三宅島火山ガスに関する検討会の中間報告について(概要)
平成14年12月24日
内 閣 府
三宅島火山ガスに関する検討会は、平成14年9月30日設置以降、これまで検討会を3回開催し、主に、噴火直後から現在までの火山ガスの観測データを様々な視点から解析してきました。このたび、二酸化硫黄を中心に、島内の濃度分布や気象との関係について、 中間報告 としてまとめましたので、お知らせします。
1.検討会の設置目的
三宅島の火山ガスがどのような状況になれば避難島民の帰島が可能になるのか、安全確保対策の面から科学的に検討するため、東京都と内閣府が共同して三宅島火山ガスに関する検討会を設置した。
2.二酸化硫黄濃度観測データの主な解析結果及び三宅島火山ガスの特徴
別紙のとおり
3.最終報告に向けて
今後の検討会では、中間報告で得られた火山ガスの特性に加え、火山ガスと健康に関する国内外の知見を踏まえ、帰島後の健康被害を防ぐための安全確保対策などについて検討を進め、年度末を目途に帰島のための判断材料を示す予定である。
【問い合わせ先】
内閣府参事官補佐(地震・火山対策担当) 齋藤
〃 参事官(地震・火山対策担当)付主査 西宮
TEL 03−3501−5693
*なお、東京都災害対策本部からも同様の発表がなされています。
別紙
二酸化硫黄濃度観測データの主な解析結果及び三宅島火山ガスの特徴
① 概況
三宅島では、一年を通して西寄りの風が吹くことが多いため東部にガスが流下することが多く、この地域では高濃度の二酸化硫黄が観測され、その頻度も高くなっている( 図1ほか)。
西部では、東部に比べ全体的に低濃度ではあるが、夏季は冬季に比べ濃度が高い傾向が見られる。これは主に風向きが季節により異なるためと考えられる( 図9 )。
② 火山ガスの放出量
二酸化硫黄の放出量は平成 12 年 9 月から 10 月には 1 日当たり 2 〜 5 万トンだったものが、最近数ヶ月は 1 万トンを超えることは少なく、長期的には低下している( 図12 (PDF形式:191.6KB))。
③ 二酸化硫黄の流下状況
風がある程度強い時、二酸化硫黄は風下側に帯状に流される傾向にある。風上側では高濃度となることはほとんどない( 図11)。
④ 風向・風速と二酸化硫黄濃度
上空の風の風下側で高濃度となることが多い。風速が 7 〜 19m/s 程度になると、高濃度のガスが多く観測されるようになる( 図11)。
⑤ 噴出口からの距離と二酸化硫黄濃度
山腹は山麓に比べて火口から近いため、高濃度の二酸化硫黄が観測されている。山麓部においても、東部で比較的高濃度の二酸化硫黄が観測されている。その原因の一つとして、噴出口が火口の中でも南南東側に偏っており、東部がこの噴出口からの距離が近いことが考えられる。また、三宅島の複雑な地形が山麓付近の濃度に影響を与えていると考えられる( 図2、 図16、17 )。
⑥ 降雨時の濃度
降雨時は、二酸化硫黄が高濃度となることは少ない。これは、降雨により二酸化硫黄が吸収されてしまうことによるものと考えられる( 図15 )。
⑦ 高濃度になる時間帯
高濃度の二酸化硫黄が観測されている三宅島空港観測点では、日中に比べ夜間の方が濃度が高くなっている。他の地域では明確な傾向は見えない( 図13 図14)。
⑧ 短時間に高濃度となる状況
高濃度が観測された時の濃度変化を見ると、徐々に濃度が高くなるのではなく、短時間で急激に高濃度となることがある( 図21)。
⑨ その他
二酸化硫黄の日平均値については、島の東側では 0.04ppm を超える日の割合が 40% 以上である。比較的濃度の低い三宅支庁においても 0.04ppm を超える日の割合が 7% 程度であり、環境基準と比較するとまだ高い値を示している( 図10 )。
また、 5 分値で見ても、島の東側では高濃度が観測されている。 2ppm を超える濃度の出現頻度は減少しているとはいえないが、 5ppm を超える濃度の出現頻度は減少している( 図18 、 図19 、 図20)。
(参考)二酸化硫黄の基準値等
○環境基準
1 時間値の1日平均値が 0.04 ppm 以下であり、かつ1時間値が 0.1 ppm 以下であること。
○ ACGIH (米国産業衛生専門家会議)勧告の許容濃度: 2 ppm
○ EPA (米国環境保護局)の短期曝露の指針値( 5 分値): 0.6 ppm 「懸念レベル」 2.0 ppm 「危険レベル」