「楽しみながら、しっかり学ぶボウサイ」を始めよう! 第2回

カードゲームで「工夫して生き延びる力」を育む

東日本大震災以降、防災教育の重要性はますます高まってきています。このページではNPO法人プラス・アーツが開発してきた、「子どもたちと楽しく防災を学ぶ」プログラムやツールの紹介と、活用現場のレポートを併せて掲載していきます。

●災害時に役立つ「手に入れやすい」「使いやすい」ものを考える

地震の大きな揺れで家が崩れ、中にいた人がタンスの下敷きになってしまいました。タンスをどけて、下敷きになっている人を助け出すにはどうしたらいいでしょうか?

災害時に起こりうる状況ですが、普段このような事態の対処法を考える機会はなかなかありません。そこで地震や津波による様々なトラブルに対して役に立つアイテムを、子どもたちに楽しみながら能動的に考えてもらうツールとしてプラス・アーツが開発したのが「なまずの学校」です。

全18問の紙芝居クイズと、アイテムが書かれたカード、そして得点としてもらえる「ナマーズ紙幣」がセットになっています。災害時の様々な状況を紙芝居形式で子どもたちに見てもらい、こうした状況に対応するアイテムを手持ちのカードから選んでもらいます。ここで選ぶ時のポイントは、「手に入れやすさ」と「使いやすさ」です。

このゲームは、阪神・淡路大震災の教訓が反映されており、当時は自助・共助が多くの人々の命を救いました。そこで手に入れにくい、また特別な人しか使えないものを使うのではなく、「身近なものを工夫して生き延びること」をこのゲームでは重視しています。例えば冒頭の問題では、「フォークリフト」よりも「ジャッキ」「バール」「角材」と答えた人のほうが高得点をもらえる仕組みとなっています。

「なまずの学校」は様々な教育現場や防災イベント、ご家庭で活用されてきましたが、東日本大震災の教訓をもとに「津波」「水の運搬方法」などの新たな状況を追加して、今年リニューアルしました。岩手県や宮城県の被災者からいただいたアドバイスが反映されています。ゲームを通して、全国の子どもたちに被災地からの声を学んでもらえればと思います。

防災カードゲーム「なまずの学校」
対象年齢:8歳~/推奨人数:3~6人
【特徴】
1阪神・淡路大震災と東日本大震災の被災者のヒアリングにもとづいて制作
2参加者が災害時に役立つアイテムを能動的に考えることができる
3学校教育、防災イベント、ご家庭など様々な場で活用可

価格:3600円(税抜)

【問い合わせ先】
NPO法人プラス・アーツ
 TEL 078-335-1335
 MAIL info@plus-arts.net

学びの場──福島県いわき市中央公民館

8月1・2日に福島県いわき市中央公民館にて、いわき市教育委員会・地区実行委員主催、プラス・アーツ企画運営で、災害時に生き抜く力を学ぶプログラム「レッドベアいわき防災キャンプ※」を実施し、その中で子どもたちには「なまずの学校」に挑戦してもらいました。
3年前に大地震を体験した子どもたちからは、想定の答えにないアイデアも出てきました。例えば学校のグラウンドにトイレを作るという質問に対し、周りから見えないように囲いを作る材料として「ブルーシート」という答えが想定されていましたが、学校にある「カーテン」も使えるのではないかという意見もありました。
また今回は班ごとの対抗という形をとり、どのアイテムカードを出すかについて、班の中で話し合ってもらいました。意見が分かれた場合は、自分の選んだアイテムがなぜ「使えるのか」、説得力を持った理由を伝えなければなりません。こうしたやり取りは、防災に必要な知恵や工夫だけでなく、コミュニケーション力を身に付ける場ともなっています。
「なまずの学校」を体験し終わった子どもたちに感想を聞くと、「いざとなったら、大人にアドバイスができる!」と自信満々。頼もしい防災キッズの誕生です。
※レッドベアサバイバルキャンプについては、次号で紹介します。

知恵を出しあう子どもたち。班の中のチームワークが高得点のカギを握ります。

NPO法人プラス・アーツ www.plus-arts.net
教育/まちづくり/防災/福祉/環境/国際協力といった社会の既存の分野に対して、アート的な発想やアーティストの既成概念にとらわれない創造力を導入し、それぞれの分野が抱えている課題や問題を解消し、再活性化させることを活動目的に掲げる。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.