やってみよう!家具固定 第1回

 大地震の際の被害の有無は、家の耐震化だけではなく、家具の固定の状況に大きく影響されます。
 阪神・淡路大震災では、死亡者の1割、負傷者の46%が家具の転倒によるといわれます。
 今後数回にわたり、家具固定についてのお話を、全日本地震防災推進協議会会長の岩瀧幸則さんにお願いします。

地震防災対策「総論」

家具固定がいかに重要か

 日本は世界有数の地震被災国です。1年間に地球が放出する地震エネルギーの実に20%は、私たちが住む日本から出されています。
 地震に対する防災対策は、何をおいても大切な家族の命を守ることを最優先に考えているものでなければ、意味がありません。構造物に対する耐震補強も重要な対策ですが、たとえ耐震補強をしていても、建物は激しく上下左右、縦横無尽に揺れることに変わりはありません。震度6以上ではほとんどの物が倒れ、場合によっては大きく跳び、凶器に変わってしまうものもでてきます。5年前の新潟県中越地震では、被災者の73%の方は家具で死傷したことが明らかになっています。

「正しい」家具固定の必要性

 しかしながら、家具は単に固定すればいいということでは、もちろんありません。家具の固定は「正しく」行わないと意味をなさないのです。私たちは地震の被災地で、事前に家具固定をしていながらそれが不十分だったために、効果がなかった事例をいくつも見ています。家具は正しく固定してこそ本番で生きてくるのです。

教訓が生かされていない現実

 私たちは地震が起きると、被災地に駆けつけて、被災現象を映像で記録していますが、毎回、まったく地震の教訓が生かされていない現実に、背筋が凍る思いをしています。最も重要な家族の安全に、現在社会は真正面から議論をしなさすぎる。行政担当者など、警鐘を鳴らす立場の方ですら、真剣に家具固定などをしているのか、はなはだ疑問です。結局、やらないのか、やれないのかのいずれかです。みなさんはどちらでしょうか?
 後で「あれは気休め程度の対策だった」といわれないように、確実に取り付けをしてください。
 地震は地球の自然現象であり、その発生は防げませんが、私たちの事前の準備により、命を守り、また被害を減じることはできるのです。

事例1:L 字型金具で固定していましたが、金具が家具に付いたまま倒れています

事例2:耐震補強をしていたため建物には被害がありませんが部屋の中はごらんの通り

岩瀧幸則さん

岩瀧幸則
いわたき・ゆきのり
 阪神淡路大震災で被災者となり、屋内対策の重要性を提唱するため、静岡市に移住。ジャパンシステムサービス株式会社社長。全日本地震防災推進協議会会長

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内閣府政策統括官(防災担当)

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