特集 「防災推進国民大会2017(ぼうさいこくたい)」の開催について

表題

はじめに

「防災推進国民大会2017」が11月26日(日)、27日(月)に宮城県仙台市の仙台国際センターにおいて、防災推進国民大会2017実行委員会(内閣府、防災推進国民会議、防災推進協議会)主催により開催されました。以下、同大会について報告いたします。

「ぼうさいこくたい」の背景

日本では大規模災害の発生が懸念されるほか、毎年豪雨災害や火山噴火等の自然災害が発生しており、国民全体で防災意識を向上させることが急務です。このため、防災に関連する全国規模の団体のネットワークを活用し、幅広い層に防災意識の向上を呼びかけることを目的として、安倍総理大臣のリーダーシップにより、「防災推進国民会議」が平成27年9月に設立されました。これは、「仙台防災枠組2015-2030」において、各国政府は市民社会、企業、ボランティア、コミュニティ団体、学術界等、各ステークホルダーに災害リスク削減に関する取組を奨励することが規定されたことに応えるものです。

「防災推進国民会議」では、「自助・共助」及び「多様な主体の連携」を促進し、国民の皆様の防災意識の向上、災害に関する知識や経験の共有等を図ることを目的とし、昨年より「防災推進国民大会(以下、「ぼうさいこくたい」という。)」を行っております。今大会はその2回目となるもので、宮城県仙台市にある仙台国際センターにて行いました。仙台市で行った理由としては、「仙台及び東北地方が防災に対する先進性が高く、防災意識の引き上げを先導できること」、「仙台及び東北地方が防災関係者の間で、国際的にも知名度が高いこと」が挙げられます。また、同時期に同会場にて、世界防災フォーラム実行委員会が主催する世界防災フォーラム/防災ダボス会議@仙台2017、日刊工業新聞社が主催する2017防災産業展in仙台の防災に関する3催事が行われたことによって、仙台国際センターが国内外の防災に取り組む方々、産官学民の防災に関する様々な知見が集まる場となりました。

開催概要

大規模災害への備え
~みんなの連携が力になる防災~
日時 平成29年11月26日(日)~27日(月)
場所 仙台国際センター(会議棟、展示棟)、国際センター駅、せんだい青葉山交流広場
主催 防災推進国民大会2017実行委員会(内閣府、防災推進国民会議、防災推進協議会)
催事数 118催事
来場者数 約10,000名

今回の「ぼうさいこくたい」は「大規模災害への備え~みんなの連携が力になる防災~」をテーマとし、家族連れから専門家まで幅広い方々が楽しく学べるプログラムになるよう、企画しました。また、3つの小テーマ(「地域における連携を深める」「防災について学ぶ」「誰もが参加する防災」)を設け、出展団体には小テーマのいずれかに沿った出展を行っていただくことによって、「ぼうさいこくたい」のメッセージを来場者のみなさまにわかりやすく、一体感を持って伝えることができました。(当日のプログラム等の詳細については、公式HPをご覧ください http://bosai-kokutai.jp/

ここでそのプログラムの一部を紹介いたします。

オープニングセッション (開会宣言、ハイレベル・パネルディスカッション)

26日(日)10時から世界防災フォーラムとの合同オープニングセッションが行われ、冒頭小此木八郎防災担当大臣が開会宣言を行いました。開会宣言では、『本日お集まりの皆様が、「自助・共助」の中心的な役割を担う主役です。日頃から防災に取り組む皆様が、東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方の「杜の都」仙台に集い、お互いに様々なことを学び、そして防災・減災に対する気持ちを共有し合うことを通じて、より連携を深化させていただきたいと存じます。また、この2日間の様々な議論を通じて、皆様の防災意識や気持ちが高まって、国の内外を問わず多くの皆様にその想いが発信され、共有されればと考えています。』と「自助・共助」の重要性や各ステークホルダー間の連携の必要性、災害の経験を国内外に発信していくことの大切さについて強調しました。

「ハイレベル・パネルディスカッション」では、東北大学の今村文彦教授をファシリテータとし、海外からの登壇者も含め6人の各界の代表者が、大規模災害に備えた連携について、意見交換を行いました。組織の壁を超えた各ステークホルダー間の連携が重要であることや、平時から「顔の見える地域の関係づくり」を行うための取り組み等が紹介されました。

  • 小此木大臣の開会宣言
    小此木大臣の開会宣言
  • ハイレベル・パネルディスカッションの様子
    ハイレベル・パネルディスカッションの様子

テーマセッション・団体別セッション

会議棟・展示棟のセッション会場では、2日間で計26のセッションを行いました。内閣府や各界各層の団体等が連携して行うテーマセッションでは、具体的に今後必要となる「自助・共助」の取り組みについて議論を行いました。「あの時地区防災計画があれば・・・」、「東北スペシャルセッション『Build Back Better~よりよい復興~』」等のセッションでは、地元宮城県で活躍されている自治体の職員や団体の方々とともに、パネルディスカッション等を行いました。地域に潜む災害リスクを学び、災害を受けにくい地域づくり・まちづくりに努めること、日頃から地域の活動に参加して地域の方々との交流を持つこと、「地区防災計画」を活用するなどにより平常時から発災時の対応を計画し活動すること、東日本大震災への復興の活動と課題について話し合い、その取組の必要性について認識を共有しました。

  • 「あの時地区防災計画があれば・・・」のセッション風景
    「あの時地区防災計画があれば・・・」のセッション風景
  • 「東北スペシャルセッション『Build Back Better~よりよい復興~』のセッション風景
    「東北スペシャルセッション『Build Back Better~よりよい復興~』のセッション風景

その他、各団体がテーマに沿って講演やシンポジウムを行う団体別セッションでは、人工衛星による膨大なデータを防災・減災、災害復興の幅広い分野で活用する現状と今後の計画を発表する「衛星情報・地理情報と防災イノベーション」などの学術関係者による専門的な講演、TEAM防災ジャパン※主催の「リレートーク『どう備える?備蓄』」と題した政府、自治体、大学等が「備蓄」をテーマに役に立つ情報をリレー形式で語るセッション、企業の事業継続計画(BCP)の基本を学べる「会社が安心で地域も安心(中小企業向け、BCPの基本を学ぶ)」などのセッションが行われ、産官学民の最新の防災知見を発信しました。

「リレートーク『どう備える?備蓄』」のセッション風景
「リレートーク『どう備える?備蓄』」のセッション風景

その他の展示について

会議棟・展示棟のホワイエ部分には多くのブース展示やポスターが並び、出展団体が日頃から行っている防災・減災活動を発表しました。展示棟・会議棟のホワイエには人があふれ、「これはどういった取り組みですか」との質問に、詳しく説明を行っている様子を見ることができました。

多くの人が賑わう展示棟のホワイエ
多くの人が賑わう展示棟のホワイエ

仙台国際センター駅では、26日(日)に地元仙台市主催の「せんだい防災パビリオン」が行われました。東北福祉大学の減災・防災サークルが行う防災レンジャーショー、科学実験を交えた防災講演「防災エンスショー」など、1日中楽しく防災を学べるステージショーや体験型イベントを行い、家族連れを中心とした多くの来場者が訪れました。

国際センター駅(せんだい防災パビリオンの様子)
国際センター駅(せんだい防災パビリオンの様子)

せんだい青葉山交流広場では、「ぼうさいこくたい」初の屋外展示を用意し、日頃防災に触れていない家族連れ等でも気軽に楽しめるように、消防車、自衛隊車両、起震車等の大型車両の展示、仙台風芋煮・アルファ米が食べられる炊き出し体験等を行いました。また、そのような方々が少しでも防災・減災に触れる機会を増やすため、「ぼうさいこくたい」の会場全体を舞台に防災を学びながら宝探しをする、「防災×謎解き宝探しゲーム」を行いました。これにより、防災の専門家から家族連れまでが会場を行き交い、それぞれの防災について考える機会を作ることができました。

  • 屋外展示(いろいろな消防車大集合)
    屋外展示(いろいろな消防車大集合)
  • 防災×謎解き宝探しゲームに並ぶ来場者
    防災×謎解き宝探しゲームに並ぶ来場者

仙台ぼうさいこくたい憲章

27日(月)の14:30から行われたクロージングセッションでは、各テーマセッションで、「自助・共助」、「多様な主体の連携」に関する行動についての経験や課題、今後必要となる行動について議論をした結果として、「仙台ぼうさいこくたい憲章」が取りまとめられました。来る大規模災害に対して、連携はなぜ力になるのか、連携による主体別自助・共助の行動が記され、公助による取組に加え、今後更なる自助・共助による取組が必要であることの認識を共有しました。

クロージングセッションの様子
クロージングセッションの様子

効果

大会期間中に、来場者約1万人、動画の生中継の閲覧者約1千人、またテレビや新聞報道でも取りあげられました。これによって、多くの人々に自助・共助による連携の大切さという「ぼうさいこくたい」のメッセージが受けとめられたものと考えています。特に来場者に対するアンケートでは、97%の人が来場により防災意識が向上したと答えており、大きな効果が見られました。また、来場者の84%が防災関係の仕事や研究を行っている方ではないことから、前回大会(前回大会の来場者は防災関係の仕事や研究に携わっている方が半分)よりさらに多くの一般の方々に対して、防災について楽しく学べる場を提供することができました。

来場者アンケート結果

来場者アンケート結果

来場者の声

  • 毎年開催して欲しい。防災意識を強く感じた。

  • とても雰囲気がよく、すべてのブースで楽しむことができた。

  • 地域で防災活動をしており、参加者は高齢者が多いが、今大会の参加者は若い方々が多く、心強かった。

  • 他の地方でも開催して欲しい。

第3回大会に向けて

防災推進国民大会2018(仮称)は、平成30年秋頃に東京にて開催する予定です。今年の成果を踏まえ、「自助・共助」及び「多様な主体の連携」をより一層深められるように準備を進めてまいります。

参考

ぼうさいこくたい」の各セッションの写真やディスカッション等で使用した資料の一部については、「ぼうさいこくたい」のHPよりダウンロードしていただけます。

URL http://bosai-kokutai.jp/

※TEAM防災ジャパンとは

TEAM防災ジャパン

内閣府(防災担当)が運営する防災に関するあらゆる情報が集約されたポータルサイトです。全国各地で行われている防災イベントの紹介、防災に関連するニュースや防災教育コンテンツの提供を行うほか、様々な団体が作成している防災に関する資料などを集約しています。

URL https://bosaijapan.jp/


〈内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当〉

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.