防災の動き

「津波防災の日」・「世界津波の日」の 取り組みについて

はじめに

11月5日は「津波防災の日」です。これは、江戸時代末期の1854年12月24日の安政南海地震で、紀州広村(現和歌山県広川町)を津波が襲った際に、稲むらに火を付けて、暗闇の中で逃げ遅れた人たちを高台に避難させて命を救った濱口梧陵の「稲むらの火」の逸話にちなんでいます。未曾有の被害を及ぼした東日本大震災の教訓を生かし、津波対策を総合的に推進するため、2011年に「津波対策の推進に関する法律」で定められました。

また、津波による被害は日本のみならず、世界各地で発生しています。このため、日本の働きかけにより2015年には国連決議により11月5日が「世界津波の日」として制定され、さらに、これを受けて、2017年3月に「津波対策の推進に関する法律」にも位置付けられ、国民の間に広く津波対策についての理解と関心を深めるよう、それにふさわしい行事を実施することとされました。

毎年、11月5日の津波防災の日を中心に、全国各地で津波防災訓練や意識啓発の取り組みが実施され、内閣府においては、今年も全国各地での防災訓練や啓発イベント等の各種取り組みを実施しています。以下、内閣府で実施した各種取り組みについて報告いたします。

地震・津波防災訓練

内閣府では、2014年度より、全国の地方公共団体、民間企業などに対し、11月5日の「津波防災の日」・「世界津波の日」の前後での地震・津波防災訓練の実施を呼びかけています。

今年も全国各地の約300の団体にご賛同いただき、住民参加の避難訓練などが実施されました。

このうち、9箇所では、地方公共団体と内閣府が連携した住民参加型の地震・津波防災訓練を実施し、約44,000人に参加していただきました。この訓練は、①地震発生時に我が身を守る(シェイクアウト訓練)、②揺れが収まった後に最寄りの避難場所等へ避難(津波避難訓練)を基本とし、地域によって避難所開設、災害対策本部設置、炊き出しといった訓練を実施しています。

今後も、地方公共団体と連携した地震・津波防災訓練の実施と防災意識の向上に努めてまいります。

  • シェイクアウト訓練(鹿児島県志布志市)
    シェイクアウト訓練(鹿児島県志布志市)
  • 小学生の津波避難訓練(沖縄県うるま市)
    小学生の津波避難訓練(沖縄県うるま市)
  • 要配慮者の避難誘導訓練(大阪府泉佐野市)
    要配慮者の避難誘導訓練(大阪府泉佐野市)
  • 避難所開設訓練(秋田県秋田市)
    避難所開設訓練(秋田県秋田市)

啓発イベント

内閣府では毎年「津波防災の日」にシンポジウム等のイベントを開催しており、今年は11月5日(日)に内閣府、防災推進協議会、防災推進国民会議の主催により東京大学(伊藤謝恩ホール)で啓発イベント「津波防災スペシャルゼミin本郷~津波について学ぼう~」を開催しました。

津波の発生時には、人々が迅速かつ適切な行動をとることにより、人命に対する被害を相当程度軽減することができることから、津波に対する理解と関心を深めることは津波防災にあたり大変重要です。

このため同イベントは、津波やその対策に関する科学的見地に基づいた理解を深めることを目的に実施されました。

オープニングでは、小此木内閣府特命担当大臣(防災)より、普段から一人ひとりが災害に備える「自助」、地域社会みんなが助け合う「共助」が大切であり、東日本大震災時の釜石の小中学校の話を交えて過去の経験や教訓から学ぶことなど日頃から津波防災対策を行うこと、日常生活の中で具体的な取り組みが行われることを期待する旨挨拶がありました。

オープニング 小此木内閣府特命担当大臣(防災)
オープニング 小此木内閣府特命担当大臣(防災)

1時間目「津波のメカニズム」では、今村文彦教授(東北大学)から、津波から生き抜く方法を深めるために、津波の基本的な仕組み、東日本大震災の津波ではどのような被害がでたのか、更に、実際に津波が襲ってきた場合の対応をシミュレーションすることの大切さ等を説明していただきました。

1時間目 今村文彦教授
1時間目 今村文彦教授

2時間目「津波に強い地域づくり」では、阪本真由美准教授(兵庫県立大学)から、災害時の人と人との相互支援を表す「共助」を通じた地域づくりを考えることや、「共助」により災害に強い地域をつくるにはどのような取り組みが必要か等を説明していただきました。

2時間目 阪本真由美准教授
2時間目 阪本真由美准教授

3時間目「ビルド・バック・ベター」では、加藤孝明准教授(東京大学)から、より良い復興(ビルド・バック・ベター)に向けて、従前の地域課題を解決し、同時に時代を先取りした持続性のある地域社会をつくるため、復興政策だけではなく、被災前の地域社会の体質改善が不可欠であること等を説明していただきました。

3時間目 加藤孝明准教授
3時間目 加藤孝明准教授

続いて、学生3グループ(①尚絅(しょうけい)学院大学、東北福祉大学、宮城教育大学、東海大学、②日本赤十字看護大学、③兵庫県立舞子高等学校、兵庫県立大学)より、地域に住む一人ひとりが協力して地域防災力を高める方策等について発表がありました。

  • 4時間目 学生グループによる発表①
    4時間目 学生グループによる発表①
  • 4時間目 学生グループによる発表②
    4時間目 学生グループによる発表②
  • 4時間目 学生グループによる発表③
    4時間目 学生グループによる発表③

おわりに

内閣府ではこれらの訓練、イベントに加え、啓発ポスターの掲示や全国のコンビニ、スーパー等のPOSレジディスプレイでの広報画像の表示、内閣府ホームページによる情報発信など、様々な媒体を活用し、津波に対する啓発に取り組んでいます。このような取り組みについては、行政だけでなく、各種関係団体や民間企業、そして国民の皆様が一体となって実施することが非常に重要です。今後発生が懸念される南海トラフ地震などの巨大災害に備え、津波被害の軽減や防災意識の向上に向け、継続的に取り組みを実施していただけるようよろしくお願い致します。

POSレジディスプレイで表示した広報画像
POSレジディスプレイで表示した広報画像
〈内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当、地方・訓練担当〉

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