Disaster Management News—防災の動き

中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」報告


首都圏水没 ~ 被害軽減のために取るべき対策とは ~

中央防災会議「大規模水害対策に関する専門調査会」(座長:秋草直之 富士通株式会社取締役相談役)は、3年余りの検討の末、「大規模水害対策に関する専門調査会報告 首都圏水没 ~被害軽減のために取るべき対策とは~」をとりまとめました。ここでは、主な対策の内容を紹介します。

1.適時・的確な避難の実現による被害軽減
(1)広域避難対策の強化

円滑な広域避難の実現に向け、想定されるハザード特性、脆弱性特性等を踏まえた適切な避難方針の検討や具体的な避難計画の策定、避難誘導の実行体制の整備を図る。また、堤防決壊前の適切なタイミングで国の避難誘導の対策本部等を立ち上げるなど、避難誘導等の対応行動の体制や指揮命令系統等の仕組みを検討する。

(2)避難率の向上

大規模水害時の具体的な被災イメージに関する情報や避難計画について、普段から周知・広報を図り、住民による事前の備えや適切な避難行動を促す。また、市区町村長等、しかるべき人からの情報伝達方法を検討するとともに、消防、警察等の行政機関や水防団、自主防災組織等による住民個人への直接伝達体制の強化を図る。

(3)孤立者の救助・救援

孤立者が発生した場合に備え、孤立発生場所の把握体制や孤立者救助体制の整備を図る。また、救助活動に必要な資機材の確保、水・食料・簡易トイレ等の供給方策等、孤立者の生命維持対策を検討する。

(4)地下空間等における被害軽減

地下空間管理主体間が連携して、避難シナリオや避難計画の策定を進めるとともに、地下空間滞留者の避難誘導体制の整備を図る。また、地下空間からの具体的な避難誘導方策等の検討を進め、その際に必要となる情報収集・伝達体制を整備する。

2.公的機関等の応急対応力の強化と重要機能の確保
(1)公的機関の業務継続性確保

浸水時に孤立した場合において避難誘導や救助・救急活動等の応急活動が行えるよう、ライフライン途絶時の代替手段の確保、備蓄対策の強化、重要設備の水防対策等を行う。また、特に優先度が高く災害時に業務継続や早期の業務再開が必要となる業務の継続性確保対策を推進する。

(2)ライフライン・インフラの浸水被害による影響の軽減と早期復旧

災害時に必要な機能の維持のため、電力、上下水道等ライフライン、情報インフラ、交通インフラなどの重要設備の水防対策、ルートの多重化や拠点の分散化の推進を図る。

3.住民、企業等における大規模水害対応力の強化

住民、企業等は、浸水危険性を適切に認識し、対応力を高めるため、必要な防災情報の収集と理解、事業継続性の確保、必要な物資の備蓄、防災教育・防災訓練への積極的な参画等を通じ、自らの防災力の充実・強化に努める。また、国及び地方公共団体は、住民、企業等による自助を促進するため、既往の水害や大規模水害の被害特性の周知、訓練等の人材育成の機会の提供等の対策を平常時から実施する。

4.氾濫の抑制対策と土地利用誘導による浸水被害の軽減

膨大な避難者の存在や莫大な経済的損失等を踏まえ、既存施設の適切な維持管理、治水対策や高潮対策を着実に実施するとともに、氾濫時に備えた水防活動の的確な実施を図るための体制等の整備を図る。また、排水ポンプ等について、水防対策の強化、燃料補給体制の整備や排水施設へのアクセス道路の確保など機能継続性の確保を図る。

5.その他の大規模水害特有の事象への対応

その他、衛生環境の確保、治安の維持、文化遺産の被害軽減、水害廃棄物の処理等、大規模水害特有の事象への対応を図る。

秋草座長<左>から中井内閣府特命担当
大臣(防災)<右>への報告書手交の様子

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内閣府政策統括官(防災担当)

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