防災の動き

迅速・的確な救助のために: 災害救助法の改正

東日本大震災、平成28年熊本地震の教訓を踏まえ、いつ起こるか分からない災害に備えるため、内閣総理大臣の指定する救 助実施市の長による救助の実施に関する制度を創設することとする「災害救助法の一部を改正する法律(平成30年法律第52号。以下「改正法」といいます。)」が 平成30年6月に成立し、公布されました。ここでは、この改正法について紹介いたします。

1  改正法の経緯

平成28年4月に発生した熊本地震の対応の中で、災害救助の役割に関する課題が改めて認識され、平成 28年12月に中央防災会議熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策検討ワーキンググループがとりまとめた「熊本地震を踏まえた応急対策・生活支援策の在り方について」において、「より迅速、的確な救助の実施、災害救助の事務を円滑に行うという観点から、現行法による救助の実施体制や広域調整の在り方についても検討すべきである」という指摘がありました。その後、平成29年12月にとりまとめられた災害救助に関する実務検討会 の最終報告や、平成30年2月から宮城県、愛知県及び兵庫県で行った大規模・広域災害時の災害救助事務の連携強化に関する協議の場における実務的検討を踏まえ、検討を行いました。

改正法は、こうした検討を踏まえ、現行の事務委任制度に加えて、財政負担を含めた事務処理能力があり、都道府県としっかり連携できる指定都市に限り救助実施市として災害救助法(昭和22年法律第118号)における救助の主体とする制度を創設することにより、より円滑かつ迅速な救助を可能とするものです。

改正法は、平成30年5月8日に閣議決定、同日に衆議院に提出され、衆参両院での審議を経て、同年6月8日に全会一致をもって可決・成立、同15日に公布されました。

2 改正法の概要

(1) 救助実施市の長による救助の実施

救助実施市(その防災体制、財政状況等を勘案し、災害に際し円滑かつ迅速に救助を行うことができるものとして内閣総理大臣が指定する市をいう。以下同じ。) の長が、その区域内において災害により被害を受け、現に救助を必要とする者に対する救助を行うものとしました。

(2) 都道府県知事による連絡調整

都道府県知事は、救助実施市の区域及び救助実施市以外の市町村の区域にわたり発生した災害に際し、救助に必要な物資の供給又は役務の提供が適正かつ円滑に行われるよう、救助実施市の長及び物資の生産等を業とする者等との連絡調整を行うものとしました。

(3) 救助に要した費用の支弁区分

救助実施市の長による救助に要する費用は、救助実施市が支弁するものとしました。

(4)国庫負担

国庫は、救助実施市が支弁した費用等の合計額が政令で定める額以上となる場合に、その一部を負担するものとしました。

(5) 災害救助基金

救助実施市は、費用の支弁の財源に充てるため、災害救助基金を積み立てておかなければならないものとしました。

都道府県及び救助実施市の災害救助基金の各年度における最少額は、都道府県の地方税法に定める普通税の収入額の決算額を基に算定した額とし、災害救助基金がその最少額に達していない場合は、政令で定める金額を当該年度において積み立てなければならないものとしました

(6) 改正法の施行日

改正法は、一部の規定を除き、平成31年4月1日から施行するものとしました。

災害救助法の一部を改正する法律の概要


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