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2 東海地震対策

予知体制の整備

 昭和51年地震学会の研究発表で、駿河湾を震源域とする大規模地震発生の可能性が指摘されました。同年に、地震予知連絡会も同様の見解を発表し、これを契機にして東海地域の地震予知体制を整備するため、国を中心として東海地域に対して観測の強化及び監視体制の充実が図られました。
 地震計、地殻岩石歪計などの観測機器を集中設置するとともに、そのテレメータ化を図り、気象庁で24時間の常時監視を行っています。また、昭和54年8月には地震防災対策強化地域判定会が設置され、東海地震の予知体制が整備されました。

地震防災対策強化地域及び予想震源域

東海地域等における地震常時監視網

大規模地震対策特別措置法の制定

 東海地震の地震予知体制の整備とともに、地震の直前予知情報が出された場合の予知情報の伝達システム、各防災関連機関、民間企業、住民等がとるべき対策などについて検討が進められ、地震予知に対応した防災体制の整備強化を図ることを主な内容とした「大規模地震対策特別措置法」(国土庁所管)が昭和53年12月から施行されました。
 この法律は、大規模地震発生の予知を前提とし、事前の措置として、地震防災対策強化地域の指定を行い、地震観測体制の強化と地震防災体制の整備を進め、予知情報に基づく警戒宣言が出されたときにいっせいに地震防災行動をとり、地震による被害の軽減を図るというものです。
 このため、中央防災会議では地震防災基本計画を、各省庁・地方公共団体では地震防災強化計画を、民間企業では地震防災応急計画を作成しています。

異常発見から警戒宣言発令までの手続き

東海地震の警戒宣言時の対応措置

施 設 対 応 措 置
強 化 地 域 東 京 都
電気・ガス・水道 供給(ガスは併せて緊急停止への準備) 供給
電話 通話規制(青・黄・緑・防災用は確保) 通話規制(青・黄・緑・防災用は確保)
鉄道 最寄駅に停車、強化地域外から進入禁止 地域の実状に応じ可能な限り運転
バス・タクシー・船 運行中止 地域の実状に応じ可能な限り運転
道路   ”強化地域外からの進入制限 非強化地域から都内への進入は極力制限
避難路、緊急輸送路では通行禁止、制限 減速運転(一般・首都高20km/h、高速40km/h)
減速運転(一般20km/h、高速40km/h) 極力営業
銀行・郵便局 営業停止 極力営業
デパート・スーパーマーケット 顧客を外に誘導 極力診療
病院 外来診療は中止 保護者引渡し、帰宅
学校 保護者引渡し、帰宅 退社する場合は時差退社
オフィス 退社する場合は時差退社  

地震財特法による地震対策緊急整備事業の促進

 地震防災強化計画に基づく避難地・避難路などの整備は、地方に大きな財政負担をかけるなどの点から、昭和55年5月に「地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(地震財特法)」(国土庁所管)が成立し、財政特別措置が講じられることになりました。この法律は、平成7年3月に議員立法によりその有効期限が5年延長され、現在、平成12年3月31日までとなっています。
 この法律に基づき、強化地域関係6県では避難地・避難路の整備、小・中学校の校舎の耐震化などを内容とする地震対策緊急整備事業計画が作成され、防災施設の整備が行われています。(昭和55年〜平成11年度の事業費約10,652億円)


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