「食べ物をもらいに 胸まである泥水の中を歩く若者」

東海豪雨(平成12年9月)

食べ物をもらいに 胸まである泥水の中を歩く若者

(清須市 60代 女性)

夜中の2時ごろ、気がつくと床上まで水が来ていたので、着の身着のまま、近くのホームセンターの屋上に避難しました。近所の5世帯ぐらいが一緒でした。

次の日の午後になると上空を自衛隊のヘリコプターが飛び回るようになり、警察署の辺りに荷物を降ろしているのが見えました。「あれは絶対食べ物だ」って言って、みんなで「こっち、こっち」と手を振ったのですが、ヘリコプターは来てくれませんでした。食べる物もなく、みんな腹ペコでした。

自衛隊のボートが見えたので、「助けて!ここにおるよ!」って、上から叫んだけれど、「まだ残っている人を探して歩かな。あんたらは後だ」と言われました。

すると、180センチくらいの体の大きな青年が、「救援物資が下ろされた辺りまで行って来る」と言って、胸まで冠水した道路を戸板のようなものにつかまりながら歩き始めたのです。結局、その若者は、もらった水を板の上に載せて戻ってきました。無事だったから良かったけれど、側溝などの深みにはまって命を落とす危険だってありましたからね。行かせるべきではなかったと、今はそう思います。

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