防災の動き

災害から事業を守る「防災経済」

自助・共助の促進による社会全体の災害リスクマネジメント力を向上させるため、民間事業者においても大規模な自然災害に対する事前の備えを充実させていく必要があります。災害への備えを促進するためには、事業者の事業運営に関係する多様な主体が、共通の理念の下に働きかけをしていくことが効果的です。こうしたアプローチを実現するため、有志の業界団体の自律的な取組として、平成29年9月に経済界の13団体の代表者で構成される「防災経済コンソーシアム(仮称)」設立準備会が発足しました。その後4回の設立準備会では、本取組の意義や方向性、取組方法等を中心に議論がなされ、平成30年3月に経済界の13団体のメンバーで構成される「防災経済コンソーシアム」が設立されました。

防災経済コンソーシアムでは、事業者が耐震補強やBCP対策等による「リスクコントロール」と保険加入、融資、現金保有等による「リスクファイナンス」の適切な組み合わせによる効果的な災害リスクマネジメントを実践していくよう、コンソーシアムメンバーが創意・工夫により事業者にアプローチしていくことを目指しています。

 『防災経済』という言葉は、「経済活動においても防災をしっかり行っていく」といった意味を込めた造語です。コンソーシアムでは、メンバーが共通理念の下、自主的に活動することを目指していきます。

防災経済コンソーシアムの設立と併せて、事業者の災害への事前の備えに向けた共通理念として「防災経済行動原則」が策定されました。【前文】には、事業者が事前の備えとして行うべき4つの重要な事項を定めています。コンソーシアムメンバーはこの4つの重要な事項の実践に必要な推進を図り、事業者の災害リスクマネジメント向上を目指していきます。

大規模な自然災害が発生すると、地域経済が大きな影響を受けることが想定されます。事業者の事前の備えにより、経済活動への被害を最小限に抑え、速やかに復旧することが地域経済を守ることにつながります。日頃の事業活動においては取引先、金融機関、事業者団体等の関係機関等との連携・コミュニケーションを図り、防災対策を実施しておくことが重要です。また、この取組では地域の防災対策をリードする地方公共団体との連携も期待されるところです。

内閣府は、こうした産業界の取組を官民一体で活動する新たな枠組として支援してまいります。

防災経済コンソーシアムを通じた取組イメージ


防災経済行動原則

平成30年3月23日
防災経済コンソーシアム

【前文】

我が国は、その自然的条件から災害が発生しやすい特性を有している。このため事業者は、災害リスクマネジメントが事業経営上の根幹をなすことを認識して意思決定等の行動を行うことが重要である。特に大規模災害時には公助に一定の限界があることから、事業者は、自助・共助による以下(1)~(4)の事前の備えを行うことが重要である。

  • (1) 事業者は、自らの災害リスクを適切に認識・把握する。
  • (2) 事業者は、認識・把握した自らの災害リスクに応じて、リスクコントロール(耐震補強、BCP対策等)とリスクファイナンス(保険加入、融資、現金保有等)の組合せによる効果的な災害リスクマネジメントによって、防災対策を実施する。
  • (3) 事業者は、自らが主体的に行動するため、自らの役職員への防災教育の充実により意識を向上させる。
  • (4) 事業者は、自らの事業経営に不可欠な取引先、金融機関、事業者団体等の関係機関等と連携・コミュニケーションを図り、自助・共助の防災対策を実施する。
防災経済行動原則は、事業者が自助・共助による事前の備えを行うことによって、結果として社会全体の災害リスクマネジメント力が高まるように、防災経済コンソーシアムのメンバーの活動上尊重されるべきものである。

【防災経済行動原則】

  1. 防災経済コンソーシアムのメンバーは、【前文】(1)~(4)の実現を図るために必要な推進を図る。
  2. 防災経済コンソーシアムのメンバーは、防災経済コンソーシアムへの情報共有や事業者への還元など、得られた知見は可能な限り共有し、社会全体の災害リスクマネジメント力向上の推進を図る。
  3. 防災経済コンソーシアムのメンバーは、メンバーが属する業界の特性に応じた創意工夫により、事業者の災害リスクマネジメント力向上のための普及・啓発を図る。
 

以上


〈内閣府(防災担当)防災計画担当〉

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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