京阪神都市圏広域防災拠点整備検討委員会(第五回)における議事概要について

記者発表資料

京阪神都市圏広域防災拠点整備検討委員会(第五回)における
議事概要について

平成15年2月13日(木)
内閣官房都市再生本部事務局
内閣府(防災担当)
国土交通省近畿地方整備局

1 経緯

 都市再生プロジェクト第一次決定(平成13年6月・都市再生本部)において、「大阪圏においても基幹的広域防災拠点の必要性も含め、広域防災拠点の適正配置を検討する」ことが決定されました。
 これを受け、内閣府(防災担当)と国土交通省近畿地方整備局を事務局として、有識者、関係省庁と関係府県市による検討委員会を設置し、京阪神都市圏における広域防災拠点の整備・連携のあり方について検討を進めています。
 本日2月13日(木)午前10時より開催された同委員会(第五回)では、ケーススタディの実施方法などについて議論がなされました。

2 委員会で議論された具体的事項

  • (1) ケーススタディにおける想定地震
     京阪神都市圏において存在が確認されており、複数府県に被害が及ぶと思われる、
    有馬−高槻、上町、中央構造線(和泉山脈南縁−金剛山地東縁)、生駒、三峠・京都西山、三方・花折、京都盆地−奈良盆地の7つの活断層による地震及び東南海・南海地震を対象とする。
  • (2) ケーススタディの目的
     想定地震ごとに、被害量、応急需要量に基づく重篤者の医療搬送や広域支援部隊の投入、救援物資の広域輸送等について、それぞれの広域防災拠点の機能・役割をシミュレートし、適正配置に関する検討・検証を行う。
  • (3) ケーススタディの流れ
     共通の時系列シナリオを設定のうえ、以下について実施。
    • ① 基幹的広域防災拠点の適正配置に関するケーススタディ
      • それぞれの想定地震ごとに、一定の条件のもと、基幹的広域防災拠点に設置される合同現地対策本部への参集時間をシミュレートし、3つの配置候補ゾーンへの被災時のアクセス性を検討する。
      • それぞれの想定地震による結果をとりまとめ、配置の可否について検証・総括する。
    • ② 広域防災拠点の適正配置に関するケーススタディ
      • それぞれの想定地震ごとに、重篤者の広域搬送、広域支援部隊の投入及び救援物資の広域輸送に関する応急需要量について整理する。
      • それぞれのケースにおいて、機能させるべき複数の広域防災拠点を選定し、広域的オペレーション全体での役割や必要規模等について検討する。
      • それぞれの想定地震による結果をとりまとめ、全体としての配置の可否について検証・総括する。

3 主な意見

  • 被害想定は、気象条件その他どこまで想定するかによって被害の程度が異なってくる。どのように考えるのかでケーススタディも変わってくるので、考え得る最悪のケースも想定した方がよいのではないか。
  • 回のケーススタディで検討すべき内容ではないが、被災地上空は報道も含めてヘリコプターが相当数飛行するため、安全のため空域統制が必要になってくる。
  • 陸上輸送については、渋滞の程度や建物倒壊・道路被害の状況によって、様々なボトルネックが想定される。交通規制など他に必要な広域的オペレーションについても念頭には置いておく必要がある。
  • 重篤者の広域搬送について、被害想定によって算出されている重篤者数や後方医療機関における重篤者受入れ可能数が過大に見積もられている。算出方法についてよく吟味すべき。
  • 重篤者の広域搬送拠点として機能する広域防災拠点においては、必ず重篤者が滞留する。このため、何らかの医療体制・医療施設が備わっている必要がある。今回の配置候補ゾーンでは、拠点にそのような施設があるかどうかまでは分からないが、こうしたことも考慮しておくべきではないか。
  • 事務局案でベイエリアを重視していることは重要。今回のケーススタディではないかも知れないが、広域防災拠点から次の「サブ拠点」のようなものも考える必要がある。ベイエリアには現在空地が多く存在しており、その状況も変化していることから、柔軟に対応することも考えた方がよい。
  • 今回のケーススタディは、広域防災拠点経由を想定しているが、発災後2・3日は、必要としているところに直接投入するほうが被災地のニーズとしては高いのではないか。
  • 活動要員、救援物資とも、需要と供給をマッチングさせるための情報が非常に重要。
  • 広域防災拠点の有無により被害量がどれだけ変わるかなど、拠点整備による効果も評価できると分かりやすい。
  • 今回のケーススタディは広域防災拠点の適正配置といった観点から実施するものであり、設定したオペレーションが実際にそのまま使われるものではないし、被災府県等による地域的オペレーションも実施されるものであることが前提。
  • まとめとして、被害想定については、本委員会ではそれ自体が目的ではないため、大まかな被害概略を示した事務局案のとおりとすること、重篤者の広域搬送に関するケーススタディでは、重篤者数や後方医療機関の受入れ可能人数等再度精査すること、救援物資の広域輸送に関するケーススタディでは、渋滞等陸上輸送のボトルネックを考慮したものとすることを決定した。また、広域防災拠点整備による効果については、本委員会で可能かどうか分からないが今後の課題である。

4 今後の予定

本日議論された実施方法に基づき、ケーススタディを実施し、次回委員会(3月13日(木)予
定)において、広域支援部隊の投入及び重篤者の医療搬送に関するケーススタディについて検討を行う予定です。
 また、国土交通委員会(3月10日(月)予定)において、救援物資の広域輸送に関するケーススタディについての検討が行われるとともに、厚生労働委員会(3月27日(木)予定)において、水の広域供給に関するケーススタディについての検討が行われます。

5 委員会(第五回)の概要

(1) 日 時 平成15年2月13日(木) 10:00−12:00
(2) 場 所 ホテルニューオータニ大阪 あやめの間
大阪市中央区城見1−4−1 TEL:06-6941-1111(代表)
(3) 検討委員会の構成
吉川委員、甲斐委員、加藤委員、酒巻委員、土岐委員、中野委員、
中林委員、松本委員、室崎委員、内閣官房、内閣府、警察庁、防衛庁、
郵政事業庁、消防庁、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、
経済産業省、国土交通省、気象庁、海上保安庁、国土地理院、滋賀県、
京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、京都市、大阪市、神戸市、
都市再生本部(オブザーバー)

6 その他

本日の資料については、記者クラブにて閲覧が可能です。

問い合わせ先
  <検討委員会に関すること>
  内閣府 地震・火山対策担当
 
 
田中政幸・中安祐介
 
TEL:03-3501-5693(直通) FAX:03-3501-5199
 
国土交通省近畿地方整備局 企画部
 
 
野口 隆
 
TEL:06-6942-4090(直通) FAX:06-6942-7463
<都市再生本部に関すること>
  内閣官房都市再生本部事務局
 
 
朝堀泰明
 
TEL:03-5510-2172(直通) FAX:03-3591-0022

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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