。
※カケヤ(掛矢):くいなどを打ち込むときに用いる大型の木づち。