三宅島噴火に対する緊急的観測・監視体制の整備状況について

平成12年10月31日

国土庁防災局
(三宅島噴火及び新島・神津島近
海地震非常災害対策本部事務局)

1.背景

 三宅島噴火により、島内では泥流による道路寸断、停電、一般通信回線の障害、観測機器の損壊等が発生し、既設の観測機器の無停電化(自家発電機・太陽電池による電源確保)や通信強化策(データ送信の無線化・衛星通信化)、損壊した機器の替わりとなる新たな測器の設置が急がれた。
 また、島外に避難している方々の一時帰宅や帰島時期についての適切な判断、三宅島で作業を行っている防災関係者の安全確保のためには、火山活動等の迅速かつ的確な把握が必要である。
 このため、8月29日に設置された非常災害対策本部第一回本部会議で観測監視体制強化を決定し、地元の都や村や与党三党からも観測監視体制の強化を求める要望をいただいた。
 これらを受け、関係省庁(科学技術庁・文部省・通商産業省・海上保安庁・気象庁・郵政省・建設省)が連携して、
  • ①噴火の発生を捉えその規模等を即座に予測するための地震計や空振計の設置、
  • ②噴火の原動力となるマグマの位置や動きを把握するためのGPSや傾斜計の設置、
  • ③噴火活動の推移を観測・予測するための噴煙やガス、噴出物観測、上空からの表面温度観測や地形変動量調査
等により、火山活動及び地震活動の動向を迅速かつ的確に把握するための観測監視体制を緊急に強化することとした。
 この計画の策定にあたっては、複数の関係省庁にまたがることから、国土庁が全体とりまとめを行い、予備費14億円も使用して観測・監視体制の強化を図った(9月12日閣議決定)。

2.整備状況

 これらの整備のうち、 三宅島に観測機器を設置しなくてもよい、噴煙や火口の監視、地形変動量調査、表面温度観測を行うための三宅島上空(観測衛星含む)や近接の島嶼からのリモート観測等については、9月から即座に観測を開始 している。
 しかしながら 三宅島島内に設置する機器については、9月中旬頃から二酸化硫黄等の有毒ガスの放出量が増大 し、島内での設置作業での作業員の二次災害を防止する必要があったため、一部の機器は設置できたものの、 当初予定よりも設置が遅れていた
 これまで、設置作業における二次災害を防止するため、防衛庁・海上保安庁・警視庁・東京消防庁の協力を得て、上空からの監視・観測を行いながら、有毒ガスや万一の噴火に対する万全の安全策を取り、島内作業を続けてきた。
 その結果、設置に困難性が伴う山腹付近設置予定のものを除き、 三宅島に設置する機器については、概ね山麓の都道付近での機器設置が、10月末までに完了することとなった
 これらにより、
①噴火現象の監視機能の強化
高感度カメラを三宅島内外に設置することで夜間の噴火活動の監視体制を強化した。空気振動を捉える空振計のデータから噴火場所・噴火規模を推定出来るようになった。
②地下のマグマの挙動の把握
地震計やGPSの設置により、地震の発生頻度、規模や震源の推移を把握し、地殻変動データ等と合わせて総合的にマグマの挙動を総合的に判断する体制が強化された。
 が可能になった。
 なお、今後山腹等への観測機器の増強により、三宅島全体の活動の推移を把握でき、今後の噴火活動の見通しを検討できるデータを充実させる。政府対策本部としては、今後も観測監視体制の強化に限らず、三宅島等の災害対策についてできる限りの対応を行うこととしている。

お問い合わせ先:
国土庁防災局震災対策課火山対策係長
中辻(tel:03-3593-3311 内7224)

(別紙(ベッシ)

三宅島噴火(フンカ)に対する緊急的(テキ)観測・監視体制の整備(セイビ)状況(ジョウキョウ)について

平成(ヘイセイ)12年(ネン)10月(ツキ)31日(ヒ)現在(ゲンザイ)

○印(イン)は予備費の投入等により即座に観測を開始しているもの等

整備(セイビ)項目(コウモク) 整備目的 10月(ツキ)31日(ヒ)までに整備(セイビ)したもの 備考(ビコウ)
1.火山活動の監視
  (イ)地震計 火山性微動及び火山性地震を監視する 6 今後(コンゴ)山腹(サンプク)(トウ)
7点(テン)追加(ツイカ)予定(ヨテイ)
(ロ)空振計 噴火の有無、規模等の監視 3  
(ハ)遠望カメラ 噴火の表面現象を監視 4  
2.地殻・地形変動観測
  (イ)GPS 地殻変動量の監視 18 今後(コンゴ)山腹(サンプク)(トウ)
6点(テン)追加(ツイカ)予定(ヨテイ)
(ロ)傾斜計 傾斜変動量の監視 1 今後(コンゴ)山腹(サンプク)(トウ)
4点(テン)追加(ツイカ)予定(ヨテイ)
(ハ)海底地殻変動監視観測  地殻変動観測 - 11/11?設置、
観測開始(カイシ)
(ニ)水準測量  精密水準測量による地殻変動観測 - 実施時期(ジキ)検討中(ケントウチュウ)
(ホ)地形変動量調査  空中写真等(ナド)による地形変動量面的把握  
(ヘ)衛星画像による調査  衛星画像解析による調査  
(ト)航空機搭載SARによる調査  航空機映像レーダーによる調査  
(チ)衛星SARによる調査  衛星SARによる調査  
3.電磁気観測
  (イ)磁力計 地磁気変動量の監視 3 今後(コンゴ)山腹(サンプク)(トウ)
1点(テン)追加(ツイカ)予定(ヨテイ)
(ロ)電気抵抗探査 電気比抵抗の監視  
4.各種観測
  (イ)山体表面温度観測 空中赤外映像装置による山体表面温度監視  
(ロ)噴煙温度観測 熱赤外携帯カメラによる噴煙温度監視  
(ハ)噴火映像解析 噴火映像の詳細解析 2  
(ニ)噴煙移流分布解析 噴煙の移流等による分布変化を解析  
(ホ)ガス観測 噴出ガスの組成等の監視  
(ヘ)地下水観測 水位観測による歪変化量の監視等(トウ) 4  
(ト)噴出物観測 火山灰分析、火山岩微量成分分析等  

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