特集2 土砂災害に備える

洪水や土砂災害などの風水害は毎年、全国各地で発生しています。特に昨年の夏は、台風や前線による大雨で、大規模な土砂災害が起こりました。土砂災害から身を守るためには、災害を他人事ではなく自分のこととして捉え、備えを進めることが大切です。

平成26年8月、広島県広島市では記録的な大雨によって大規模な土砂災害が発生した (写真 アフロ)

昨年夏の土砂災害

日本では毎年、初夏から秋までの間、日本付近に接近・上陸する台風や、梅雨前線や秋雨前線の影響により、洪水、土砂災害、高潮、竜巻などの風水害が数多く発生します。
昨年も、7月から8月にかけて台風や前線による影響で非常に激しい雨が降った。「平成26年8月豪雨」では、全国各地で洪水や土砂災害が発生し、特に、8月19日から20日にかけて広島県で降った記録的な大雨は、広島市で166件の土砂災害を引き起こしました。この大雨による広島県の被害は、死者74人、負傷者69人、住宅全壊179棟、住宅半壊217棟、床上・床下浸水が4183棟に上りました(平成27年1月9日現在。消防庁「8月19日からの大雨による広島県における被害状況及び消防の活動等について(第44報)」)。

土砂災害とは

種類と前兆現象
傾斜が急な山の多い日本では、台風、大雨、地震などにより土砂災害が発生しやすいです。土砂災害には、斜面の地表に近い部分が、雨水の浸透や地震等でゆるみ、突然、崩れ落ちる「がけ崩れ」、斜面の一部あるいは全部が地下水の影響と重力によってゆっくりと斜面下方に移動する「地すべり」、山腹や川底の石、土砂が長雨や集中豪雨によって一気に下流へと押し流される「土石流」があります。また、土砂災害が発生する前には、様々な前兆現象が起こる時があります(図1)。こうした前兆現象に気づいたら、周囲の人にも伝え、直ぐに避難をすることが大切です。

図1 土砂災害の種類と前兆現象
出典:内閣府政府広報室

土砂災害が発生しやすい時
土砂災害は、地中にたくさんの雨が貯まったところに強い雨が降ると発生しやすくなるという特徴があります。
日本では近年、「集中豪雨」や「局地的大雨」が増えていますが、これらは発達した積乱雲(入道雲)によって引き起こされます。集中豪雨は、積乱雲が同じ場所で次々と発生・発達を繰り返すことで起きるもので、狭い地域に激しい雨が数時間にわたって降り続き、数百ミリの総雨量となります。一方、局地的大雨は、一つの積乱雲が発達することで起きるもので、一時的に雨が強まり、局地的に短時間で数十ミリ程度の総雨量となります。こうした集中豪雨や局地的大雨が発生した時は土砂災害の危険性も高まるので、特に注意が必要です。

土砂災害が発生しやすい場所
土砂災害が発生しやすい場所は、主に次のものがあります。
1扇状地
山間部の大雨によって山崩れが起こると、土石流が扇状地(川が山地から平地へと流れ出るところにできた扇状の土地)を直撃する可能性があります。
2造成地
盛土地では、地質・地形が不安定なので、大雨が降ると地盤がゆるみ崩れる危険があります。水抜きの穴から濁った水が出始めたら要注意です。
3山岳地帯
大雨や地震によって山崩れが発生します。樹木の少ない山間部では土石流の危険が大きくなります。
4急傾斜地
急傾斜地では崖崩れに注意が必要です。崖崩れは、豪雨等によって突然起こりますので、早めの避難に心がけましょう。

国土交通省によれば、全国で土砂災害の危険がある場所は、約53万箇所もあります。そして、過去10年、土砂災害は全国で年平均1000件発生しています。平成26年の全国の土砂災害発生件数は、1184件に上ります(図2)。

図2 平成26年の各地の土砂災害発生件数
出典:国土交通省

土砂災害から身を守るために

土砂災害は一瞬のうちに多くの人命や財産を奪う恐ろしい災害です。しかも、その発生を事前に予測することは非常に難しいです。土砂災害から身を守るためには、日頃からの備えが大切です。土砂災害から身を守るために知っておくべきポイントは次の通りです。

自分の住む場所が「土砂災害危険箇所」かを確認
各都道府県は、土砂災害のおそれがある場所を「土砂災害危険箇所」もしくは「土砂災害警戒区域」に指定しています。自分の住む家がそうした場所にあるか、国土交通省のホームページ(http://www.mlit.go.jp/river/sabo/link_dosya_kiken.html別ウインドウで開きます)で確認するか、あるいは、自分の住む市町村に問い合わせましょう。

雨が降り出したら「土砂災害 警戒情報」に注意
大雨による土砂災害発生の危険度が高まったとき、市町村長が避難勧告などを発令する際の判断や、住民の自主避難の参考となるように、都道府県と気象庁は共同で「土砂災害警戒情報」を発表します。土砂災害警戒情報は、テレビ、ラジオの他に、各都道府県の砂防部局や気象庁のホームページ(http://www.jma.go.jp/jp/dosha/別ウインドウで開きます)などにも掲載されますので、大雨が降り始めたときには確認しましょう。
また、土砂災害警戒情報や大雨警報が発表されたときには、補足する情報として、「土砂災害警戒判定メッシュ情報」(http://www.jma.go.jp/jp/doshamesh/別ウインドウで開きます) が提供されますので、気象庁や都道府県のホームページで確認しましょう。メッシュ情報は、5㎞四方の領域(メッシュ)ごとに、2時間先までの土壌雨量指数※等の予想を用いて、土砂災害発生の危険度の高まりを5段階で判定した結果を、色別で表示します(図3)。
※土壌雨量指数 降った雨が土壌にどれだけ貯まっているかを指数化したもの。

図3 土砂災害警戒情報(左)・土砂災害警戒判定メッシュ情報(右)の発表例
出典:気象庁

土砂災害警戒情報が発表されたら早めの避難
大雨警報が発表されたら、避難の準備を検討して下さい。特に、「土砂災害警戒判定メッシュ情報」において、「実況または予想で大雨警報の土壌雨量指数基準に到達」(赤色のメッシュ)した領域の土砂災害警戒区域等に住む人は、いつでも避難を開始できるように準備をして下さい。その後、メッシュ情報で、「予想で土砂災害警戒情報の基準に到達」(薄い紫色のメッシュ)した場合は、命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない状況となっているので、土砂災害危険箇所等の外の、少しでも安全な場所へ避難しましょう。数年に1度しか発生しないような短時間の大雨を知らせる「記録的短時間大雨情報」が発表された場合も、同様の行動をとって下さい。
さらに、土砂災害警戒情報等が発表された場合には、改めて避難の検討をして下さい。自治体から避難勧告等が発令された場合には、速やかに必要な避難行動をとって下さい。
そして、「実況で土砂災害警戒情報の基準に到達」(濃い紫色のメッシュ)した場合(記録的短時間大雨情報が発表された場合も同様)、過去の土砂災害発生時に匹敵する極めて危険な状況となりますので、土砂災害警戒区域等にいる人は、この段階までには避難を完了しておくようにしましょう。
周囲の状況や雨の降り方にも注意し、自治体からの避難勧告等が発令されていなくても、土砂災害の前兆現象に気付いたときなど、危険を感じたら自主避難するようにして下さい。激しい雨や暴風のために、避難場所への避難が困難な場合は、近くの頑丈な建物の2階以上に避難しましょう。それが難しい場合は、家の中で、崖や沢筋からなるべく離れた部屋や2階など、より安全な場所に退避しましょう(図4)。

図4 土砂災害に関する防災気象情報を活用した避難行動
出典:気象庁

なお、土砂災害によって生命に危険が及ぶ(避難行動が必要となる)タイミングとエリアについては、内閣府が平成26年9月に改定した「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」(http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/guideline/guideline_2014.html)において具体的に示されていますので、ご参照下さい。
災害はいつ起こるか分かりません。災害が発生しても落ち着いて行動が取れるように、一人ひとりが日頃から備えておくことが大切です。家族との連絡方法・連絡先、非常用品、避難場所・経路などを事前に確認しておきましょう。

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