「楽しみながら、しっかり学ぶボウサイ」を始めよう! 第3回

キャンプから、災害時に生き抜く力を学ぶ

東日本大震災以降、防災教育の重要性はますます高まってきています。このページではNPO法人プラス・アーツが開発してきた、「子どもたちと楽しく防災を学ぶ」プログラムやツールの紹介と、活用現場のレポートを併せて掲載していきます。

●アウトドアのスキルは、サバイバルのスキルでもある

東日本大震災の時、テレビのニュース映像にたき火を囲む人々の姿がよく映し出されていました。暖を取るために来た人、眠れぬ夜を炎の揺らぎを見つめながら過ごした人。インフラが失われた環境で、たき火は温かい食事を提供しただけでなく、人々の心と身体を暖めるという役割を果たしました。一方で、生の火を見たことがなく、マッチも擦ったことがないという子どもたちが増えています。
「便利で快適」な暮らしの中にいる子どもたちに、災害時の過酷な環境で生き抜く根本的な力を身に付けてもらうためにはどうすればいいのか。東日本大震災の教訓を踏まえてプラス・アーツが開発したのが、「レッドベアサバイバルキャンプ」です。
一泊二日のこのキャンプでは、救急救命の方法やロープの結び方、火の起こし方などを学び、災害時に生き抜くサバイバルの技を身に付けることができます。アウトドアの様々な技や知識は災害時にも応用でき、また限られた資源と環境の中で過ごすキャンプ場では、「疑似避難生活」も体験できます。
一見すると難しそうで取っ付きにくそうなプログラムもありますが、実は子どもたちを夢中にさせる仕掛けがあります。それが「技バッジ」です。サバイバルの技をマスターすると、その技が描かれた缶バッジがもらえる仕組みとなっています。この「技バッジ」は、“災害時に役立つ様々な技や知識”とともに“災害時を生き抜くたくましさ”を身に付けたことを認められた証であり、子どもたちにとっては勲章のようなもの。やる気と積極性を刺激します。
キャンプを終える頃には、胸や帽子などに誇らしげに付けられたたくさんの「技バッジ」とともに、子どもたちの自信に満ち溢れた顔がキラキラ輝いています

2014年夏に行ったレッドベアサバイバルキャンプでは、自らおこした火で空き缶炊飯にチャレンジしました。

「技バッジ」を嬉しそうに自分の帽子につける子どもたち。バッジのデザインはアートディレクター寄藤文平氏によるもの。

【概要】
1泊2泊のキャンプ、親子で参加。兵庫県神戸市では毎年夏から秋にかけて実施。要望があれば各地域での開催を支援します。
詳細は../../../../tolink/out77.html

【問い合わせ先】
NPO法人プラス・アーツ
TEL 078-335-1335
MAIL info@plus-arts.net

学びの場──レッドベアいわき防災キャンプ

「レッドベアサバイバルキャンプ」は、兵庫県神戸市を拠点に、有志のメンバーとプラス・アーツが共同で開発、実施しているプログラムです。定期的にメンバーが集まり、夏・秋に行われるキャンプに向けて毎年プログラムのブラッシュアップに取り組んでいます。阪神・淡路大震災での被災体験をこのプログラムに反映し、震災の教訓を次世代につなげているメンバーもいます。
神戸ならではのプログラムですが、県外でも広がりを見せています。その一つが、福島県いわき市教育委員会・地区実行委員主催の「レッドベアいわき防災キャンプ」です。
実施場所は市内の公民館で、地域住民と共に企画・実施することで、地域防災力の向上と防災教育の普及促進、さらには地域の絆づくりにも貢献しています。今年度は6地区の公民館で7月から8月にかけて実施され、延べ216人の小学生の子どもたちが参加しました。
いわき市の防災キャンプは、参加者は子どもたちだけで、チームごとに取り組むので、「協力して課題を解決する力」も養われます。意見が分かれることもありますが、力を合わせて課題をクリアした時は、その喜びをみんなで分かち合い、楽しさも倍増します。
去年キャンプに参加していた小学生が、今年は中学生になり、「楽しかったから、今度はお手伝いの立場で年下の子どもたちに伝えていきたい」と、ボランティアスタッフとして協力してくれました。
神戸市だけでなく、いわき市でも、「一緒に生き抜いていこう」という思いがキャンプを通して〝バトンタッチ〟されています。

公民館ごとに灯明やナイトウォーク(写真)など地域性を反映したプログラムを実施。

NPO法人プラス・アーツ www.plus-arts.net
教育/まちづくり/防災/福祉/環境/国際協力といった社会の既存の分野に対して、アート的な発想やアーティストの既成概念にとらわれない創造力を導入し、それぞれの分野が抱えている課題や問題を解消し、再活性化させることを活動目的に掲げる。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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