不屈の大地 Build Back Betterの軌跡

国営木曽三川公園(愛知県・岐阜県・三重県)・1959年 伊勢湾台風

昭和34年(1959)9月26日夕方に紀伊半島に上陸した「伊勢湾台風」は、5,000人を超える犠牲者を出すなど、以後の我が国の防災対策を変えるほどの歴史的な災害となりました。

台風災害としては明治以降最多の死者・行方不明者数5,098人に及ぶ被害が生じた、昭和34年の台風第15号(伊勢湾台風)。犠牲者は全国32道府県にわたりましたが、その約9割は愛知・岐阜・三重の3県に集中していました。とくに大きな被害を受けたのが、人家が密集していた木曽川・長良川・揖斐川のいわゆる「木曽三川(さんせん)」の河口部付近。高潮により各所で堤防が決壊し、後に従来までの防災の概念を大きく変える「災害対策基本法」制定の契機となるほどの甚大な被害となりました。

地図

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この経験を踏まえ、木曽三川の河口部では全長32kmの高潮堤防復旧工事を被災から5年後に完了。昭和44年からは本格的な高潮堤防の補強工事に着手し、さらに昭和50年からは高潮堤防のかさ上げを実施しているほか、他にも排水機場を22箇所(国土交通省直轄分のみ)設けるなど、満潮時に伊勢湾台風クラスの台風が襲来した場合でも被害が生じないよう整備が進められてきました。

災害直後、現在の木曽三川写真

(上)昭和34年9月26日 伊勢湾台風による浸水状況(木曽三川下流部)
(資料提供:国土交通省 木曽川下流河川事務所)
(下)展望タワーから南向きに撮影した木曽三川。
右から順に揖斐川、長良川、木曽川(写真提供:国営木曽三川公園 木曽三川公園センター)

長年にわたる着実な取り組みの一環として、現在、木曽三川の下流域一帯には、広大なオープンスペースと豊かな自然環境を活かした「国営木曽三川公園」を開園。「木曽三川公園センター」や「フラワーパーク江南」など13拠点が集まり、3県にまたがる“日本一大きい国営公園”として、地域の人々の憩いの場となっています。

展望タワー

木曽三川公園センター「水と緑の館・展望タワー」とひまわり。
「水と緑の館」では木曽三川やその流域を中心とする歴史・風土や自然を学べます。

(写真提供:国営木曽三川公園 木曽三川公園センター)

Build Back Betterとは

「Build Back Better(より良い復興)」 とは、2015年3月に宮城県仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」の成果文書である「仙台防災枠組」の中に示された、災害復興段階における抜本的な災害予防策を実施するための考え方です。

本シリーズでは、災害が発生した国内外の事例を紹介し、過去の災害を機により良い街づくり、国土づくりを行った姿を紹介いたします。

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