防災 Q&A

Q:「緊急地震速報」とは、どんな情報ですか?

A:地震が起こるとP波とS波という2つの波が発生して揺れが伝わります。P波はスピードが速いのですが揺れは弱く、S波はP波よりもスピードは遅いのですが揺れが強いという性質があります。被害を起こすような揺れは、主にS波によるものです。この速報は、P波をどこかの観測点でとらえた段階で、地域ごとのS波が到達する時間と震度を予測して発表するものです。

Q:「緊急地震速報」は地震の「予知情報」とは違うのですか?

A:「緊急地震速報」は「予知情報」ではありません。「予知情報」は地震が発生する前に発表されるものですが、「緊急地震速報」は、実際に地震が発生して、はじめて発表されるものです。そのため、この速報を受け取ってから地震の揺れが到達するまでに、何秒・何十秒というわずかな時間しかありません。

Q:これからは、どんな地震でも、事前に揺れの来ることが伝えられるのですか?

A:この速報は、地震によっては発表されないこともあります。また、震源が近い場合などでは、この速報を受け取る前に地震の揺れが到達することもあります。つまり、以前と同じように「不意打ち」の形で揺れが来る場合もあります。そして、夜中など寝ている人々が多い時間では、仮に揺れが来る前に「緊急地震速報」が伝達されたとしても、この速報を活かすことは難しいでしょう。

Q:「緊急地震速報」を有効に活用するためには、どんなことが必要ですか?

A:この速報を受け取ったら、「火を消す」や「机の下にもぐる」といった「地震時の心得」を、まず実行することです。このような対応は、これまでは実際に揺れを感じてから行っていました。しかし、「緊急地震速報」によって、いくつかの地震については、わずかな時間ではありますが、揺れに翻弄されない状態で行うことができるのです。
次に、日頃の地震対策を徹底することです。当然のことですが、「緊急地震速報」が発表されても地震自体を止めることはできません。建物の耐震化・家具の固定・ガラスなどの飛散防止といった地震対策を徹底することで、限られた時間を有効に活かして、より確実に身の安全を守ることができます。そして、このような対応を進めることにより、「緊急地震速報」が間に合わないような「不意打ち」で揺れが来るケースにおいても被害を軽減できるでしょう。
それから、特に不特定多数の人々が利用する施設では、「緊急地震速報」が伝わった場合に具体的にどんな対応・姿勢をとればよいのかを明示するなどして、利用者の不安や懸念を少なくする工夫も求められると思います。「緊急地震速報の伝達」と「受け手の対応」をセットにして考え、具体的な対策を講じていくことが必要ではないでしょうか。

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イラスト:井塚剛

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日本大学 文理学部 社会学科 教授
中森 広道

なかもり・ひろみち
専門は災害社会学、社会情報論。調査などをもとに、災害に関する人々の意識や対応、災害情報の適正化などについて研究を進めている。

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