「激甚災害指定基準」、「局地激甚災害指定基準」及び「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律施行令」の一部改正について
1 改正の経緯
激甚災害制度は、国民経済に著しい影響を与えるような激甚な災害が発生した場合に、公共土木施設や農地等の災害復旧に必要な費用の負担に関して国庫補助の嵩上げを行い、地方公共団体の財政負担を軽減することなどを目的として昭和37年に創設されました。
公共土木施設災害復旧事業等に係る激甚災害の指定(全国的規模の本激の指定)については、制度発足当初は毎年1?2件指定されていましたが、市町村単位で行われるいわゆる「局激」を除けば、昭和59年以降の指定は阪神・淡路大震災の1件のみとなっています。
このため、近年の地方公共団体における財政の逼迫状況等を踏まえ、被災した団体の財政負担の緩和を図るとともに、被災地域の円滑かつ早期の復旧を図ることを目的として、公共土木施設等に激甚な被害が発生した災害については、これを適切に激甚災害に指定できるよう、「激甚災害指定基準」(昭和37年中央防災会議決定)の一部、「局地激甚災害指定基準」(昭和43年中央防災会議決定)の一部及び「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律施行令」(昭和37年政令第403号。以下「施行令」といいます。)の一部を改正しました。
2 激甚災害指定基準(公共土木施設関係)
激甚災害の指定には、
① 全国的に大きな被害をもたらした災害を指定する場合(いわゆる本激)と
② 局地的な災害によって大きな復旧費用が必要になった市町村を指定する場合(いわゆる局激)の二つがあり、さらに①の本激には、
A. 全国的に大規模な災害が生じた場合の基準(本激A基準)と
B. Aの災害ほど大規模でなくとも、特定の都道府県の区域に大きな被害がもたらされた場合の基準(本激B基準)があります。
3 改正の概要
1)本激A基準
本激Aの指定基準は、全国の査定見込額が全国の地方公共団体の標準税収入の一定割合を超えることを要件としていますが、この割合を大幅に引き下げることにしました。平成11年度の標準税収入(約30兆円)をもとに計算すれば、従来は約1兆2,000億円でしたが、改正後は約1,500億円を超える被害があれば本激の指定が可能になります。
4% | → | 0.5% |
約1兆2,000億円 | 約1,500億円 |
2)本激B基準
本激B基準は、次の2つの要件を満たす必要があります。
第1の要件は、全国の査定見込額が全国の地方公共団体の標準税収入の一定割合を超えることですが、この割合についても大幅に引き下げることとしました。平成11年度の標準税収入(約30兆円)をもとに計算すれば、従来は約3,600億円でしたが、改正後は約600億円を超える被害があれば、これを満たすことになります。
1.2% | → | 0.2% |
約3,600億円 | 約600億円 |
第2の要件は、次のいずれかを満たすことですが、これも大幅に引き下げることとしました。
ア. 一の都道府県の標準税収入に対する当該都道府県分の査定見込額の割合
100% | → | 25% |
イ. 一の都道府県内の市町村の標準税収入に対する当該都道府県内の市町村分査定見込額の割合
25% | → | 5% |
激甚災害指定基準の一部を以上のように改正したことにより、A基準、B基準を合わせて、おおむね1年に1回の本激の指定が可能になるものと考えられます。
3)特定地方公共団体の基準
国庫補助の上積みを受けるためには、災害復旧事業費等の自己負担額がその地方公共団体の標準税収入の一定割合を超えることが必要ですが、施行令の一部改正により、次のとおりその割合を従来の1/2に引き下げることとしました。
都道府県 | 20% | → | 10% |
市町村 | 10% | 5% |
4)局激基準
市町村単位で激甚災害の指定を行う場合の基準ですが、その市町村の標準税収入に対する査定事業費の割合を1/2に引き下げることとしました。
100% | → | 50% |
以上の改正により、例えば、平成10年の実績では、年間50市町村が局激指定を受けましたが、改正後の基準をもとに試算すれば、106市町村と倍増することになります。
4 改正日及び適用期日
・激甚災害指定基準及び局地激甚災害指定基準の改正
平成12年3月24日 中央防災会議決定。
・激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律施行令の一部を改正する政令
平成12年3月24日 閣議決定。
平成12年3月29日 公布、施行。
当該改正基準等は、平成12年1月1日以後に発生した災害から適用されます。
5 新旧対照表等
(いずれもpdfファイル)
連絡先 防災局防災企画課 03-3593-3311(代)内線 7215、7216 03-3501-5408(直) |