防災の動き

災害復興への備え

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仙台防災枠組(※)は、災害リスクを減らすために復興が極めて重要であると捉えています。それには、十分な投資とリスクを考慮にいれた復興事業こそが、長期的に強靭性(災害からの回復力)を構築し、持続可能な開発を実現できるという理解が背景にあります。

しかし、復興は、多くの場合、迅速に再建しなければならないという思いのもとで行われるとともに、短期間且つ資源も限られた状態で行うことから、失敗する可能性があるということです。大抵の場合、事前の準備が不十分なため、結果的に最初の災害を引き起こすことになった脆弱さを再び構築することになってしまいます。この決定的な過ちを回避するためには、復興に向けた準備をよく計画すること、災害に対してあらかじめ十分に取り組むこと、そして必要な時必要な場所で計画を実施にうつすことが必要です。つまり、復興の成功は、国家の能力やそれまでの責任を持った介入が重要と言えます。

「災害への備え」は、その脅威に対して住民自身が対応できるよう備えておくべきであるという考え方です。これは目新しいものではなく、国際的に各国政府が優先事項としてきた典型的な考え方です。他方、「復興への備え」という概念は比較的新しいものです。後者に関しては、人道支援のフェーズさえも超えた、災害がもたらす余波に対しての備え、加えて、災害後によく見られるような混乱状態や政治の中で見失うことなく復興プログラムを実行するためのシステム・リソース・政策及び予算を確保することに焦点を当てています。

国連開発計画(以下、「UNDP」という)及び日本政府は、このような手段に対する必要性を理解し、復興への備えを強化すべく、他国やパートナーと共に取り組んでいます。

地域レベルの取組として、UNDPは、2015年から2016年にかけて、東南アジア諸国連合(以下、ASEANという)及びミャンマー政府とともにASEAN Disaster Recovery Reference Guide(ADRRG)(アセアン災害復興参照ガイド(仮訳))を作成しました。ADRRGは、地域の復興に向けた制度・政策・計画そして実行に至る指針を提供するために、様々な国からの経験と復興の最優良事例を活用しています。ADRRGは、災害後復興ニーズ評価調査を担う国の能力開発と復興のためのリソースを増やすことを重視しています。ADRRGは、ASEAN各国における能力開発プログラムを支援する基礎となりました。

一方、日本政府は、UNDPが5つの国々で実施している「強靭な復興に向けた準備プロジェクト」に対して資金を提供することで、復興準備への支援を行ってきました。このプロジェクトは、アンゴラ、ブルキナ・ファソ、カーボ・ヴェルデ、ニジェール及びルワンダで実施されています。例えば、アンゴラでは、干ばつによる影響の評価調査を行い、影響を受けた地域の詳細な復興計画を作成しました。ルワンダでは、強靭な住宅建設のために国家復興戦略とガイドラインを作成し、カーボ・ヴェルデでは、大規模な火山噴火を受けて、ADRRGのリソースを活用し、包括的な国家防災・復興枠組を作成しました。

災害への備えにしても復興への備えにしても、理屈は同じです。備えることは道理にかなっています。資源や時間を抑えて、努力の質を高めます。先を見据えて、UNDPはアフリカでの経験を活かし、復興のためだけでなく長い目で災害リスクを削減するスキルや能力を強化しながら、UNDPのプロジェクトを他の地域や異なる災害シナリオも視野にいれて発展させていきます。

(※)2015年3月に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議(WCDRR)において採択された「仙台防災枠組」には、「Build Back Better(より良い復興)」 などの施策が盛り込まれた。

インドネシアのバリ島における避難訓練の様子

(写真)インドネシアのバリ島における避難訓練の様子。2017年度、UNDPは日本政府から資金拠出を受け、アジア18か国の学校における避難訓練を順次実施中。

東北大学及び富士通株式会社と協力し、災害データの分析に基づいた避難訓練経路の特定・現地語での避難ガイドライン作成等を通じて同プロジェクトを支援。

プロジェクト前は学校の2階が避難先であったが、津波の到達予測を改めた結果、近隣ホテルの6階屋上が安全な避難先であることが明らかとなり、バリ島における8つのホテルが1,400名の子ども達の避難先となることに合意、覚書に署名。

(写真提供:UNDP)
〈Krishna Vatsa 国連開発計画(UNDP) 政策プログラム支援局 気候変動・防災チーム 復興首席担当官 〉

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内閣府政策統括官(防災担当)

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