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5 予防対策・都市防災構造化

地震防災緊急事業五箇年計画

 地域の防災性を向上させるため、避難地や避難路、消防用施設、公共施設の耐震補強、防災無線施設等様々な施設の整備を進める必要があります。
 阪神・淡路大震災の経験から、これら地震防災上緊急に整備すべき施設を明らかにし、その整備を計画的に進めるため、平成7年7月に施行された「地震防災対策特別措置法」に基づき、都道府県知事が地震防災緊急事業五箇年計画を作成することができることとされました。
 既に、平成8年度を初年度とする五箇年計画が全47都道府県において作成され、それに基づく事業の推進が図られています。計画に計上された事業で国の補助等が行われる事業については優先的に助成されるとともに、一部事業については通常の補助率をかさ上げする等の措置が講じられています。

地震防災緊急事業五箇年計画に定める事業

  • 1 避難地
  • 2 避難路
  • 3 消防用施設
  • 4 消防活動用道路
  • 5 緊急輸送用道路、交通管制施設、ヘリポート、港湾施設、漁港施設
  • 6 共同溝等
  • 7 医療機関の改築、補強
  • 8 社会福祉施設の改築、補強
  • 9 公立の小中学校の改築、補強
  • 10 公立の盲学校、ろう学校、養護学校の改築、補強
  • 11 その他の公的建造物の補強
  • 12 津波防止施設
  • 13 砂防設備、森林保安施設、地すベり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設、ため池で、家屋の密集している地域のもの
  • 14 地域防災拠点施設
  • 15 防災行政無線設備等
  • 16 災害時に飲料水、電源を確保するための代替施設
  • 17 備蓄倉庫
  • 18 救護施設等
  • 19 老朽住宅密集市街地にかかる地震防災対策
  • 20 その他の地震防災上緊急に整備すべき施設等

防災拠点の整備

 震災をはじめ、各種災害に的確な対応をするためには、対策を講じるための拠点となる施設の整備が重要となります。
 政府においては大規模な災害が発生した場合に緊急災害対策本部等を設置する総理官邸の整備を進めると同時に、そのバックアップ施設として国土庁庁舎、防衛庁庁舎及び立川政府本部予備施設の整備を進めています。
 また、南関東地域の大規模震災等を想定し、広域的な応急対策活動の拠点として、立川政府本部予備施設周辺を、立川広域防災基地として防災拠点の整備を進め、消防、警察、医療機関、備蓄倉庫等の集積を図っています。
 さらに、都道府県や市町村においても各種応急対策を行う防災拠点の整備が進められており、国土庁では関係機関と連携し、これら防災拠点の体系的な運用について検討を進めるとともに、地方公共団体の防災拠点施設の整備を推進するための事業を行っています。
 この事業では、災害時には応急対策活動の拠点として機能し、平常時は、防災に関するPR、教育、訓練等の活動の場として機能する施設に対し、地方公共団体の整備費の一部を補助しています。

地域防災拠点施設整備モデル事業実施箇所(1999年1月現在)
(平成7年度までは防災基地建設モデル事業)

都市の防災構造化

 我が国の都市は、地震による揺れが増幅される沖積平野に、極めて高密に形成されていることから、大規模な地震火災の発生や、震動や液状化等による交通、電力、ガス、通信等の都市機能の甚大な被害が懸念されています。
 このため、個々の施設の耐震性の強化のみならず、都市構造を地震に強いものとするため、関係省庁、地方公共団体、関係公共機関等においては、防災基本計画等に基づき、木造建築物の建築規制や不燃建築物の建設助成などの手法により都市の不燃化を推進するとともに、交通・供給基盤の多重化、ネットワーク化によりリダンダンシーの確保を図り都市機能の維持・確保に努めています。

東京圏ガス導官網の地域ブロック化

施設・構造物の耐震性の強化

 地震の直接的な被害を軽減するためには、施設・構造物の耐震性を強化することが基本的に求められます。
 防災基本計画の平成7年7月改訂においては、施設の供用期間中に1〜2度程度発生するような一般的な地震動と、それより発生確率は低い阪神・淡路大震災のような高レベルの地震動の2段階を耐震設計において考慮することが求められており、施設の重要度等を勘案しつつ、前者に対しては施設の機能が維持されるよう設計し、後者に対しては損壊しても人命に重大な影響を与えないよう設計することなどが規定されました。
 建築物においては、昭和55年に改正された建築基準法施行令に基づき設計された建築物については阪神・淡路大震災においても概ね被害を免れたものの、それ以前の建築物については、特に木造住宅において甚大な被害を発生し、多数の死傷者の原因となりました。
 このため、新築の建築物については、検査制度の充実等により、建築法令の実効性を一層確保していくとともに、平成7年10月に成立した「建築物の耐震改修促進に関する法律」などにより、既存建築物の耐震性強化が図られています。
 道路、鉄道、ライフライン施設等においても、施設の耐震基準の再検討がなされ、必要に応じて基準の見直しが進められるとともに、重要な施設から改築や耐震補強等が精力的に進められてきています。


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