防災の動き

「第5回防災グローバル・プラットフォーム会合」(メキシコ・カンクン)について

2017年5月24〜26日、メキシコのカンクンにおいて、メキシコ政府及びUNISDR(国際連合国際防災戦略事務局)の主催による「第5回防災グローバル・プラットフォーム会合」が開催されました。この会合は、第2回国連防災世界会議(2005年2月、兵庫県神戸市開催)で採択された「兵庫行動枠組2005-2015」をより効果的に推進することを目的に、国際機関、各国政府、各種民間団体等が参加して、2007年から隔年ごとに開催されているものです(2015年は仙台市において第3回国連防災世界会議があったため未開催)。

第5回の2017年会合は、「仙台防災枠組2015-2030」の策定後、その推進に向けた世界各国の取組状況を確認する初めての場であり、179か国から4,180人(UNISDR発表)が参加しました。

日本政府からは、羽深成樹内閣府審議官が代表として出席し、特別セッション「より良い復興と備え」の共同議長を務めるなどするとともに、平野達男自民党参議院議員(元防災大臣)が出席し、同じく他の特別セッションにおいてスピーチを行うなどしました。

1.開会式

開会式において、エンリケ・ペニャ・ニエト、メキシコ合衆国大統領、アミア・ムハメド国連副事務総長等が出席し、演説を行いました。大統領演説においては、「減災には一国での対応には限界があり、国際協力が不可欠」との観点から、本会議に集結した関係者間の協力を訴えました。

ウェルカム・プレナリーセッションの様子
ウェルカム・プレナリーセッションの様子

2.特別セッション1(より良い復興と備え)

期間中、2つの特別セッションが開催されました。そのうちのひとつ、「効果的な災害対応への備えの向上と復旧・復興における『より良い復興』」をテーマとしたセッションにおいて、羽深内閣府審議官が共同議長を務めました。イノンゲ・ウィナ、ザンビア副大統領を含む計4人のパネリストの参加を得て、過去の失敗を含めた教訓を通して、同テーマの現在の状況と課題の検討や、それらを確実なものとするために国や地方レベルにおいて、防災戦略がどのように構成されるべきか、などについてパネルディスカッションが行われました。本セッションの成果として、羽深内閣府審議官から、①効果的な災害対応への備えの向上と、「より良い復興」を進めることは、グローバル・ターゲットの達成に重要である、②防災には国と地方・コミュニティ間の連携が重要で、防災に対する責任・役割を共有するプラットフォームづくりが有効である、③女性や障害者、先住民を含めた多様なステークホルダーが参画すべき、また、復興計画の策定には、地域住民の参画が重要である、④将来起こりうる災害のリスクを評価し、そのリスクに対して、あらかじめ対策を講じておくことが重要である、⑤市民によるコミュニティ活動を促進しておくこと、⑥国際協力の推進が必要となること、などを指摘しました。

特別セッション1の様子
特別セッション1の様子

3.特別セッション2(早期警報とリスク情報)

「早期警報とリスク情報」に関する特別セッションでは、平野自民党参議院議員がパネリストとして参加し、東日本大震災など多くの経験を踏まえ、日本政府として早期警戒警報の分野では、「防災教育」や警戒情報の「収集」「発信」「避難行動」の4つの観点から各国への支援を行っていることなどを紹介しました。

4.オフィシャル・ステートメント

日本政府を代表して、羽深内閣府審議官からスピーチを行いました。同スピーチにおいては、本年2月の国連総会において、グローバル・ターゲット指標が採択されたことを受け、日本政府としても、その達成に貢献できるよう、防災基本計画などに従い、防災・減災・国土強靱化の取組を進めていく旨を述べた上で、最近の日本の防災における取組(『世界津波の日』の法定化等を始めとする津波防災に関する普及啓発、『ボランティアとの連携の明確化』など、災害の教訓に基づく毎年の防災計画の見直し)について紹介しました。

オフィシャル・ステートメントの様子
オフィシャル・ステートメントの様子

5.閣僚ラウンド・テーブル

日本政府を代表して、羽深内閣府審議官からスピーチを行いました。同スピーチにおいては、1つ目のテーマである「経済計画への防災の反映」について、「災害が多い日本においては、防災は重要な課題の一つとされており、政府が作成する経済財政運営の基本方針においても、防災・国土強靱化が明確に位置づけられていること」、2つ目のテーマである「分野別計画における防災への配慮」について、「内閣総理大臣を会長とし、全閣僚が参加する中央防災会議が防災基本計画を作成することで、各省庁が作成する社会資本整備や国土利用に関する計画などについても、防災が配慮される枠組が整えられていること」を紹介しました。

今後、本年2月の国連総会において採択された「仙台防災枠組」のグローバル・ターゲット(※)の達成が目指されています。日本政府としてもその達成に貢献し、引き続き各国と連携して、「仙台防災枠組」のさらなる推進に向けて取り組んで参ります。

(※)グローバル・ターゲットとは、以下の7項目が「仙台防災枠組」で規定されている。(外務省仮訳)

a
災害による世界の10万人当たり死亡者数について、2020年から2030年の間の平均値を2005年から2015年までの平均値に比して低くすることを目指し、2030年までに世界の災害による死亡者数を大幅に削減する。
b
災害による世界の10万人当たり被災者数について、2020年から2030年の間の平均値を2005年から2015年までの平均値に比して低くすることを目指し、2030年までに世界の災害による被災者数を大幅に削減する。
c
災害による直接経済損失を、2030年までに国内総生産(GDP)との比較で削減する。
d
強靱性を高めることなどにより、医療・教育施設を含めた重要インフラへの損害や基本サービスの途絶を、2030年までに大幅に削減する。
e
2020年までに、国家・地方の防災戦略を有する国家数を大幅に増やす。
f
2030年までに、本枠組の実施のため、開発途上国の施策を補完する適切で持続可能な支援を行い、開発途上国への国際協力を大幅に強化する。
g
2030年までに、マルチハザードに対応した早期警戒システムと災害リスク情報・評価の入手可能性とアクセスを大幅に向上させる。
内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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