中央防災会議議事議事録

○伊吹防災担当大臣 それでは、開催させていただきます。
 ただいまから「中央防災会議」を開催させていただきます。本日は、皆様方には御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございました。
 新しい省庁再編体制の下で、防災担当の特命を受けました、私、伊吹文明でございます。森総理始め御参加の皆様方の御指導の下、日本の防災対策の推進に万全を期してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて今回は、省庁再編後最初の中央防災会議でありますので、本来なら御出席の各閣僚の方々やその他の委員の先生方全員からごあいさつをいただくところでございますが、時間の関係もございますので、座席表の配布を持ちまして委員の御紹介に代えさせていただき、学識経験者として新たに委員に加わっていただきました4名の方々について、私から御紹介をさせていただきます。
 先ほど、総理から辞令の交付がございましたが、まず溝上恵委員でございます。東京大学名誉教授であり、地震防災対策強化地域判定会の会長をお務めでございます。
 次に、石川嘉延委員は静岡県知事で、全国知事会の地震対策特別委員会の委員長でございます。
 最後になりましたが、德田正明委員は日本消防協会の会長として御活躍中の方でございます。
 なお、本日は御欠席でございますが、都市防災、防災ボランティア等の専門家であります、重川希志依富士常葉大学助教授にも委員をお願いしておりますので、御承知置きお願いを申し上げます。
 それでは、まず最初に当会議の会長であります、森内閣総理大臣よりごあいさつをいただきます。

○森総理 おはようございます。御多用の中、御参集をいただきましてありがとうございました。中央防災会議の初会合に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。 
我が国は、自然的、地理的に災害を受けやすい国土でありまして、昨年も火山噴火、地震、豪雨などの災害が頻発しており、災害から国民の生命及び財産を守ることは、国政の最重要課題の一つであります。
 これまでも、政府として阪神・淡路大震災等の教訓を踏まえ、災害対策の充実に務めてきたところでありますが、不断の努力により一層の充実が必要であります。
 中央防災会議は、防災基本計画及び地震防災基本計画の作成と、その実施を推進することや、防災に関する重要事項を審議し、それらについて内閣総理大臣または防災担当大臣に対して意見を述べることなどを任務といたしておりまして、各省庁から一段高い立場で企画及び立案並びに総合調整の機能を発揮していただきたいと思います。
 また、今回の中央省庁再編に伴いまして、従来からの国務大臣及び指定公共機関の代表の方々に加え、新たに4名の学識経験者の方々に委員として参加していただくこととなりました。これまでの御豊富な御経験、また深い識見を基に活発な御議論をお願いいたしたいと存じます。
 新世紀を迎えまして、安心して安全に暮らせる日本の実現を目指し、私も全力を尽くしてまいりますので、今後の委員の皆様の御協力を切にお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○伊吹防災担当大臣 どうもありがとうございました。
(報道関係者退室)

○伊吹防災担当大臣 それでは、早速議事に入らせていただきます。
 本日の議題はお手元に配布しております資料をごらんいただきたいと存じます。時間の制約がございますので、議題の第1「中央防災会議運営要領の改正について」と第2の「報告事項」を一括して事務局より説明をいたさせます。

○吉井統括官 御説明させていただきます。
 まず議題の第1「中央防災会議運営要領の改正について」とございますが「資料1」をごらんいただきたいと思います。2ページ、3ページ目に新旧対照の形でお示ししてございますが、これまでの要領を改正いたしまして「経済財政諮問会議」など、内閣府の他の会議と同様に、2ページ目に議事手続、3ページ目は議事要旨、議事録の公表等でございますが、これらに関する規定を整備いたしたいとするものでございます。
 議題の第2「報告事項」でございますが、まず「資料2」といたしまして「中央省庁再編後の政府の防災体制の強化」についてでございます。1ページ目は、今回の省庁再編に伴います体制の強化を示したものです。2ページ目は、中央防災会議についてでございますが、今回新たに委員として学識経験者の方に加わっていただき、また2ページ目の一番下でございますが、中央防災会議の役割といたしまして、総理、防災担当大臣への意見を述べることが加わりました。
 3ページ目は、災害発生時の情報の流れにつきまして、現在の状況をお示ししたものでございますが、先般総理から災害発生時の情報の収集、集約体制及び情報のフィードバックにつきまして、再点検を行いますよう伊吹防災担当大臣及び福田官房長官に対して御指示がございました。これにつきましては、関係機関と共に早急に検討を行い、取りまとまり次第また御報告させていただきたいと存じます。
 「資料3」に基づきまして、最近の災害の状況につきまして御説明させていただきます。大きな横長のペーパーでございますが、1ページ目は有珠山の噴火災害でございます。1のところにも書いてございますが、現在でも小規模な噴火が続いておりまして、1,700名以上の方々が仮設住宅等での生活を余儀なくされてございます。右の方に書いてございますが、地元では昨年末に復興方針を取りまとめまして、今年度中にも復興計画の基本方針を策定する予定でございまして、今後は地元の復興への支援が必要となります。
 右の地図の赤く丸く塗ってある真ん中のところだけが避難の指示が今、出ているところでございます。
 1枚めくっていただきまして、2ページ目は三宅島の噴火災害でございます。昨年9月4日に全島民の島外避難以来、間もなく5か月になりますが、現在のところ有毒ガスの大量噴出が続きまして、島に帰る目途が立たない状況にございます。噴火活動の終息後、島民の方が速やかに島に帰ることができますよう、泥流対策や道路、電力等の機能の確保に努めておるところでございます。
 また、新島・神津島等につきましては、地震活動が収まっておりまして、復旧、復興に向けた取り組みが本格化しているところでございます。
 3ページ目は、9月の東海豪雨の災害でございます。10名の方がお亡くなりになりましたが、都市部の記録的な集中豪雨で床上浸水2万2,000 戸という、多数の住家が浸水したという水害でございます。
 最後4ページ目は、鳥取県西部地震でございます。地盤の液状化による被害が特徴でございまして、若干見ずろうございますが右のページの中ほど、住宅等が傾いて、寄り添うような形で倒れている状況でございます。
 東海豪雨、鳥取県西部地震につきまして、いずれも地域の復旧、復興に向けた支援を行ってまいりたいと存じております。なお、いずれの災害におきましても、初動時におきまして警察、消防、自衛隊、海上保安庁等には身を挺した御活躍をしていただきましたことを御報告申し上げます。
 また小さい紙の「資料4」に戻っていただきまして「資料4」は阪神・淡路地域の復興状況について取りまとめたものでございます。発災後6年余りを経過いたしまして、公営住宅や道路などの復旧は着実に進んでおりますが、今後とも市街地整備など地域の復興に取り組んでまいりたいと存じます。
 「資料5」は、昨年12月に報告されました「被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会」の報告書でございますが、内容の説明は省略させていただきます。
 最後に「資料6」といたしまして、前回の会議以降の会長専決事項を御報告させていただきます。激甚災害の指定を始め、合計53件の処理をしておりますので御報告させていただきます。
 事務局からの説明は以上でございます。

○伊吹防災担当大臣 御苦労様でした。ただいま事務局が御説明をいたしました議題の第1、運営要領の改正でございますが、これは説明のとおりでよろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)

○伊吹防災担当大臣 ありがとうございます。
 それでは、その他の報告事項についての御意見、御質問は後ほどまとめてお受けすることにいたしまして、議題の第3「今後の災害対策について」ですが、溝上先生からあらかじめ地震対策についての資料をちょうだいいたしておりますので、先生より御発言をお願いいたします。

○溝上委員
  お手元の資料「地震対策について」に沿って御説明申し上げます。資料の第1図「東海・東南海・南海地域における巨大地震の震源域」は、駿河トラフ及び南海トラフに沿ったプレート境界で繰り返し発生する巨大地震の震源域を示したものです。
 1707年に宝永の東海・南海地震が発生し、その147年後の1854年には安政の東海地震と南海地震が相次いで発生しました。さらにその約100年後の1944年及び1946年には、昭和の東南海地震と南海地震が発生しました。このように、東海・南海地域ではほぼ100年ないし150年の間隔で、極めて規模の大きな地震が周期的に繰り返し発生します。例えば1707年の宝永地震の規模はマグニチュードM8.4で、日本周辺で発生した地震としては最大規模の地震でした。この宝永地震のエネルギーは、阪神・淡路大震災を引き起こしたマグニチュードM7.2の兵庫県南部地震の約60個分のエネルギーに相当します。このように巨大な規模の地震であるだけに、その震源域も極めて広域にわたることがこの図から読みとれます。
 宝永、安政、昭和の地震それぞれの震源域を比較すると、1944年に発生した昭和の東南海地震は、宝永の地震や安政の地震の場合と異なり、浜名湖付近の沖合から駿河湾にかけての東海地方の沿岸一体で断層が割れ残り、地震が起こらないまま取り残されてしまいました。その結果この割れ残りの部分、つまり断層の未破壊領域に当たる東海地方では、安政の東海地震から現在までの147年間にわたり地下の断層にひずみが蓄積し続けていることになります。このひずみは、すでにほぼ限界に達していると推定されており、東海地震は何時発生しても不思議ではないと考えられます。
 1976年、いわゆる「東海地震説」が提示された時点では、東海地方が断層の未破壊領域として取り残されたという事実が指摘されました。しかし、もしこの未破壊領域で東海地震が発生する場合、その震源域はどの範囲にまで及ぶものか、さらにその震源域のどの部分を中心にしてひずみが蓄積されているのかといった詳しいことについては、「東海地震説」が発表された当時にはまだほとんど何もわかっていませんでした。
来るべき東海地震を含め、駿河トラフ及び南海トラフに沿って巨大地震が繰り返し発生するのは、フィリピン海プレートが太平洋沖から日本列島に向かって押し寄せ、トラフに沿って日本列島の下に潜り込んでいるためです。このフィリピン海プレートが潜り込む形状や、潜り込みに伴う地下深部での応力場などについては、最近になって東海地方における観測体勢が整備されるにつれて次第に解明されてきたというのが実状です。
これらのトラフに沿った巨大地震の発生サイクルと同期して、周辺の地域の地震活動や火山噴火活動が広域にわたり活発化するという経験的事実は、今後の地震防災対策を考える上で忘れてはならない重要な事実です。1707年の宝永地震の49日後には富士山が大噴火しました。この地震の4年前には元禄関東地震が発生しました。また、幕末の1854年に発生した安政地震の前後には、1847年の善光寺地震、1854年伊賀上野地震、1855年安政江戸地震などの大地震が内陸部で立て続きに発生し、何万人もの死者が出ました。さらに大戦の終結をはさんで発生した1944年東南海地震および1946年南海地震の前後には、1943年鳥取地震、1945年三河地震、1948年福井地震などの内陸直下の大地震が相次いで発生しました。
 何時起こっても不思議ではないと言われる東海地震については、片時も油断できないのはもとよりのことです。しかし、今後半世紀もたたないうちに南海トラフ沿いの巨大地震が再び襲ってくることも念頭に置いて、国家的視点での防災対策を進める必要があると思います。
 第2図は、東海地震の発生の仕組みを示した図でございます。東海地方の直下に潜り込むフィリピン海プレートが、その上に乗っている東海地方の陸側の岩盤を下方に引きずり込んでいきます。この引きずり込みによって上盤にあたる陸側の岩盤には東海地震を引き起こすエネルギーがひずみとして次第に蓄積されていきます。ここで注目すべきことは、下盤にあたるフィリピン海プレートと上盤の岩盤とが、摩擦力によってお互いに固くくっつき合っている固着域と呼ばれる部分が存在することです。この固着域にはたらく摩擦力によって、下盤が潜り込むと上盤の先端部が一緒に引きずられて沈み込みます。
 この上盤の沈み込みは、長期間にわたって時々刻々進行しつつあり、御前崎の沈降といった現象として実際に観測されています。ひずみの蓄積が限界に近づくにつれ、固着域の摩擦力に抗して上盤が下盤に対して跳ね返る力が増してきます。このような状況がさらに進みますと、固着域の状態が変化し始めます。その変化の一つとして、固着域の周辺が次第にはがれてくるという現象が挙げられます。このはがれが進むにつれて、上盤と下盤のくっつき具合に緩みが生じ、やがて上盤が下盤に対してゆっくり跳ね返り始めます。極めて精密な観測を続けておりますと、地下深部でこのような微妙な変化の始まりを早期に検知することが可能となります。例えば、御前崎では日頃は1年間に数ミリメートルの速度での沈降が観測されていますが、東海地震が切迫するにつれて、その速度が次第に鈍化し、やがて停滞します。この停滞はやがてゆっくりとした隆起に転じ、その後は隆起が急激に加速し東海地震が発生するものと考えられます。
 では、どういうような現象が実際に観測されているかということになりますが、最近になりまして、東海地方とその周辺では様々な現象が見えてきております。第3図に示しましたのは、1996年10月5日、静岡県中部の地震から、1997年3月16日、愛知県東部の地震、その南に行きまして、1997年5月24日、遠州灘の地震、その東側、1997年10月11日、御前崎沖の地震、そして1997年10月21日に静岡県中部の地震が東海地方を取り囲むように発生したというものです。一連のこれらの地震活動について、その発生のメカニズムや震源の分布などからとりわけ注目されたことは、上盤と下盤をくっつけている固着域にそろそろはがれが生じてきているのではないかということでした。
 これらのほかにも、東海地方とその周辺ではさまざまな現象がとらえられているわけでございますが、気象庁による24時間連続体制での東海の監視・観測が始まって以来、多くのデータが蓄積され、新しい知見も加わってまいりましたので、1976年当初の、未破壊領域の存在という認識からさらに踏み込んだプレート境界の固着域やそれを含む東海地震の想定震源域についての議論が行われるようになりました。このため、東海地震の監視・観測の立場からだけでなく、地震防災対策の立場からも、新しいデータと知見に基づいて想定震源域などにかかわる問題を再度検討してみることが緊急の課題ではないかと思っております。第4図でございますが、これは大規模地震対策特別措置法によって展開されている東海地域における監視網でございます。昭和53年以降逐次整備が進み、現在、完全とは言えないまでも、相当に整備が進んできております。現在のリアル・タイム観測網と、それから昭和53年当初とを比べますと、非常に整備が進み、非常に多くのデータが蓄積されつつあるということをこの図からも推察することができるわけでございます。
 結論を申し上げますと、第1に、東海地域のこれまでのデータの蓄積と知見に基づいて、固着域と、それを含む東海地震の想定震源域あるいは東海地震にかかわる未破壊領域というものの広がりについて、地震防災の観点に立って再度調べてみるということが非常に重要でございますし、その次には、今世紀、あと40年〜50年経ちますと、間違いなく発生してくるであろう南海、東南海の巨大地震の発生ということにつきましても、東海地震の問題を視野に入れつつ検討を始めていく必要があろうかと思います。
 さらに付け加えるといたしますと、関東地震が1923年に発生いたしまして、それから既に70年以上経ち、関東地震によって解放されたひずみの約3分の1がすでに取り戻されております。そのため、以前から指摘されております南関東直下でマグニチュードM6.8ないし7.2程度の地震が発生する可能性を念頭に置きつつ、南関東直下地震の防災対策につきましても、更にさまざまな検討をしていく必要があろうかと思います。以上はあくまでも東海、東南海、南海および南関東の各地域についてのことでございます。勿論、これ以外にも日本全国各地域をそれぞれ見ていくと、被害地震が発生する可能性や切迫性を秘めているのではないかと危惧される地域があることも念頭に置く必要があります。今回は東海地域を中心にして、以上のことを申し述べさせていただきました。
 どうもありがとうございました。

○伊吹防災担当大臣 溝上先生、ありがとうございました。ただいま先生からいただきましたお話、先ほど事務局が御説明いたしまた報告事項に合わせて御意見や御質問ございましたら、お伺いをいたしたいと思います。
 当然、石川委員、何か御発言あると思うのですが。

○石川委員 一番関係の深い静岡におきましては、東海大地震説が唱えられ、また、今、溝上先生の方からお話がありましたような精密な観測体制の整備に伴って、東海大地震が本当に発生するという受け止めを我々はいたしまして、これまで政府の特別な援助もいただき、本県を中心に関係6県、影響を範囲と目される周辺を含めた6県で合計これまでの20年間で約1兆1,000億弱、本県だけでも6,300億の地震対策事業を行ってまいりました。防潮堤の整備でありますとか、あるいは橋梁の強化、河川改修、避難路の整備等でございます。
 それに加えまして、県庁、市役所、役場等の防災拠点の整備などの単独事業もございまして、これを加えますと、本県でも1兆3,000億円を超える事業規模をこれまで実施してまいりました。
 お陰様でそれなりの、地震に強い県土づくりは達成されつつありますけれども、まだ残事業がありますので、財政特別措置法の延長なども実現をしていただいており、鋭意事業の推進を図るということで取り組んでおります。
 それ以外に是非政府、あるいは中央防災会議としても、力をお出しいただきたいなと思いますのは、国民の意識喚起だと存じます。鳥取県西部地震の場合も、発災時刻のよさと、阪神・淡路大震災の教訓が生かされまして、防災当局における初動体制の確立が非常によかったために、被害はありましたけれども、救援・救助が非常にうまくいったということもございます。
 しかし、全国的にみると必ずしもこういう意識を持っている地域ばかりというわけでもございません。今日の災害の状況を見ますと、地震に限らず噴火にしても、風水害にしても、非常に大規模化しており、加えて、いつ何時どこで起こるとも限らない状態でありますので、最低限、防災関係機関の被害情報の把握と救援・救助機関への救援依頼、即ち初動体制の確立と我々申し上げていますけれども、これの確立が速かに実現する体制の整備に是非重点を置いてやっていただきたいと存じます。
 東海大地震問題について付け加えて言えば、我々は予知ができることに非常に期待をいたしているわけで、この面について観測体制が急速に一段と整備されておりますことは、大変心強いわけでございますが、それでも現状で、特に本県の場合気がかりなのは、東西の幹線交通路、東海道新幹線、それから東名道路、これが貫通をしておりまして、ここにおきます災害対策の確立、これが非常に重要ではないかと考えております。道路公団やJR東海と連携を密にしながらやっておりますが、特にJR東海の場合は、昨年の東海豪雨におきまして、二十数時間全線にわたって列車が停車をして、あの場合大した被害はなかったわけでありますけれども、夏の時期冷房が止まる、中で水が足りなくなってトイレが使えなくなったとか、あるいは食料も底をついたという問題状況もございました。
 特に問題と思いますのは、駅に止まっている列車はいいのでございますが、駅間に大量な列車が止まっておりました。静岡県の場合でも、ピーク時に22本が通過をしているわけです。駅におるのも含めて22本がこの地域にあるということが想定されます。特に駅間に止まった場合には、線路をつたわってしか今のところ救援・救助に行けないわけでありますけれども、2車線しかありませんので、東名道路のように路側帯があって、救援車両が何とか駆け付けるという状態ではございません。
 したがって、沿線の最寄りの自治体と連携を取って、そこから救援・救助を得るという方法しかないわけであります。現在、JR東海とその面での協議に入っておりますが、是非この部分については、国の方の参画もいただいて、本格的な救援・救助体制の確立をしておく必要があると存じますので、よろしくお願いしたいと思います。

○伊吹防災担当大臣 ありがとうございました。

○斎藤防衛庁長官 私の方から、災害派遣体制の充実強化の中で、特に災害時における自衛隊の集結地等の確保につきまして、今後とも地方公共団体の御理解を得られるように働き掛ける等により、迅速かつ適切な災害派遣の実効性を確保し、国民の生命・財産の保護に万全を期してまいりたいと思いますので、皆さん方の御協力を切にお願いいたします。

○伊吹防災担当大臣 ありがとうございました。他に御意見はございますでしょうか。
よろしゅうございますか。

○德田委員 ちょうど今日は文化財防火デーでございまして、昭和25年に非常に貴重な文化財が焼失いたしまして、今日はその当日を記念する行事を毎年やっていますが、今、それぞれの先生お話がありましたが、日本列島を全体的に火災だけではなくて、地震帯の島でございまして、いつ、どこで、阪神・淡路でなくしても、どこでもある。
 先週北陸3県の大雪がありまして、ちょうど私は魚津というところに公務で出張しておりまして、消防団の殉職の慰霊祭でしたが、大変な雪でございまして、15年ぶりとか6年ぶりとかで、富山県、石川県、福井県、この3県を回ったんです。消防団が7か所、大きな災害があって、川の中に雪を捨てるものですから、その雪を捨てたために小さい川、全部オーバーして流れないようになって、床下とか床上浸水ができまして、消防がたくさん出動したと。合計2万7,000 人の消防団が3県で出たわけでございます。
 何があっても、災害というものは、大雨が降ろうと何が降ろうと非常にあるわけですが、今後、災害に対し、強い組織を市町村の消防機関ごとにつくっていこうと、こういうふうに私ども思っております。
以上でございます。

○伊吹防災担当大臣 ありがとうございました。
 いろいろ貴重な御意見をちょうだいいたしまして、誠にありがとうございました。その御意見も踏まえて、ここで会長でございます森内閣総理大臣より御発言がございます。

○総理 本日は有益な御審議をいただき、御意見の御開陳をいただきましてありがとうございました。会長としてお礼を申し上げます。
 本日の会議での御議論を受けまして、3点申し上げたいと存じます。
 第1に、かねてから伊吹大臣と福田官房長官には指示いたしておりますが、災害発生直後には、国・地方公共団体、関係機関等のさまざまな災害情報を迅速に吸収、集約をし、これを全体で共有し、その中から的確な情報を意思決定者に伝達し、果断な意思決定を行えるようにすることが、被害の軽減を図る上で何よりも重要であることから、政府の防災情報体制を中心に、新省庁の体制の下での我が国の防災体制について、改めて点検し、充実させること。
 第2に、従来から大地震発生の切迫性が高いと言われている南関東や東海地域などについて、対策状況の再点検を行い、地方公共団体、関係機関等との連携を一層密にし、実効性のある広域的防災体制を確立すること。
 第3に、特に東海地震については、大規模地震対策特別措置法の成立以来4半世紀が経過をしており、その間の観測体制の高密度化、高精度化や観測データの蓄積、新たな学術的知見等を踏まえて、地震対策の充実強化について検討することをお願い申し上げます。
今後ともこの中央防災会議を、我が国の防災に関する知恵の場として大いに活用し、もって我が国の防災行政を一層推進してまいりたいと思いますので、引き続き委員の皆様方の御尽力をお願い申し上げます。
 よろしくお願いします。

○伊吹防災担当大臣 ただいま総理からの御指示につきまして、関係省庁、各大臣に御協力をお願いいたしまして、早急に具体化を図りたいと思っております。
 なお、溝上先生、石川先生等からお話がございました東海地震対策につきましては、予知、初動の発動、その他、復旧を含めまして、この防災会議に専門調査会のようなものを設けて検討させていただきたいと思いますので、いずれこの点御連絡をいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)

○伊吹防災担当大臣 では、そのようにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 それでは、今日はこれをもちまして会議を終了させていただきますが、運営要領の第8の規定に基づき、会議終了後、私の方から今日の審議の内容等を記者発表をさせていただきます。
 その際、本日会議の資料も、特段支障はないと思いますので、先生からちょうだいいたしましたものも、公表することといたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)

○伊吹防災担当大臣 それでは、そのような扱いにさせていただきます。
 なお、記者発表でございますが、御発言のございました委員の名前は伏せて御意見を紹介するにとどめまして、後日議事要旨を公表いたします際に、あらかじめ御発言をいただいた皆様方の内容について、御確認をいただいた上で御発言者の名前を明記した議事要旨を公表したいと思っております。
 したがって、誠に恐縮でございますが、御出席いただきました委員の先生方には、それまでの間、また、その他の委員の皆様方も、自らの御発言を除き、対外的には未公表としていただくようにお願いいたします。
 次回の中央防災会議の日時、場所等につきましては、追って御連絡をさせていただきます。本日はお忙しいところ、誠にありがとうございました。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.