不屈の大地 Build Back Betterの軌跡

雲仙・普賢岳噴火からの復興 平成2年(1990)長崎県

平成2年(1990)から約6年間続いた雲仙・普賢岳の噴火活動は、火砕流や土石流が繰り返し発生し、地域に深刻な被害を与えました。

地図

長崎県の島原半島中央部に位置する雲仙・普賢岳が198年ぶりに噴火したのは、平成2年(1990) 11月17日。山頂付近の火口には噴出したマグマが固まり、溶岩ドームが形成されました。溶岩ドームの成長にともない、その崩落による火砕流が頻発。中でも、平成3年(1991) 6月3日に水無川流域を襲った大規模火砕流は、消防団員、住民、マスコミ関係者など40名が死亡、3名が行方不明となる大惨事を引き起こしました。堆積した火山灰や噴石などが降雨によって流れ出す土石流も度々発生し、住宅、学校、交通インフラに大きな被害を与えました。

平成3年5月、雲仙・普賢岳の溶岩ドームの崩壊で発生した火砕流。

平成3年5月、雲仙・普賢岳の溶岩ドームの崩壊で発生した火砕流。
(写真提供:島原市)

こうした中、被害の拡大を防ぐために国は、水無川など3つの河川で砂防事業を推進するとともに、監視カメラ、振動センサーなどによる土石流監視システムを整備。さらに、国・県・市及び地域住民が一体となり、堆積土砂を活用して、被災した水無川流域の土地を嵩上げし、住宅、農地、道路などの再建を支援しました。

雲仙・普賢岳は平成8年(1996)に噴火活動の終息が宣言さ れましたが、地震や大雨による溶岩ドームの崩壊及び土石流の危 険性があるため、現在も監視活動や砂防事業が続けられています。

島原市や南島原市では、火砕流や土石流による被害を受け た小学校校舎や家屋の保存展示や、小学生を対象とした火山・ 砂防学習教室や被災者体験講話などを通じて、噴火災害の脅 威を後世に伝え、地域防災力を高める活動も行われています。

模型を使って土砂災害の仕組みを学ぶ、長崎県島原市安中地区の小学生。

模型を使って土砂災害の仕組みを学ぶ、長崎県島原市安中地区の小学生。
(写真提供:国土交通省九州地方整備局雲仙復興事務所)


大野木場監視所(愛称:砂防みらい館)

表紙の写真

山頂に溶岩ドームが形成されている雲仙・普賢岳。手前を流れるのが、火砕流や土石流が頻発した水無川。溶岩ドームの崩壊や土石流に備えて、現在も砂防施設の建設が進められています。

表紙絵

(写真提供:国土交通省九州地方整備局雲仙復興事務所)

Build Back Betterとは

「Build Back Better(より良い復興)」 とは、2015年3月に宮城県仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」の成果文書である「仙台防災枠組」の中に示された、災害復興段階における抜本的な災害予防策を実施するための考え方です。

本シリーズでは、災害が発生した国内外の事例を紹介し、過去の災害を機により良い街づくり、国土づくりを行った姿を紹介いたします。

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