Disaster Management News―防災の動き

南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画

平成27年3月30日、中央防災会議は、「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」第4章において作成するとされた「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」を中央防災会議幹事会で決定しました。同計画は、「南海トラフの巨大地震モデル検討会」において最新の科学的知見に基づき想定した最大クラスの地震・津波の震度分布及び津波高の推計結果並びに「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」が報告した被害想定に基づき、国が実施する災害応急対策に係る緊急輸送ルート、救助・消火活動等、医療活動、物資調達、燃料供給及び防災拠点に関する活動内容を具体的に定めたものです。活動分野毎の概要は以下のとおりです。

1緊急輸送ルート計画

発災直後から、部隊等の広域的な移動など人命の安全確保を主眼とした全国からの人員・物資・燃料の輸送が迅速かつ円滑に行われるよう、あらかじめ通行を確保すべき道路を定めた計画です。発災時には、被害の全容把握に時間を要することが予想される中にあっても、あらかじめ必要最低限に絞って選定した緊急輸送ルートについては、他の道路に優先して通行可否情報(通行不可の場合における迂回ルート情報を含む。)を遅滞なく集約し、防災関係機関間で情報共有を速やかに行うとともに、早期に通行確保を行うことが必要です。このための備えとして、あらかじめ地図情報も含めて防災関係機関間で広く情報共有を図るとともに、発災時の情報共有のための具体的な手順も含めて定めています。

2救助・救急、消火活動等に係る計画

南海トラフ地震による甚大な被害に対して、人命救助のために重要な72時間を考慮しつつ、被災府県内の警察・消防機関の部隊は、発災直後から救助・救急、消火等に必要な部隊を最大限動員するとともに、国は、被害が甚大と見込まれる地域に対して、全国から最大勢力の応援部隊を可能な限り早く的確に投入する必要があります。このため、被災地域内で動員する警察・消防機関の被災府県内の部隊に加えて、全国からの警察災害派遣隊、緊急消防援助隊、自衛隊の災害派遣部隊の初動期における派遣の方針と具体的な手順等を定めています。

3医療活動に係る計画

南海トラフ地震では、建物倒壊等による多数の負傷者の発生、医療機関の被災に伴う多数の要転院患者の発生により、医療ニーズが急激に増大し、被災地内の医療資源のみでは対応できない状態となることが想定されています。このため、全国から災害派遣医療チームをはじめとする医療チームによる応援を迅速に行い、被災地内において安定化処置など救命に必要な最低限の対応が可能な医療体制を確保するとともに、被災地で対応が困難な重症患者を被災地外に搬送し、治療することを定めています。

4物資調達に係る計画

南海トラフ地震では、被災地方公共団体及び家庭等で備蓄している物資が数日で枯渇する一方、発災当初は、被災地方公共団体において正確な情報把握に時間を要すること、民間供給能力が低下すること等から、被災地方公共団体のみでは、必要な物資量を迅速に調達することは困難と想定されています。このため、国は、被災府県からの具体的な要請を待たないで、避難所避難者への支援を中心に必要不可欠と見込まれる物資を調達し、被災地に物資を緊急輸送するものとし、発災直後に行うこのプッシュ型支援による物資調達・供給の内容、手順を定めています。

5燃料供給に係る計画

南海トラフ地震の発生により多くの製油所・油槽所・LPガス輸入基地等が被災する状況にあっても、全国的な燃料供給を確保しつつ、災害応急対策活動に必要な燃料や、重要施設の業務継続のための燃料を確実に確保し、迅速かつ円滑に供給する必要があります。このため、①石油精製業者等が自社の「系列BCP」や石油備蓄法上の「災害時石油供給連携計画」に基づき進める災害時石油供給体制の考え方、②防災拠点等に存する給油施設への「重点継続供給」や、業務継続が特に必要な重要施設への「優先供給」の手順、③災害時の燃料輸送・供給体制の確保のため被災都府県や関係省庁等が担う役割等を定めています。

南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画の概要
南海トラフ地震における各活動の想定されるタイムライン

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