Disaster Management News―防災の動き

御嶽山噴火を踏まえた今後の火山防災対策の推進について

平成26年9月27日、長野・岐阜県境に位置する「御嶽山」において発生した噴火は、秋の紅葉シーズンの昼頃、山頂の周辺に多くの登山者がいる中で発生し、噴火に伴い飛散した噴石等により火口周辺で多数の死者・負傷者が出るなど大きな被害となった。
内閣府は、今回の御嶽山の噴火で明らかとなった教訓を今後の火山防災対策の更なる推進につなげるため、中央防災会議の下に「火山防災対策推進ワーキンググループ」を設置し、有識者や関係省庁による議論を経て、平成27年3月に「御嶽山噴火を踏まえた今後の火山防災対策の推進について(報告)」がとりまとめられた。
この報告における主な提言は、次のとおりである。

1火山防災対策を推進するためのしくみについて

火山防災対策の推進に関する基本的な方針を定め、火山災害対策の基本的事項、各火山における警戒避難体制に関する計画の作成について方針となるべき事項など、基本的な考え方を提示すべきである。

2火山監視・観測体制について

国、大学、研究機関等は、内閣府に設置する「火山防災対策推進検討会議」において、監視と研究の目的でそれぞれ実施している火山観測について、相互の協力・補完及び観測データの共有化促進の方策を検討すべきである。
また、平成21年以降、顕著な異常現象が観測された八甲田山、十和田、弥陀ヶ原の3火山について、速やかに監視・観測体制を構築し、常時観測を開始すべきである。

3火山防災情報の伝達について

気象庁は、噴火警戒レベル1のキーワードについて、「安全」であるとの誤解を与えないために、現在の「平常」から「活火山であることに留意」に変更すべきである。
また、気象庁は、噴火発生や噴火初期の変動を観測した際に、登山者等が緊急的に命を守る行動がとれるよう、これらの情報を「噴火速報」として迅速に発信するとともに、都道府県等必要な関係者に伝達すべきである。
さらに、火山活動に関する緊急の情報は、住民のみならず登山中の者に対しても伝達を行う必要があることから、防災行政無線、サイレン、緊急速報メール、登録制メール等を用いた情報伝達や、登山口やロープウェイの駅における提示、さらに、山小屋や観光施設等の管理人等を介した情報伝達など、地域の実情を踏まえ、情報伝達手段の多様化を図るべきである。

4火山噴火からの適切な避難方策等について

国は、退避壕・退避舎の全国の設置状況や設置における課題等を調査した上で、財源の確保や整備主体のあり方等を含め、退避壕・退避舎等の避難施設の整備にあり方について検討すべきである。
また、地方公共団体は、火山防災協議会において、火山付近への来訪者の状況、火山へのアクセス等を勘案し、災害時の登山者の早期把握、安否確認等に役立つ登山届の必要性について検討を行うべきである。

5火山防災教育や火山に関する知識の普及について

国や地方公共団体は、火山防災マップ等の住民への配布や説明の機会を通じて地域住民の火山防災の意識高揚を図るとともに、地域における自主防災組織や防災リーダーを育成するなどの取組を継続的に実施するべきである。

6火山研究体制の強化と火山研究者の育成について

気象庁は、火山活動の評価を的確に行うため、大学等の火山研究者、大学等を退職した火山研究者、ポスドク等大学において専門的な知見を習得した人材などに定期的あるいは随時火山活動の評価に参画してもらうなど、火山研究者の知見を活用し、火山活動の評価体制の強化を図るべきである。
また、文部科学省は、即戦力となるポスドク人材をはじめとする火山研究人材の確保・育成に向けて、プロジェクト研究を組み合わせた人材育成のプログラムを構築すべきである。
今後、このとりまとめに基づき、国や地方公共団体、火山地域の関係者等が連携して火山防災対策に取り組む予定である。

御嶽山噴火を踏まえた今後の火山防災対策の推進について

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