平成11年台風第18号(平成11年9月)
水は「ズンズンズン」と押し寄せた
(宇部市 60代 女性)
朝いつものとおり起きて、台風で風も雨もあったけれど、ウイークデーでしたから、主人も私も車で出勤するつもりでした。カーテンのすき間から外をのぞいた夫が、「車で行けるんじゃないか」と言いよるわけです。
ご飯を食べてしたくをしている時に、主人が「あれ、道路に水が来ているで」って言うんです。「じゃあ、今日は休んだらいい」とか、まだそんなことを言っていたんです。
うちの土地は高いほうで、それが川に向かって低くなり、川は港、海につながっています。だから、うちの家の前を道路が冠水しているということは、てっきり降った雨が川へ向かって流れているのだと思ったのです。
これが大間違いで、水は逆さまに流れて、あれよ、あれよと言う間に、どんどん水位が上がってきました。それが『高潮』だったわけです。
普通、波というのは寄せては返すわけですが、引かないんですね。ズン、ズン、ズンズンズンと水がこちらに向かってくるんです。「車を移動したほうがいいね」って、夫が長靴をはいて外に出て行ったんですが、見ると、もう夫の胸のあたりまで水が来ていました。車をあきらめるというよりも、命の危険を感じて、私は「はやく家に戻って!」と叫んでいました。