災害から文化遺産と地域をまもる検討委員会について
1.目的
大規模地震による面的な大被害に対し、所有者・管理者による文化遺産個々の対策や建築物の構造補強のみではなく、まち・地域という面的な広がりの中で文化遺産保護のための地震防災対策を講じていくための手法について、周辺の公共施設・環境整備(ハード面)や行政、地域住民・NPO等による体制づくり(ソフト面)まで含め、防災まちづくり・地域づくりの一環として推進していくための検討を実施し、我が国の歴史と伝統を後世へ受け継いでいくための体制を整備する。
2.調査概要
具体的な地域を一つ選び、そこでの文化遺産保護のための防災まちづくり・地域づくりについて、総合的な計画を立て、被災時のシミュレーションを実施。
先進的な取組みの紹介や既往調査の整理を行い、文化遺産保護のための防災まちづくり・地域づくりの基本的考え方をとりまとめた上で、全国の文化遺産全般について、ハード(施設整備)・ソフト(体制整備)の両面から、文化遺産保護のための地震防災対策について検討するとともに、具体的な地域を選び、ケーススタディを行う。
(1)文化遺産保護のための防災まちづくり・地域づくりの基本的考え方(政策論)
文化遺産を地震災害から保護する意義・必要性、文化遺産個々の対策、文化遺産保護のためのまち全体の防災システム、消防や地域の体制整備等に関する基本的考え方を整理する。
(2)文化遺産保護のための防災まちづくり・地域づくりの手法
- 1 地域全体の防災安全性の向上と文化遺産保護に関する計画のあり方(計画論)
- 様々なまちづくり制度がある中で、文化遺産保護を目的の一つとした地域全体の防災安全性の向上という視点も含め、地震災害から文化遺産を保護するためのハード・ソフトを含めた計画のあり方、計画作成のための手法等について検討する。
- 2 具体的手法の検討
- 発災前(予防対策)・発災後(応急対策)、建物等の倒壊・火災延焼のマトリクス(別紙)をもとに、まち全体の防災システムとして、どのような防災まちづくり・地域づくりを行っていくか、具体的な手法の検討を行う。
具体的な地域を一つ選び、そこでの文化遺産保護のための防災まちづくり・地域づくりについて、総合的な計画を立て、被災時のシミュレーションを実施。
- 別紙
- 建物等の倒壊
火災延焼
- 発災前
[従来]免震装置
[従来]スプリンクラーや放水銃、ドレンチャー - [方向性] (例)
- ・倒壊後の部材の速やかな保管のための文化遺産所有者・管理者、行政、地域住民・NPO等の協働体制の構築
- ・保管場所への移動経路の設定・整備
- ・ 疎水の利用によるウォーターカーテンの整備
- ・ 延焼危険を減ずるための周辺の街路樹整備
- ・ 延焼危険が迫った建造物を除く文化財の移動・保管体制の構築
- ・ 文化遺産所有者・管理者、行政、地域住民・NPOとの協働による体制づくり
- 発災後
(応急対策)
[方向性] (例)
- ・事前の体制に基づいて、倒壊した部材等を速やかに延焼危険のない場所へ移動・保管
- ・ 消防や地域による消火活動
- ・ 事前の体制の基づいて、速やかに文化遺産(建造物を除く)を持ち出し・保管