・200302:2003年(平成15年) 宮城県北部連続地震
【概要】
(1)被害の概要
宮城県北部連続地震は、宮城県北部を震源とする、平成15年7月26日0時13分に発生したマグニチュード5.6の地震(「前震」)、同日7時13分のマグニチュード6.4の地震(「本震」)、同日16時56分、この日3回目の震度6弱の地震(「最大余震」)などの連続して発生した地震をいう。以下では本震についての情報を記す。
①発生日時
平成15年7月26日(土)7時13分
②震源地
宮城県北部(北緯38度24.1分 東経141度10.4分)
③震源の深さ:約12㎞
④規模:マグニチュード6.4
⑤各市町村の最大震度(震度6弱以上)
震度6強:南郷町、鳴瀬町、矢本町
震度6弱:鹿島台町、河南町、小牛田町、桃生町、涌谷町
図1 宮城県北部連続地震の震度分布図
(出典)宮城県『平成15年7月26日宮城県北部連続地震の記録』平成16年3月。
⑥被害状況
宮城県北部連続地震による主な被害状況(人的被害・住宅被害)は下表のとおりである。今回の地震では、宮城県沖地震とは異なり、ブロック塀等の倒壊による負傷者はなく、ガラス、家具の転倒、落下物による家屋内での負傷が多い。死者が発生しなかった大きな原因として、深夜の前震の発生を受け、県民が十分に警戒していたこと、地震の規模の割に、倒壊家屋が少なかったことなどが考えられる。
表1 宮城県北部連続地震の主な被害状況
都道府県 | |||||
死者 | 負傷者 | 全壊 | 半壊 | 一部破損 | |
宮城県 | 0 | 675 | 1,276 | 3,809 | 10,975 |
岩手県 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
山形県 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 |
計 | 0 | 677 | 1,276 | 3,809 | 10,976 |
(出典)内閣府「宮城県北部を震源とする地震について(第33報)」平成16年3月31日。
(2)災害後の主な経過
・地震後の応急対策について、宮城県は、地震発生直後の7月26日午前0時13分に「県災害対策本部」を設置し、17時50分に災害救助法適用を決定し、実施してきた。
・また、復旧・復興対策については、8月5日に「県災害対策本部」が廃止された翌8月6日に「県災害復旧対策本部」が設置され、同日、第1回県災害復旧対策本部会議が開催され、災害復旧に向けた各種取組を実施してきた。
表2 災害後の主な経過(宮城県の取組状況)
年 | 月日 | 項目 |
0:13 地震発生(前震) | ||
0:13 「県災害対策本部」設置 | ||
2:10 第1回県災害対策本部会議開催 | ||
7:13 地震発生(本震) | ||
1750 災害救助法適用決定(鹿島台、南郷、矢本、河南、鳴瀬町) | ||
1656 地震発生(最大余震) | ||
7月27日 | 県応急危険度判定業務支援本部設置(土木部内) | |
7月28日 | 県災害義援金募集配分委員会を設置 | |
7月29日 | 災害復旧現地支援調整チームを派遣(災害救助法適用5町) | |
7月31日 | 県住宅復興支援チーム(住宅相談)を派遣(災害救助法適用5町) | |
8月1日 | 応急仮設住宅設置決定(第1次) | |
8月2日 | 知事「被災住宅再建支援制度」創設を発表 | |
8月5日 | 第16回県災害対策本部員会議(県災害対策本部を廃止)県全域に被災者生活再建支援法適用を公示 | |
8月6日 | 「県災害復旧対策本部」を設置第1回県災害復旧対策本部会議 | |
8月18日 | 総務部消防課に「災害復旧対策班」を新設 | |
9月1日 | 土木部住宅課に「住宅再建支援班」を新設 |
【参考文献】
1)宮城県『平成15年7月26日宮城県北部連続地震の記録』平成16年3月。
2) 内閣府『宮城県北部を震源とする地震について(第33報)』平成16年3月31日。
○1次調査
・初期の被害調査は、まず消防団が7月27日、28日の2日間、1班2名の20班体制で、地区毎に全戸を調査している。
○2次調査
・2次調査は、7月31日から8月7日まで、1次調査の結果から、半壊以上と思われる世帯及び電話で問い合わせや調査依頼のあった世帯を対象に実施された。調査は、税務課職員+応援職員(石巻市から一般職員10名)で10日間ほどかけて実施されている。
・その後、余震や長雨もあり被害が拡大したことから、本人申請や地元区長の申し出により8月18日から31日まで追加調査が実施された。
・被害の判定は、古い母屋に増築している建物で母屋と増築部分に大きく被害に差があることなどから、増築前、増築後の部分を分けて調査し、それらを合算することで、課税標準額を反映させた調整を実施する方式としている。さらに、課税標準額の高い増築後の部分に被害がなく、増築前部分の面積が大きい部分が被災した場合などには、被害認定基準の面積被害割合で処理するケースもあった。
○3次調査
・8月5日頃に内閣府の認定指針を入手し、第3次調査については、内閣府認定指針に則った被害調査・認定が行われた。同町ではこの災害の被害認定に際して、「矢本町災害対策本部被害認定指針」を作成し、住家および土地の被害認定基準を明確化している。
・河南町では、目視での1次調査を8月4日まで実施している。住宅地図と住民基本台帳をもとに、全数の調査が行われた。
・2次調査にあたっては、小さい町でもあり町職員による実施は、後々への影響が懸念されたことから、他市町村の建築士の有資格者に応援を依頼することとした。その結果、石巻・塩釜・仙台などからの延べ137人により、8月7日~13日まで調査が行われた。
・なお、貸家については2次調査の対象としていなかったが、被災者生活再建支援金でり災証明が必要となった場合には、申し出や聞き取りで確認した。
○り災台帳の作成
・矢本町では、GISと連携したり災台帳構築の取り組みが行われた。これは、地震以前からゼンリンの住宅地図と地積図を重ねたデータが作成されており、これに、住民基本台帳のデータ、固定資産税のデータを、地籍をキーにマッチングさせたものである(※矢本町は住居表示は未実施)。なお、最終的には、高齢者一人暮らし世帯、生活保護世帯データ情報も追加して被災者支援に利用している。
・住民基本台帳の利用では、次のような点で苦労した。
1)住民基本台帳の住所は、本人申請であり、地籍と一致していないことがある。
2)住民基本台帳の住所と住んでいるところが違うケース、地籍の分筆・合筆で地番が変更になっても住所登録が変更されないままのケース、場所変更での建替えにおいても従前の住所のままのケースなどがある。
3)住登外について、申し出により追加登録した。
・また、固定資産税のデータ利用では、次のような点に苦労している。
1)固定資産税のデータは、建築後に地籍の変更があっても、反映されていないため、ゼンリンの地図データを使って、建物がどの地籍にあるのかをチェックした。
2)1つの地籍に複数の建物がある場合や、人が住んでいるが住居系となっていない建物もある(登記地目と現況の違い)など、うまくマッチングするのは7割程度だった。
○り災データ利用
・り災データ利用にあたっては、各課の端末からり災台帳にアクセスできるような仕組みを構築した。そのため、町の支援制度については、り災証明は不要となった。しかし、国・県の制度利用では必要となるので、その場合には、各課でり災証明を出力できるようにし、公印のみを総務課で押印するような扱いとしている。また、り災程度の変更があった場合には、り災台帳を変更するとともに、各課にメールで通知し、変更に対処するようにしている。
・公共料金の減免のためにNHK、電力、NTTから、被災世帯の住所、名前が欲しいとの要望があり、データを提供している。
○データ管理
・り災データについては、利用者管理が課題となっており、今後の災害では、危機管理部門的な部署を作ってデータの管理・利用を行うことが必要と考えられる、との意見が聞かれた。
・地震など、やむを得ない理由がある場合は分別回収は免除されるため、危険な建築物についての分別解体は免除した。
・全壊建物については、すでに建築物でないということで対象からはずれる。
・危険性の少ない半壊建物等については、通常どおりの取扱いとした。
・一部の業者の方から計画書の提出はあったものの、業者からの問い合わせに、り災証明のあるものについては、危険な建物であるので分別解体の計画書の提出は特にしなくてよいと回答していたため、ほとんどが分別解体の対象外として処分された。
・計画書の提出から7日は解体できないので、緊急を要するものは対象外とした。
○搬入は、7月28日から受け付けたが、1週間後ぐらいから搬入券を発行して対応した。搬入は、「申し込み」→「許可証の発行」→「業者がトラック何台分かを把握」するという手順で実施した。
○仮置き場を2カ所設置し、そこで破砕などの処分を実施した上で、最終処分した。県が、「震災廃棄物処理連絡会議」を設置し、処理計画策定例、処理事業及び経費に関する留意点の説明があった。
○災害廃棄物処理事業
・9割以上は年度内に処分できたが解体が済んでいない家もあり、年度を越える分の処分費については陳情したが災害廃棄物処理事業が認めらなかった。そのため、県による同様の補助が実施されることとなった。
・災害査定は平成16年1月に、その後の「発生見込み分」も含めて査定された。なお、査定では、仮置き場がぬかるむため砂利を敷いた費用は対象外となった。また住家だけが対象だが、ブロック塀なども搬入されており、全体の1割を対象外とすることなった。
・「発生見込み分」については、11月頃に、自治組織の環境担当者を通じて、被災してまだ解体していない世帯にアンケートを実施した。その回答から3月末までに解体予定の家屋数を集計して見積もった。なおその際には、一戸当たりの発生量を設定して推計した。
・県災害対策本部は、前震発生と同時に設置し、初動時における災害情報の収集と応急対策を実施してきたが、8月5日、発災当時と比較し、有感地震の減少、マグニチュード4.5以上の余震が発生する確率の大幅な低下など、今回の地震活動が収束に向かっていると考えられたことから、県災害対策本部を廃止することとした。一方では、引き続き必要な応急対策を実施しつつ、災害対策をさらに一歩進めて本格的に取り組むべき段階に至ったと判断し、復旧対策を強力かつ円滑に推進するため、知事を本部長とする県災害復旧対策本部を8月6日より設置した。また、被害が甚大であった、仙台、古川、石巻地区には各管轄地方県事務所長を支部長とする災害復旧対策本部地方支部を設置した。(次頁参照)
・復旧対策の本格的な取組を目的として設置された災害復旧対策本部の総合的な調整及び情報の把握等、復旧対策の機動的、効果的な推進を図るため、8月18日より総務部消防課内に災害復旧対策班を設置した。
・「被災住宅再建支援制度」創設に伴い、当該制度を円滑に運用することを目的として、9月1日より土木部住宅課内に住宅再建支援班を設置した。
表 災害復旧対策本部会議の開催実績
回数 | 開催日 | 主な内容 |
1 | 平成15年8月6日 | ・地震による被害・地震災害復旧に向けた取組(各部局)・宮城県北部連続地震災害対策に関する要望活動 他 |
2 | 平成15年8月8日 | ・宮城県北部連続地震災害対策に関する要望活動 他 |
3 | 平成15年8月 | ・七夕期間中の災害義援金について・仮設住宅について 他 |
4 | 平成15年8月 | ・地震災害復旧に向けた取組(各部局) 他 |
5 | 平成15年8月 | ・空き住宅提供事業について・総合相談窓口の設置について・地方交付税(市町村分)の8月繰上交付について 他 |
6 | 平成15年8月 | ・地震による被害(第26報) |
7 | 平成15年9月2日 | ・宮城県北部連続地震の災害対策実施における評価について |
8 | 平成15年9月8日 | ・宮城県北部連続地震被災者の県営住宅への入居状況等(第2次募集分)について |
9 | 平成15年9月 | ・地震による被害(第29報) |
10 | 平成15年9月 | ・宮城県北部連続地震等災害対策に関する要望書(総務部) |
11 | 平成15年 | ・地震による被害(第32報) |
12 | 平成15年27日 | ・地震による被害(第34報) |
13 | 平成15年17日 | ・復旧状況について(第1報) |
14 | 平成15年15日 | ・復旧状況について(第2報) |
15 | 平成16年1月 | ・被災者生活再建支援制度の拡充について(居住安定支援制度の創設) |
16 | 平成16年2月 | ・復旧状況について(第4報) |
【参考文献】
1)宮城県『平成15年7月26日宮城県北部連続地震の記録』平成16年3月。
・今回の災害において復興計画は策定されていない。
・但し、災害復旧については、災害復旧・復興の基本方向を決定した上で、「災害復旧を効率的かつ効果的に実施するため、必要に応じ災害復旧計画を速やかに策定し実施する」とある(「宮城県地域防災計画」の「第4章災害復旧・復興対策、第1節災害復旧・復興計画」)。
【参考文献】
1)宮城県『平成15年7月26日宮城県北部連続地震の記録』平成16年3月。
2)宮城県防災会議『宮城県地域防災計画』平成16年6月。
○制度創設の経緯等
・知事は、7月30日から被災地の被害状況を視察し、今回の地震による住家の被害が予想を大幅に超えるものであったことから、早期に被災者の生活再建と地域復興を図るためには、住宅再建に対する支援を実施する必要があると判断した。8月2日、知事は災害対策本部会議に諮り、住宅再建に対する支援を行う県独自の「被災住宅再建支援制度」の創設を発表した。
○目的・事業内容
・平成15年7月26日に発生した「宮城県北部連続地震」により、自らの居住する住宅に被害を受けた被災者の居住の安定を図り、被災地の早期復興に寄与することを目的として、市町村と連携して住宅の建設及び補修に対する補助を行う。
・補助事業者は市町村とする(申請の受付、工事完了確認、被災者への支出事務等を行う)。
・県は市町村に対して補助金を支出する。
○対象者
・「宮城県北部連続地震で被害を受け、市町村が「全壊」又は「半壊」の証明(り災証明書)をした、主たる居住の用に供する住宅(被災住宅)を所有する被災者又は当該被災者と同一の被災住宅に居住する被災者で、被災住宅に代わる住宅の建設又は補修を行う者。
・被災世帯の所得金額等による支給制限はなし。
・賃貸住宅は対象外とする。
○補助対象経費と県の補助限度額
・被災住宅に居住していた世帯の数にかかわらず、被災住宅1棟に対して下表を対象として一回の補助に限る。
・市町村の補助対象範囲は、市町村の事情に応じて市町村が定める。
・被災住宅の解体撤去費は補助対象経費に含まない。
・「購入」は中古物件も対象とする。
・「5割以上の建て替え」とは、被災住宅の延べ面積の5割以上を解体し、5割以上の建て替えするものとする。
・住宅と分離した門塀等の工作物は補助対象経費に含まない。
表 宮城県「被災住宅再建支援制度」の概要
区分/ | 内容 |
建設100 | 被災住宅に代わる住宅の新築(建て替え)、購入又は被災住宅の改築(延べ床面積(同一敷地内に存在する別棟の浴室及び便所を含む。)に係る経費に対して、市町村が補助対象とする額。被災住宅の所在する市町村の区域外で新築、購入する場合も対象とする。但し、宮城県内に限る。 |
補修50 | 被災住宅の改築(「建設」に該当する改築以外)、補修及び被災住宅以外の建物の住宅への改築に係る経費に対して、市町村が補助対象とする額。 |
○保全対象人家5戸以上、がけ高さ5m以上の箇所での対応
・保全対象人家が5戸以上あり、人家が被害を受けたか又は放置すれば被害を受けることが確実な箇所については、県が主体となり、補助事業の災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業や県単独急傾斜地崩壊対策事業を実施した。
○保全対象人家2戸以上5戸未満、がけ高さ5m以上の箇所での対応
・保全対象人家が2戸以上あり、人家が被害を受けたか又は放置すれば被害を受けることが確実な箇所については、市町村が事業主体となり、災害関連地域防災がけ崩れ対策事業を実施した。
・事業主体となる市町村が局地激甚災害の指定を受け、県がその事業費の1/2以上の補助を行った場合に国がその費用の1/2を補助する事業で、鳴瀬、矢本、河南の3町において実施した。
○保全対象人家1戸でがけ高さ5m以上の箇所での対応
・保全対象人家1戸だけしか被害を受けない箇所については、市町村が事業主体となり、起債事業である町単独の自然災害防止事業を河南町で4箇所、鳴瀬町で1箇所実施した。
○教訓
・今回の地震災害対策では、現行の制度を活用して最大限の対応を図ったが、保全対象人家が1戸の場合など、対策が必要であるが、結果的に未対策となった箇所も見受けられたことから、このような場合における県からの補助制度の創設について、今後、他県の事例も踏まえ検討していく必要がある。
表 がけ崩れ対策事業実施箇所
町名 | がけ崩れ災害箇所 | 対策実施箇所 | 人家5戸以上 | 人家2戸以上 | 人家1戸 | 災害関連地すべり対策事業 | 未対策箇所 | |
災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業 | 県単独急傾斜地崩壊対策事業 | 災害関連地域がけ崩れ対策事業 | 町単独自然災害防止事業 | |||||
河南町 | 42 | 23 | 1 | 11 | 6 | 4 | 1 | 18 |
矢本町 | 15 | 8 | 0 | 3 | 5 | 0 | 0 | 7 |
鳴瀬町 | 17 | 17 | 6 | 3 | 7 | 1 | 0 | 0 |
北上町他 | 22 | 7 | 3 | 4 | 0 | 0 | 0 | 15 |
合計 | 96 | 55 | 10 | 21 | 18 | 5 | 1 | 41 |
○健康福祉課が配分案を作成し、庁議で災害見舞金配分要綱を決定した。
○全壊世帯20万円、半壊世帯10万円、重傷者10万円とした。対象の約250世帯に手渡しした。余った分は、各行政区に戸数比で配分した。
○財源
・単独災害復旧事業債(起債充当率100%、交付税措置85.5%)
・まちづくり基金(庁舎建設基金を庁舎再建及びその他復旧事業に使えるように変更)
○経過
・農協の会議室を借り上げて仮庁舎として使用
・体育館を議場に改修
・平成15年12月5日 庁舎建設検討委員会を設置・開催
・平成16年3月下旬 設計、調査、測量、解体工事等完了
・平成16年4月上旬 庁舎建設工事発注
・平成17年2月下旬 竣工
○検討委員からの要望
・合併に向けて鹿島台らしさを残せる庁舎
・庁舎内外のバリアフリー
・災害対策に対応できるスペース・機能
・省エネへの配慮
○財源
・地震による公立病院の災害復旧についてはあまり事例がなく、当初は、病院施設等災害復旧国庫補助事業の対象とすることが難しいのではないかとされたが、最終的には適用されることとなった。
・病院施設等災害復旧国庫補助事業(1/2)
・病院事業債
・災害復旧事業債
○経過
・平成15年11月 南病棟耐震診断、災害査定用設計書作成
・平成15年11月~12月上旬 災害査定資料を県を通じて東北財務局、厚生労働省に提出
・平成15年12月24、25日 災害査定
・平成16年1月 有識者からなる病院復興再建委員会設置
・当初、平成17年3月に竣工予定だったが、「東要害貝塚遺跡」の出土により、平成17年10月まで工期が延長された。なお、この延長については、補助事業の繰り越しが認められることとなった。
○復旧事業の地域への経済効果波及を目指し、宮城県では、特殊な工事を除く災害復旧工事において、災害発生土木事務所管内及び隣接の土木事務所管内の業者に限定をする方式(圏域限定型の地域ブロック方式)を試行した。
○地震発生後、県土木部地方機関、市町村は施設の被害状況の把握をし、早期復旧に向けた災害査定のための現地調査及び査定設計書の作成を行った。
○道路災害の路面の亀裂等に関する復旧については、三陸南地震の際に岩手県と協議し国土交通省河川局防災課の承認を得て「道路災害復旧工法の基本方針」を策定している。この復旧方針は平成6年の北海道東方沖地震及び平成12年の有珠山噴火災害による地震による災害の復旧方針を参考にしている。しかし、三陸南地震で査定に入った査定官・立会官による現場の被害状況の判断から、前方針では不採択になる箇所が多く、この地震災害の復旧方針は修正されることになった。
○この地震の特徴の一つとして、下水道の埋設管のある箇所での道路の被災が多かったことが挙げられるが、道路災害と下水道災害の区分けについて関係課で協議し、「地震災に係る、道路施設と下水道施設の災害復旧申請区分の基本方針」を定め、県関係機関及び市町村あてに通知した。
○歴史資料ネットワークは阪神大震災時における歴史資料の救出と保全を目的に設立され、多大な成果をあげた。その後、鳥取西部地震や芸予地震に対しても、被災地にボランティアを派遣して古文書や文化財などの救出と保全に大きな役割を果たした。
○宮城県連続地震の被災地では、民家や蔵で保存されている地域の文化財が廃棄、または散逸する恐れが高まっていることから、現地組織の立ち上げが進められた。東北大教授を窓口に、現地のボランティア組織として宮城歴史資料保全ネットワークが発足した。
○宮城県では、商工業関係の被害が顕著であったため、中小企業の制度金融を活用させ、災害救助法適用町には、さらに災害復旧対策資金を活用できるよう措置した。これにより、運転・設備資金は、貸付限度額30,000千円以内で償還期間は7年以内、利率は1.9%以内、信用保証料1.05%で融資されることになった。
○一方、国の制度金融は、政府系金融機関である中小企業金融公庫、国民生活金融公庫及び商工組合中央金庫が、それぞれ災害融資制度により対応した。その貸付条件は、運転資金、設備資金の区分に従い、直貸、代理貸や組合、組合員によって貸付限度額も異なるが、貸付限度額30,000千円~1億5,000万円で、年利1.6%、償還期間は10~20年(据置期間2~3年)であった。
○宮城県では、各農業協同組合、県信用漁業協同連合会、各漁業組合等、銀行等関係機関に対して、地震により被害を受けた農業者及び漁業者に対する経営資金等の融通及び既貸付金の償還猶予等について要請した。
○また、県は農業災害対策資金について、農業施設等に被害を受けた農業者が活用できるよう制度の充実を図るとともに、この地震を資金の貸付の対象となる災害に認定し、市町村、農業団体とともに利子補給の措置を講じて、低利の資金を供給し、被災農家の農業経営の再建と生活の維持回復のため救済策を講じた。
○さらに、被災した農業者に、農業制度資金の償還猶予を実施することとし、農業近代化資金で1件(個人)380千円の償還猶予を実施した。
[農業災害対策資金の概要]
○目的:災害により被害を受けた農業者の営農意欲の増進と農業経営の維持及び生活の安定を図るため必要な資金を融通する。
○融資対象者:災害により、農作物、農業機械、農業施設、その他農業の用に供する物(果樹、家畜、資材等)に関する被害額が平年の農業所得の2割以上となる被害を受け、農業経営及び生活の維持が困難となる農業を営む個人及び団体
○融資対象経費:農業経営の再建及び生活の維持回復に必要な経費
○貸付条件:
・貸付限度額:
a)個人:1,500千円(農業所得が過半を占める者3,000千円)
団体:5,000千円
b)被害額の合計額から農業経営維持安定資金(災害等)の借入並びに共済金の額を減じた額
(※上のいずれか低い額とする)
・基準金利:2.35%(農協の場合)
・利子補給率:1.75%(内訳 県0.876%、市町村0.437%、農業団体0.437%)
・貸付金利:0.60%
・償還期限:5年以内(内据置1年以内)
ただし、個人で1,500千円を超える貸付の場合、7年以内(内据置1年以内)