特集 防災情報を活用しよう

自然災害による被害を軽減するため、様々な防災情報が発表されている。
「防災情報はどのように知ることができるのか」、「情報を得たらどのように行動するのか」ということを私たちは知っているだろうか。
いざという時、“自分の身は自分で守る”ためには、災害が起きてから考えたのでは遅すぎる。日頃から、必要な防災情報と災害に対応した行動を確認しておくことが肝心だ。
今号では、地震、大雨、竜巻に関する防災情報について紹介する。
災害写真1
災害写真2
災害写真3

(財)消防科学総合センター 災害写真データベースから
http://www.isad.or.jp/

「緊急地震速報」

地震から身を守るために
緊急地震速報とは、地震の発生直後に、震源に近い地震計でとらえた観測データを解析し、強い揺れが予想されていることを知らせるものだ(5頁図参照)。

どうすれば知ることができるの
緊急地震速報は、テレビ・ラジオ、携帯電話、防災行政無線あるいは受信端末等を通じて知ることができる。中でも携帯電話は、約1億1千万台が普及する現代にあって、緊急地震速報受信には非常に有効な手段だ。現在、NTTドコモ、au(KDDI/沖縄セルラー電話)、ソフトバンクの携帯電話会社3社から配信されている。緊急地震速報を受信した場合、報知音(ブザー音)やバイブレーション、また画面上に文字表示が出る。受信する機能を持っていない機種や受信設定が必要な機種もあるので、各社ホームページ等で機能の有無や受信設定の方法を確認しておくとよいだろう(6頁図参照)。

報知音を確認する
今年9月29日、福島県を震源とする地震が発生した際、首都圏等では携帯電話から一斉に緊急地震速報の報知音が鳴り響いた。現在、事前の設定なしで緊急地震速報を受信できる機種も数多く販売されており、聞きなれない音に「驚いた」あるいは「何の音かわからず無視してしまった」といった声が聞かれた。今回、首都圏での強い揺れはなかったが、もし実際に強い揺れであったなら、驚いただけではせっかくの速報も役に立たない。携帯電話の緊急地震速報にすぐ気がつくよう、事前にホームページで報知音を試聴しておくことが大切だ。また一部の機種でも、報知音の試聴が可能だ(6頁図参照)。

受信したらどうするの
すぐに“身を守る行動をとる”。これが 緊急地震速報を受信した時に必要な行動である。受信から強い揺れが到達するまでの猶予時間は短い。長くても数十秒程度。迅速な行動が肝心だ。テレビのチャイム音や携帯電話のブザー音を聞いたら、画面を確認している時間はない。丈夫な机の下に隠れるなど、何よりもまず身を守る行動をとらなければならない。一方、震源から遠い場所では、強い揺れが届くまでに時間がかかるので、速報を見聞きしたら1分程度は警戒を続ける。また、地震による強い揺れが続くのは長くて1分程度。その間は身を守る行動を取り続ける必要がある(6頁図参照)。

日頃からイメージし、実際に身体を動かしてみる
周囲の状況によって地震から身を守るための具体的な行動は異なってくる。いざというとき、あわてずに適切な判断と行動を行うためには、日頃から、どのように行動すべきかをイメージしておくことが大切だ。さらに、実際に身体を動かして身を守る行動を練習してみることも非常に有効だ。頭ではわかっていても、いざというとき、急には身体が動かないことは誰しも経験があるだろう。数秒というわずかな時間で身近で安全な場所へ避難することができるかやってみる。また緊急地震速報を受信した際の対応を取り入れた防災訓練を実施することも有効だろう(6頁図参照)。

緊急地震速報の流れ 地震発生 1地震計が弱い揺れを感知 2気象庁が緊急地震速報を配信 3ラジオやテレビで直ちに放送

地震の発生直後に、震源に近い地震計でとらえた観測データを解析して震源や地震の規模 (マグニチュード) を直ちに推定。
最大震度5弱以上と予想された地震の場合に、強い揺れが予想されていることを知らせる。(資料提供 気象庁)

緊急地震速報 利用の心得 まず身の安全をはかる

(資料提供 気象庁)
緊急地震速報を見聞きしたら1分程度は警戒を続ける。また、地震による強い揺れが続くのは長くて1分程度。その間は身を守る行動を取り続ける

テレビの緊急地震速報放送画面イメージ

(写真提供:NHK)

最大震度5弱以上と予想された場合、「ピロン ポローン」というチャイム音とともに、
震度4以上が予想される地域の名称を文字と音声で放送
※NHKホームページでは緊急地震速報チャイム音が 試聴できる
http://www.nhk.or.jp/bousai/chime/index.html

携帯電話の「緊急地震速報」受信画面イメージ

最大震度5弱以上と予想された場合、「ブイー、ブイー、ブイー」というブザー音とともに、 震度4以上が予想される地域の携帯電話に一斉配信
※受信画面は、各社機種により異なる
※ホームページ(NTTドコモ、ソフトバンク)また一部携帯電話(NTTドコモ、au)でも緊急地震速報のブザー音が試聴できる

携帯電話会社3社の緊急地震速報のホームページ
● NTT ドコモ(緊急速報「エリアメール」)
../../../../tolink/out70.html
● au(KDDI)ホームページ(緊急地震速報)
http://www.au.kddi.com/jishin_sokuho/
● ソフトバンクホームページ(緊急地震速報)
http://mb.softbank.jp/mb/service/3G/EEW/

「大雨に関する防災気象情報」

大雨による災害から身を守るために
大雨に関する防災気象情報は、警報を始めとして様々な情報がある。警報は、テレビやラジオ放送、市町村の防災無線放送が行われるほか、気象庁ホームページや国土交通省防災情報提供センターの携帯電話用サイトでは、市町村ごとに発表中の警報を確認できる。これらのホームページでは警報以外の情報も載っているので一緒に確認すると良いだろう。また、民間の気象事業者では、ホームページ、携帯電話、カーナビゲーションなどに向けた気象情報提供サービスを行っている。

情報の入手、危険性の分析、身を守る行動
大雨などが発生したときに必要なことは、情報の入手、危険性の分析、身を守るための行動だ。そして日頃からできることは事前に準備しておくのがよいだろう。例えば、大雨の場合、居住する市町村の警報・注意報のホームページを登録して、いざという時にすぐに見られるようにする、自宅から避難場所までの経路や周辺の崖や川、水路など危険な箇所を把握しておく、非常持ち出し袋を定期的に点検して必要なものが揃っていることを確認しておく等の備えは、いざというときの適切な判断や迅速な行動に活きてくる。
また大雨の際には、最新の気象情報の入手とあわせて、周辺の崖や川の変化などにも注意を払う必要があるだろう。日頃と異なったことがあれば市役所などへ通報するとともに、もし危険を感じたら、避難所や建物の2階など安全な場所へただちに避難することが重要だ(8頁図参照/(『ぼうさい』7月号 特集参照)。

「竜巻などの激しい突風に関する気象情報」

竜巻から身を守るために
竜巻は、比較的遭遇する機会が少ない気象現象ではあるが、日本のどこでも季節を問わず発生する。特に沿岸部での発生が多く確認され、関東平野や濃尾平野のように開けた平野部では内陸でも発生している。近年では、2006年9月に宮崎県延岡市、同年11月に北海道佐呂間町で発生した竜巻は、それぞれ死者を出す大きな災害を引き起こした。

「竜巻注意情報」と「竜巻発生確度ナウキャスト」
竜巻に関する予報として、気象庁ホームページでは「竜巻発生確度ナウキャスト」が提供されている。竜巻発生の可能性がある地域を分布図で表示。常時10分ごと、60分先までの移動の予測も含めて発表される。竜巻などの激しい突風に関する気象情報は、竜巻の発生の可能性に応じて段階的に発表されるが、「竜巻発生確度ナウキャスト」は発生確度1や2となったら、竜巻が今にも発生する可能性がある状況だ。「発生確度2」が現れた地域(概ね県単位を対象)には気象庁から「竜巻注意情報」を発表、テレビやラジオの放送あるいは気象庁ホームページで提供される。また、民間気象事業者でも携帯電話向けに竜巻に関する防災情報の配信を行っている。
最新の気象情報を確認するとともに、空の状況に注意を払い、現場で適切な状況判断をすることが大切だ。竜巻は積乱雲(入道雲)の下で発生するので、発達した積乱雲の近づく兆しがあれば、注意情報等が出ていなくても身の安全確保につとめることが大事だ(9頁図参照)。

(写真提供:気象庁)
2007年4月4日に鳥取県で発生した竜巻

携帯電話向け情報提供サービスを行っている事業者一覧
気象庁ホームページ
ホーム>天気の急変から身を守るために>予報業務許可事業者の携帯電話サービスについて
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/info/keitai.html(気象庁ホームページ)別ウインドウで開きます

大雨に関する防災気象情報の入手先と効果的な利用方法

(写真提供:気象庁)

竜巻などの激しい突風に関する気象情報の入手先と効果的な利用方法

(写真提供:気象庁)

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