Disaster Management News―防災の動き

「国際復興フォーラム2017」が兵庫県神戸市で開催

2017年1月24日、兵庫県の神戸市において、内閣府や兵庫県、国際復興支援プラットフォーム(IRP)、アジア防災センター(ADRC)、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)の主催による「国際復興フォーラム2017〜災害復興におけるBuild Back Betterと健康で強じんなコミュニティを目指して~」が開催されました。

このフォーラムは、被災地の復興過程において、次の災害に備えたより強靱な社会を構築する「より良い復興(Build Back Better:BBB)」の実現を目指すIRPが、その活動の一環として2005年の発足以来、毎年開催しているものです。今回は、「第3回国連防災世界会議」において採択された「仙台防災枠組2015-2030」でも、重要な課題として認識されている「BBB」と健康、保健・医療分野に注目し、災害復興と保健・医療対策等の実践や経験を共有するとともに、そこから得られた知識や教訓への討議が、「BBB」へ向けた成果として、メディア等を通じて発信されました。

当日は、33の国や16の国際機関などから約140名が参加する中、日本政府からは、羽深成樹内閣府審議官が代表として出席し主催者挨拶を行うとともに、佐谷説子内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(普及啓発・連携担当)がパネルディスカッションにおけるモデレーターを務めました。主な内容は次のとおりです。

フォーラムの様子
フォーラムの様子

概要

1.開会

開会にあたり、IRP運営委員会議長であるステファン・コーラー国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)首席エンジニアより挨拶が、続けて羽深成樹内閣府審議官及び井戸敏三兵庫県知事より主催者挨拶がありました。羽深審議官はその中で、2016年の4月に発生した熊本地震における、被災地からの具体の要請を待たずに行ったプッシュ型支援の概要や、避難所運営におけるボランティアやNPOとの連携など、「仙台防災枠組」に関連した日本政府の最近の取組などに触れ、井戸知事は阪神・淡路大震災の被災地として、災害時にトイレの清掃等に用いる生活用水の確保に苦慮した経験から、避難所における井戸の設置事業を推進していることなどを紹介しました。

羽深内閣府審議官挨拶
羽深内閣府審議官挨拶

2.特別講演

特別講演では、タイ王国内務省副大臣のナダピット・スニボング警察中将が、内務大臣のアヌポン・パオジンダー将軍から授かった、2017年1月に発生したタイ南部での洪水被害の報告や「BBBの考えが洪水からの長期復興計画の軸となる」などの声明を伝えました。続けて、人と防災未来センターの河田惠昭センター長が、熊本地震における教訓をもとに、災害からの「より良い復興」について講演を行い、その中で、行政庁舎の耐震化や、避難所運営に係る訓練及びスキル向上の必要性について述べました。

3.パネルディスカッション

「災害に強いコミュニティ構築へ向けたBuild Back Betterの取組」と題したパネルディスカッション1では、コミュニティにおける復興計画作成における合意形成の難しさや、そのための平時からのコミュニティにおける災害リスクの認識、話し合いなどの必要性について意見交換がなされました。続いて、「災害復興過程における保健・医療対策の整備」と題したパネルディスカッション2では、2015年4月に発生したネパール地震での、障害者施設の耐震脆弱性と不十分な避難を教訓とした復興計画の紹介などにより、災害弱者が発生しない社会構築の必要性などについて意見が述べられました。

4.総括及び閉会

パネルディスカッションのモデレーターであるUNOPSのコーラー氏と内閣府の佐谷参事官による総括及び閉会では、「BBBにおいて、参加型プロセスを重視することで社会の多様性に対応するべき」、「情報から抜け落ちたり、置き去りになったりする人が生じないインクルーシブな社会の構築が必要である」などの点に触れました。さらに、「今後のBBBに向け、その効果をどのように計測するかという視点も重要である」と述べ、閉会しました。

集合写真
集合写真

フォーラムの詳細は、「国際復興支援プラットフォーム」のホームページ(http://www.recoveryplatform.org/jp/)でもご覧いただけます。

〈内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当〉

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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