防災の動き

9月1日の「防災の日」を中心に、政府や地方公共団体などで多くの防災訓練が実施されました。特に政府においては、首都直下地震を想定した政府本部運営訓練を官邸で実施するとともに、安倍内閣総理大臣や小此木防災担当大臣が神奈川県小田原市で行われた九都県市合同防災訓練の視察等を行いました。

政府本部運営訓練

防災の日には各地で様々な訓練が実施されましたが、政府では、主に閣僚等を対象として、大規模な地震が発生した際の初動の災害対応や地方公共団体との連携手順などを確認するための「政府本部運営訓練」を実施しました。

「政府本部運営訓練」は大きく分けて2つの訓練があります。はじめは閣僚等による総理大臣官邸への参集訓練です。午前7時10分に最大震度7の首都直下地震が発生し、総理大臣官邸周辺の道路の破損や渋滞等により車両による参集が困難であることを想定し、閣僚等が自宅や自省庁等から徒歩で総理大臣官邸へ参集する訓練を実施しました。各閣僚は徒歩により総理大臣官邸へ参集し、災害時における参集ルートを確認しました。

次に、首都直下地震に伴う緊急災害対策本部の運営訓練を実施しました。緊急災害対策本部とは、極めて激甚な災害が発生した場合に、災害応急対策を推進するために、内閣総理大臣が災害対策基本法に基づき設置する組織です。

徒歩参集訓練と同様の首都直下地震を想定し、災害緊急事態の布告及びこれに伴う緊急災害対策本部の設置が閣議決定されたものとし、本部長である安倍内閣総理大臣と閣僚が参加のもと、午前8時25分から本部会議を実施しました。会議は小此木防災担当大臣の進行で行われ、冒頭に本部長（安倍内閣総理大臣）から各閣僚に対して人命救助を最優先に迅速・的確な対応に全力を尽くすよう指示があった後、神奈川県庁との間でテレビ会議を実施しました。神奈川県の黒岩知事から被害状況の報告と政府への要望があり、それに対し安倍内閣総理大臣は、全国から最大限の資源を注力すること、早急に政府調査団を派遣すること等を伝えました。

その後、各閣僚から被害状況や対応方針等が報告され、続いて小此木防災担当大臣から、東京都および神奈川県へ政府調査団の派遣を準備していることが報告されました。最後に、安倍内閣総理大臣から各閣僚に対して、関係地方公共団体からの要請を待つことなく先手先手で対策を進めること、要請に対しては情報の共有など各省庁連携して迅速に対応するよう指示が出され、本部会議は終了しました。引き続いて行った臨時の閣議では、災害緊急事態の布告に伴い閣議決定が必要な「災害緊急事態の対処に関する基本的な方針」を決定しました。

最後に、安倍内閣総理大臣は、小此木防災担当大臣立ち合いの下で記者会見室において模擬記者会見を行いました。NHKの生中継を通じ、国民に対し、政府の対応状況や方針を伝えるとともに、安全な場所に待機すること、買いだめ買い急ぎを自粛すること、お互いに助け合い、落ち着いて行動すること等、協力を呼びかけました。

会見を通して国民に協力の呼びかけを行う安倍内閣総理大臣（内閣広報室提供）

九都県市合同防災訓練現地調査訓練

九都県市合同防災訓練」は、関東圏の9つの地方公共団体が、合同で防災訓練を行うもので、今年度は神奈川県小田原市を主会場として開催されました。政府では、この訓練と連携して、安倍内閣総理大臣の視察と災害時に派遣される政府調査団（団長：小此木防災担当大臣）の現地調査訓練を行いました。

本訓練は、小田原市沖を震源とする最大震度7の地震が発生したことを想定し、小田原市内を流れる酒匂川（さかわがわ）の右岸及び河口周辺を主会場として実施されました。

まず、安倍内閣総理大臣は、ヘリコプターで都内から主会場内に設置された臨時のヘリポートへ移動し、到着後、屋内消火栓による放水訓練を体験しました。この訓練には、地元のおだわら看護専門学校の学生も参加し、学生が火災を発見したとの想定により、総理とともに一連の消火活動を行いました。

その後、自衛隊、在日米軍、DMAT（災害派遣医療チーム）、米国赤十字社などが連携した現地救護所設置・運営訓練を視察しました。この訓練では、傷病の緊急性や重症度に応じて治療の優先順位を決定するトリアージや応急処置、医薬品の緊急搬送などが行われました。

最後に、安倍内閣総理大臣は来賓スタンドで、消防、警察、自衛隊や国土交通省関東地方整備局及び周辺都県市から派遣された部隊等が参加した救出救助訓練を視察しました。この訓練では、中高層建物火災の際、取り残された人がいるとの想定のもと、地上と空から消防隊が建物に進入し、救出用のロープブリッジによる要救助者の救出が行われました。また、警察、自衛隊や救助犬によるガレキや土砂の中からの救出訓練、神奈川県県土整備局による道路啓開訓練、小田原市消防本部や米軍基地消防隊などの合同による消火訓練などが行われました。

当日は、台風15号の影響により、海上における訓練が中止となりましたが、おおむね天気にも恵まれ、その他の訓練は予定通り実施されました。訓練会場には多くの市民が訪れ、実動機関にとっては日頃の鍛錬の成果を披露する場になったとともに、訓練に参加した一般の方々にとっても、日頃からの自助・共助・公助の重要性を考える良い機会となりました。

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  放水訓練に参加する安倍内閣総理大臣（内閣広報室提供）
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  ・中高層建物からの救出訓練（内閣広報室提供）