特集2 命を守る防災情報‐内閣府防災情報のページ

特集2 命を守る防災情報

毎年、初夏から秋にかけては、大雨や洪水などの自然災害が非常に多く発生します。気象庁、自治体などが発表する防災情報を活用し、早めの防災行動をとりましょう。
台風第10号で大きな被害を受けた岩手県岩泉町(写真:日刊スポーツ/アフロ)

防災気象情報の活用

今年は勢力の強い台風が次々と発生し、例年より多く日本に上陸しました。また激しい雨が数時間にわたって降り続き、狭い地域に短時間で数百ミリの総雨量となる集中豪雨が起きるなど、全国的に河川の氾濫や土砂災害などの被害が発生しました。

大雨による洪水や土砂崩れなどによる被害を未然に防ぐために、気象庁は防災気象情報を発表して注意や警戒を呼びかけています。これらが発表された際には、関係行政機関をはじめ都道府県や市町村へ伝達されて防災活動等に利用されるほか、市町村や報道機関を通じて地域住民へ伝えられます。災害から身を守るためには、テレビ、ラジオ、インターネットなどを通じてこれらの情報を正しくつかみ、適切な行動をとるようにしましょう。

大雨に関する主な防災気象情報

注意報・警報

気象庁は、大雨、洪水、強風、高潮などによって災害が発生するおそれのあるときは「注意報」を、重大な災害が発生するおそれのあるときは「警報」を発表して注意や警戒を呼びかけます。

警報・注意報は、大雨や洪水など、予想される現象が起こる3〜6時間前に発表することとしています。ただし、短時間の強い雨に関する大雨警報・注意報や洪水警報・注意報については2〜3時間前に発表することとしています。

特別警報

「東日本大震災」における大津波や紀伊半島に甚大な被害をもたらし100人近い死者・行方不明者を出した「平成23年台風第12号」など、「警報」の発表基準をはるかに超える数十年に一度の、大雨、津波、噴火などの大災害が起こると予想される場合に発表するものです。市町村から住民の方々に対し最大限の警戒を呼び掛けるとともに確実に伝えられることとされています(図1)。

図1 大雨に関する注意報・警報・特別警報の時間的推移のイメージ
出典:政府広報オンライン

「警報」の発表基準よりもはるかに危険度が高い場合に、「大雨特別警報」、「暴風特別警報」のように「○○特別警報」といった名称で発表します。ただし、「洪水」を対象とした特別警報はありません。指定河川洪水予報の発表や水位情報の周知により警戒を呼びかけています。また、地震・津波・噴火に関しては、「○○特別警報」という名称ではなく、「緊急地震速報」「大津波警報」「噴火警報(居住地域)」という名称で発表します。

記録的短時間大雨情報

記録的短時間大雨情報は大雨警報が発令中に、数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を、雨量計で観測したり、雨量計と気象データを組み合わせて解析したりしたときに、各地の気象台が府県気象情報の一つとして発表します。その基準は、1時間雨量歴代1位または2位の記録を参考に、概ね府県予報区ごとに決めています。

記録的短時間大雨情報の発表基準は各気象台によって異なりますが、概ね1時間あたりの雨量が80〜120ミリとなっています。

土砂災害警戒情報

土砂災害警戒情報は、大雨警報(土砂災害)が発令中に、土砂災害発生の危険度がさらに高まったときに、市町村長が避難勧告などを発令する際の判断や、住民の自主避難の判断の参考となるよう、都道府県と気象庁が共同で発表しています。都道府県と気象庁は、土砂災害警戒情報の発表基準を、過去の土砂災害発生・非発生時の雨量データをもとに、地域ごとに設定しています。気象庁の解析雨量などをリアルタイムで監視し、避難に必要な時間を考慮して、2〜3時間後に、発表基準線を超えると予想される場合に、土砂災害警戒情報を発表します。

土砂災害警戒情報や大雨警報(土砂災害)が発表されたときには、土砂災害警戒判定メッシュ情報(http://www.jma.go.jp/jp/doshamesh/別ウインドウで開きます)により、対象市町村内で土砂災害発生の危険度が高まっている詳細な地域を把握できます。

指定河川洪水予報

指定河川洪水予報は河川の増水やはん濫などに対する水防活動の判断や住民の避難行動の参考となるように、気象庁が国土交通省または都道府県の機関と共同して、あらかじめ指定した河川について、区間を決めて水位または流量を示した洪水の予報です。

指定河川洪水予報の標題には、はん濫注意情報、はん濫警戒情報、はん濫危険情報、はん濫発生情報の4つがあり、河川名を付して「○○川はん濫注意情報」「△△川はん濫警戒情報」のように発表します(図2)。

図2 指定河川洪水予報の発表基準と発表された場合にとるべき対応
出典:気象庁

避難情報に注意

各自治体は、気象庁からの情報を踏まえ、災害が発生する恐れがあると判断した場合、住民に向けた避難情報を発令します。避難情報は市町村にある防災行政無線や広報車などのほか、テレビ・ラジオといった報道機関やインターネットなどを通じて伝えられます。また携帯電話事業者を介して緊急速報メールにより携帯電話へ直接配信を行っている自治体もあります。大雨の時は、自宅や学校・職場などのある市町村が発令する避難情報に注意しましょう。

避難情報には3つの種類があり、「避難準備情報」、「避難勧告」、「避難指示」の順に緊迫度が高くなります。ただし、必ずしもこの順番で発表されるとは限りません(図3)。

図3 避難情報の種類と発令された場合にとるべき行動
出典:内閣府

早めの避難のために

自治体から避難情報が発令したときに、慌てずに避難するためには、自宅や学校・職場などのある市町村が作成しているハザードマップを見て、どのような危険があるのかを確認し、命に危険が及ぶタイミングやエリアについて事前に把握するようにしましょう。ハザードマップは、地震や津波、台風や集中豪雨による洪水、土石流や崖崩れ、火山の噴火など、自然災害における被害発生状況を予測し、地図に書き込んだものです。

ハザードマップには、河川が氾濫した場合に浸水が想定される「洪水浸水想定区域」、家屋の倒壊・流失をもたらすような堤防決壊に伴う激しい氾濫流や河岸侵食が発生することが想定される「家屋倒壊等氾濫想定区域」、土砂災害のおそれがある「土砂災害警戒区域」、「土砂災害危険箇所」などの情報が記載されています。

ハザードマップは自治体のホームページや、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」(http://disaportal.gsi.go.jp/別ウインドウで開きます)で確認することができます。「ハザードマップポータルサイト」では、全国の市町村が作成したハザードマップを地図や災害種別から検索できる「わがまちハザードマップ」と、各種ハザード情報と、道路冠水想定箇所などの情報を、一枚の地図上で重ねて閲覧できる「重ねるハザードマップ」が掲載されており、身の回りでどんな災害が起こりえるのか、簡単に調べることができます。

避難する時の注意

自治体から避難情報が発令されたとき、あるいは、そうした情報が発令されていなくても、身の危険を感じた場合は、小中学校の体育館や公民館といった指定緊急避難場所に早めに避難するようにしましょう。大雨の場合は、雨量基準の超過や土砂崩れの発生等により道路が通行止めになったり、安全な避難所に避難できない状況に陥る可能性があるので注意が必要です。

避難する際には、必ず靴を履きます。ただし、長靴は危険なこともあるので注意しましょう。持ち物はリュックに入れるなどして、いざという時に両手が使えるようにします。万一水の中を歩かなければならない時には、側溝やマンホールなどにはまらないよう、長い棒で確認しながら足元に十分注意して歩くことが大切です。

ただし、道路に水が流れている状況下では、避難所まで徒歩で避難することは大きな危険を伴います。強風や、水の深さがひざ上まである時などは、無理をして避難所に行くのではなく、近隣の頑丈な建物の2階以上、それも難しい場合は自宅の2階以上に避難する方が相対的に安全な場合があります。

図4 気象警報などが発表された際にとるべき行動
出典:気象庁

まずは「自助」を大切に

命を守るために取るべき避難行動は災害の種類や切迫性など置かれた状況によって異なります。身の回りに起こっている状況に留意して、その時点で最も安全な行動は何かを自身で考え、判断する必要があります。公的機関からの避難指示が出ていなくても、危険を感じたら自分の判断で早めに避難するなど、自分の身を自分で守る「自助」の精神が大切です。自分が無事であれば、身近な人を助ける「共助」も可能になります。早期の避難行動のために、どのような防災情報が出た場合に、どのような避難行動をとるべきかを事前に確認しておくことが大切です(図4)。

〈内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当〉

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.