Disaster Management News―防災の動き

平成26年版防災白書の概要
~地区防災計画制度の施行を受けた共助による地域防災力の強化~

1 平成26年版防災白書の特徴

防災白書は、災害対策基本法に基づく法定白書であり、平成26年度の「特集」では、「共助による地域防災力の強化~地区防災計画制度の施行を受けて~」をテーマに、共助に焦点をあてて、地域防災力強化の方向性について検証を行っています。
また、平成24年度及び25年度の「災害対策基本法」の改正、「大規模災害からの復興に関する法律」の制定、平成25年11月の「首都直下地震対策特別措置法」の制定、「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」の改正等について紹介しています。
さらに、平成27年3月に仙台市において開催される「第3回国連防災世界会議」のほか、平成25年9月の竜巻災害、10月の台風第26号による土砂災害、平成26年2月の大雪災害等で大きな被害が出たことを踏まえ、「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン(案)」の改定が行われたこと等を紹介しています。このうち、特集の概要について紹介します。

2 「特集 共助による地域防災力の強化~地区防災計画制度の施行を受けて~」の概要

東日本大震災等では、行政自身が被災して機能が麻痺する場合(公助の限界)があることが明確になったことから、首都直下地震、南海トラフ地震等の大規模広域災害時の被害を少なくするためには、地域コミュニティにおける自助・共助による「ソフトパワー」を効果的に活用し、地域防災力の向上を図ることが重要な鍵になるとしています。
そして、地域コミュニティにおける一般的な地域活動(地縁活動)と防災活動の関係は深くなっており、一般的な地域活動(地縁活動)の活性化が防災活動の活発化につながり、それが地域防災力の強化にもつながるとしています(図1参照)。

図1 一般的な地域活動(地縁活動)と防災活動との関係

また、国民は、地域防災力の向上のためには第一に共助(地域、人と一緒にやること)のうち、自主防災組織づくり、地縁組織内の役割分担といった「人・組織に関すること」を重視しており、第二に公助(行政に求めること)としては、防災に関する講習会の開催、災害時の住民に対する情報発信をもとめていることから行政による地域コミュニティでの防災活動体制づくりの支援や積極的な情報提供等地域コミュニティと行政の連携が重要になるとしています(図2参照)。

図2 地域の防災活動の活性化のために必要なもの

さらに、事業者の防災に関する地域コミュニティとの協力関係も進展しており(図3参照)、事業者と地域住民との連携・共生の促進が、地域コミュニティ全体の防災力の向上につながっているとしています。このような傾向を踏まえ、地域防災力を向上させるためには、平成26年の災害対策基本法の改正で創設された地区の居住者及び事業者による自発的な防災計画であり、地域コミュニティと行政の連携によって地域防災力の向上を図るための制度である「地区防災計画制度」を普及させていく必要があるとしています。

図3 企業における地域コミュニティとの協力の内容

最後に、地域防災力の向上のためには、地域コミュニティが活性化していることが重要ですが、地域コミュニティの活性化と地域防災力の向上は、表裏一体の関係にあることから、今後、地区防災計画制度が、地域防災力の向上だけでなく、地域コミュニティの活性化を通して、地区の実情に応じたきめ細かいまちづくりにも寄与する可能性があるとしています。

(内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当参事官室 西澤雅道・筒井智士)

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