防災の動き

「国際復興フォーラム2018」が兵庫県神戸市で開催

2018年1月24日、兵庫県の神戸市において、内閣府や兵庫県、国際復興支援プラットフォーム(IRP)、アジア防災センター(ADRC)、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)の主催による「国際復興フォーラム2018~都市のレジリエンスを強化させるためのBuild Back Better~」が開催されました。

このフォーラムは、被災地の復興過程において、次の災害に備えたより強靱な社会を構築する「より良い復興(Build Back Better:BBB)」の実現を目指すIRPが、その活動の一環として2005年の発足以来、毎年開催しているものです。今回は、「第3回国連防災世界会議」において採択された「仙台防災枠組2015-2030」でも、重要な課題として認識されているBBBと都市のレジリエンス強化に注目し、BBBがその強化にいかに重要な役割を果たすのか、実践や経験を共有するとともに、そこから得られた知識や教訓への討議が、BBBに向けた成果として、メディア等を通じて発信されました。

当日は、23の国や19の国際機関等から119名が参加する中、日本政府からは、前川守内閣府審議官が代表として出席し、主催者挨拶を行うとともに、佐谷説子内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当)がパネルディスカッションに参加するなどしました。主な内容は次のとおりです。

概要

1.開会

開会にあたり、IRP運営委員会議長であるステファン・コーラー国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)バングラデシュ担当局長より挨拶が、続けて前川守内閣府審議官及び金澤和夫兵庫県副知事より主催者挨拶がありました。前川審議官はその中で、東日本大震災の被災地における「復興計画への住民や事業者等の関係者の参画」や「目に見えるインフラのみならず経済・社会・環境面も考慮したBBBの重要性」など、「都市におけるBBB」に関連した日本の教訓などについて触れました。また、金澤副知事は阪神・淡路大震災を経験した県として、世界にその教訓を発信するにあたり、BBBの考え方の根源ともなっている「創造的復興」の重要性を唱えていることや、差し迫る南海トラフ地震、首都直下地震、世界各地で多発する災害に対し、世界が連携することの必要性などを訴えました。

集合写真
集合写真

2.特別講演

特別講演では、豊橋技術科学大学の大西隆学長が、「大災害の経験からBuild Back Betterを考える」をテーマに、BBBは単なる再建ではなく、「次の災害に備える」もので、「二度と同じ災害に遭わない対策であること」といった概念や、東日本大震災の被災地での、人口減少下における復興まちづくりの難しさなどについて紹介しました。また、合意形成を簡便にするために細分化、乱立した小規模計画が、住民同士のつながりを更に希薄化することから、計画の統合による活性化の必要性や、計画が円滑に推進されるためには、各レベルでの責任を明確にすることが重要であることなどを述べました。

3.パネルディスカッション

「都市のレジリエンスにとってBuild Back Betterはどのような意義があるのか?」と題したパネルディスカッション1では、「『Better』を検討するには比較対象の元の状況を理解する必要があり、それには科学者なども交え、様々なデータやエビデンスを基にした議論が必要である」等の意見交換がなされました。続いて、「過去の実践事例や先進的取組から学んだ革新的アプローチ及び都市におけるBuild Back Betterの成果を評価する方法」と題したパネルディスカッション2では、「復興計画はスピードが重要であり、それが遅れると個別の再建が進むことでBBBが困難となり、災害前と同じ街になってしまう」という意見などが述べられました。また、「『Better』の測定はレジリエンスを測ることと同様に難しく、社会共通の課題、また今回のフォーラムでの課題として記録すべき」との提案がありました。

フォーラムの様子
フォーラムの様子

4.総括及び閉会

パネルディスカッション2のモデレーターなどを務めたナイジェル・フィッシャー元国連事務次長補、内閣府の佐谷参事官による総括及び閉会では、BBBには事前計画が必要である点、様々なステークホルダーと連携を取りつつも復興計画にはスピードが重視される点、災害に対する脆弱性やリスクの正確な把握とその周知が必要である点などが指摘されました。また、本フォーラムのような世界的なネットワークも重要であるとし、Build “Back” Betterならぬ、Build “Forward” Betterを掲げ、防災に取り組む我々が、将来に向けて、前を向いて進もうと宣言し閉会しました。


〈内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当 〉

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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