Disaster Management News―防災の動き

平成25年度総合防災訓練

9月1日の『防災の日』を中心に、政府や地方公共団体などでは多くの防災訓練が実施されました。今年度は『防災の日』に南海トラフ巨大地震を想定した政府本部運営訓練が官邸で行われ、千葉市で行われた九都県市合同防災訓練に対しても総理大臣の視察などが行われました(8月31日には三重県尾鷲市で『医療モジュール搭載船の実証訓練』も行われています)。

『政府本部運営訓練』は、南海トラフ巨大地震を想定し、内閣総理大臣を本部長として全閣僚が参加し、緊急災害対策本部の訓練を官邸で行いました。

今年度は、災害対策基本法の改正を踏まえ、災害緊急事態の布告や災害緊急事態への対処に関する基本的な方針を定めることを実施しました。

具体的には、9月1日(日)6時05分頃にマグニチュード9・1、最大震度7の南海トラフ巨大地震が発生したことを想定し、災害緊急事態の布告及びこれに伴う緊急災害対策本部の設置が閣議決定されたものとして発災後2時間後にあたる8時05分から第1回緊急災害対策本部会議を行い、被害状況や各省庁の対応状況等の共有、政府調査団の派遣の決定、被災県である和歌山県知事からの被害報告を実施しました。

引き続いて行われた臨時の閣議において、災害緊急事態への対処に関する基本的な方針の閣議決定を行った後、内閣総理大臣会見、防災担当大臣会見を行いました。

今回の『政府本部運営訓練』を通じて、今年改正を行った災害対策基本の改正項目のうち、①災害緊急事態の布告(105条)、②災害緊急事態への対処に関する基本的な方針の決定(108条)、③国民への協力の求め(108条の3)についての手続きを確認することができました。

『九都県市合同防災訓練』は関東圏の9つの自治体が、合同で防災訓練を行うもので、今年度は千葉市が主会場となって訓練を行いました。政府としてはこの訓練では総理大臣の視察と、災害時に派遣される政府調査団の訓練を行いました。

今年度の九都県市合同防災訓練では、千葉市では初めて行う遺体の取扱い訓練や、JR千葉駅周辺での帰宅困難者を想定した訓練、また、九都県市が合同で行う救援物資の輸送訓練なども行われました。

総理が視察した千葉市の蘇我スポーツ公園の訓練エリアでは、ヘリコプターを使って建物から要救助者を救出する救出・救助訓練や、道路上の障害物を除去する道路啓開・緊急交通路確保訓練などが行われました。ヘリコプターが降下する際には多くの一般の見学者からも歓声があがりました。訓練には警察や消防、自衛隊や民間企業など多くの機関が参加し、日頃の訓練の成果を披露しました。防災担当大臣を筆頭とした政府調査団訓練のメンバーも、各機関の災害対応について総理とともに視察を行いました。

総理は訓練会場内の展示・体験コーナーの視察もしました。展示・体験コーナーは、行政機関や民間企業などが防災に関する取り組みの展示などを行うコーナーです。展示といってもパネル展示のようなものだけでなく、実際の商品の展示、起震車への搭乗や自転車型発電機の体験など、来場した人たちが楽しめるような工夫がされていました。

総理も炊き出し米の喫食やガラスフィルムの装着体験、起震車の搭乗をしました。炊き出し米の喫食ではボーイスカウトや日赤奉仕団の人たちと会話を交わし、活動内容などについて興味深く話を聞いていました。起震車では震度6強の地震を地元の小学生の兄弟と一緒に体験し、思ったよりも揺れると感想を述べました。

当日は天候が心配されましたが、晴れになったこともあり、多くの人たちが熱心に見学をしていました。今回の訓練には多くの人が参加をしましたが、実際に訓練を行った人たちだけでなく、観覧者の人たちが防災に対する意識を新たにしたことも、大きな成果だったのではないでしょうか。

9月1日、首相官邸において政府本部運営訓練を行う安倍内閣総理大臣

九都県市合同防災訓練で行われた、ヘリコプターを使った救出・救助訓練

医療モジュール搭載船の実証訓練

8月31日(土)三重県尾鷲港沖にて、南海トラフ巨大地震を想定した広域医療搬送訓練として、海上自衛隊の輸送艦「しもきた」にコンテナ式の医療モジュール(陸上自衛隊の野外手術システム)を設置し、「医療モジュール搭載船」の実証訓練を行いました。訓練には、災害派遣医療チーム(DMAT)や陸上自衛隊の衛生隊等約90人が参加し、互いに連携しながら洋上医療拠点への患者搬送、応急処置・安定化等を行いました。訓練の成果は、災害時における海からのアプローチによる医療機能の提供の有効性や課題の検証に役立てることとしています。

「医療モジュール搭載船」の実証訓練で行われた、ヘリコプターを使った患者搬送

「しもきた」船内に設置した医療モジュール(陸上自衛隊野外手術システム)

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