地震防災対策特別措置法に基づく国庫補助率の嵩上げの延長について内閣府(防災担当)3月30日(金)に開催された参議院本会議において、「地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案」が議員立法により、全会派一致で可決され、成立した。1.制定背景地震防災対策特別措置法は、平成7年1月に阪神・淡路大震災が発生した際に、全国どこでも大規模地震が発生しうることが全国的に認識され、この教訓を踏まえ、議員立法により制定された。2.制度概要地震防災対策特別措置法では、全国どこでも発生しうる地震に対応するために、全国の都道府県において「地震防災緊急事業五箇年計画」を作成し、この計画に基づく事業に対して国も財政上の支援をすることとしており、特に対象事業の一部について国庫補助率の嵩上げを行うことにより、各種の地震防災施設等の整備を積極的に推進している。しかし、①事業主体である地方公共団体等の財事情の悪化、②用地買収等での地元調整の難航などにより、現行の地震防災緊急事業五箇年計画(H8〜H12)の進捗率は約74%にとどまる見込みである(詳細は別添参照)。3.改正に向けた動向昨年10月にも鳥取県西部地震が発生し、また、本年3月24日に発生した芸予地震でも死者2名のほか大きな被害が発生し、全国どこでも大規模地震が発生しうることが全国的に改めて認識された。また、地震防災対策特別措置法に基づく国庫補助率の嵩上げも今年度末で終了することを踏まえ、地震防災対策を全国的に一層強化するために、本法の改正に向けて、地方議会では1,000件を超える多数の意見書が採択され、全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会及び全国町村議会議長会からも強く要望されていた。このような状況にかんがみて、議員立法により本法が今回改正され、地震防災対策特別措置法に基づく国庫補助率の嵩上げの有効期限が平成17年度末までとされた。4.次期の地震防災緊急事業五箇年計画の推進現行の地震防災緊急事業五箇年計画は、阪神・淡路大震災直後に早急に対策をとるために短期間で作成された背景もあり、内容の精査が不十分な部分もあったと地方公共団体から聞いている。このような反省にたち、また、国、地方公共団体ともに厳しい財政状況の中で実効性ある計画とするため、今後、各都道府県において次期の地震防災緊急事業五箇年計画を作成するに当たっては、①長期的整備目標②各施設の整備状況③地震防災上の整備の必要度、緊急度を計画中に明記することとしている。なお、現在のところ、次期の地震防災緊急事業五箇年計画(H13〜H17)は約13兆8,000億円程度(全国ベース)の規模になることが見込まれている。
〔問い合わせ先〕
内閣府政策統括官(防災担当)付
参事官(地震・火山対策担当)補佐 井上伸夫
主査 藤田康幸
小山達也
TEL:03-3501-5693
別添地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案について1.地震防災対策特別措置法の目的・経緯阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、「地震防災緊急事業五箇年計画」を作成し、国庫補助率の嵩上げ等により、地震防災施設等の整備を積極的に推進。なお、本法は、平成7年に衆・災害対策特別委員長から提案され、議員立法 により制定。2.地震防災緊急事業の概要(1) 第一次の地震防災緊急事業五箇年計画①作成主体:各都道府県知事②対象事業:避難地、避難路、消防用施設など28施設等③計画期間:平成8年度〜平成12年度④計画総事業費:約18兆5,034億円(2) 国庫補助率の嵩上げ①対象事業:消防用施設、防災行政無線設備、公立小中学校等の公的建築物の耐震改修など7施設等の事業②適用期間:平成12年度末まで (改正前)3.国庫補助率の嵩上げの適用期間の延長の必要性(1) 現行の五箇年計画の進捗状況(H12末見込み)①全事業約74%(実施額約13兆7,550億円、残事業約4兆7,500億円)②補助率の嵩上げ適用事業約58%(実施額約1兆7,441億円、残事業が約1兆2,660億円)(2) 次期の五箇年計画の要望見込額①計画総事業費:約13兆7,637億円②対現行計画比:約74%4.改正概要地震防災対策特別措置法に基づく国庫補助率の嵩上げの適用期間を5年間延長し、平成18年3月31日までとする。