災害対応資料集

200102:2001年(平成13年) 高知県西南豪雨災害

【概要】

(1)被害の概要
平成13年9月6日未明から、西日本上空に停滞していた秋雨前線に向かって、日本の東海上にある太平洋高気圧のふちを回り暖気流と、後に台風16号となる熱帯低気圧が流れ込んだ結果、「湿舌」と呼ばれる現象が起こり、高知県に非常に狭い範囲に短間で集中豪雨をもたらした。
県西南部の土佐清水市、大月町、宿毛市、三原村では中小河川が一気に氾濫した。山間部では大雨で地盤が緩み、沢沿いの斜面が崩壊して大量の土砂や倒木が流れ下る「沢抜け」と呼ばれる現象があちこちで発生した。

写真1 土佐清水市宗呂川 河川氾濫

写真2 土佐清水市 貝ノ川川 河川氾濫

(出典)高知県土木部防災砂防課・高知県土佐清水土木事務所・高知県宿毛土木事務所『平成13年9月高知県西南部豪雨における災害対策について』

①被害状況
最も被害が大きかったのは、土佐清水市の宗呂川流域で、宗呂川の下流域では、氾濫で地区全体が水没した。この災害で、死者・行方不明者はなかったものの、土佐清水市と大月町で重軽傷者が5人発生、土佐清水市では橋の崩壊により8つの地区が孤立状態になった。
また、総被害は施設667箇所、被災総延長39,034m、被害金額は101億5,848万円に上った。

表1 高知県西南豪雨災害の主な被害状況(平成13年12月26日作成)

人的被害

住家被害

非住家被害

・死者0名

・重軽傷者5名(土佐清水市3)

・住宅全壊25棟(土佐清水市7)

・住宅半壊265棟(土佐清水市51)

・家屋一部破損10棟((土佐清水市5)

・床上浸水264棟(土佐清水市149、宿毛町1)

・床下浸水540棟(土佐清水市240、宿毛町19、中村市

・公共施設1棟(土佐清水市

・その他67棟(土佐清水市18、中村市

②主な災害箇所(土佐清水市)

な災害箇所(土佐清水市 下川口郷地区・貝ノ川郷地区)

図1 主な災害箇所(土佐清水市 下川口郷地区・貝ノ川郷地区)

(出典)国土交通省中部地方整備局富士砂防事務所『災害から明日を築く-土砂災害地域復興の教訓集-』平成20年2月。

 

(2)災害後の主な経過
・土佐清水市では、午前6時10分、下川口地区、続いて加久見新町、三崎浦地区に避難勧告を出した。また、午前6時51分、県に対し自衛隊の災害派遣要請の連絡を行った。
・高知県は、土佐清水市からの要請を受け自衛隊に対し災害派遣要請を行うととともに、高知県災害対策本部を設置した。
・9月26日~翌年2月28日まで、高知県が中心となり、「平成13年高知県西南部豪雨災害検討会」が行われ、復旧計画が作成された。

表2 災害後の主な経過(高知県、土佐清水市の取組状況)

年 

月日

項目

平成13年

9月6日

未明から早朝にかけての豪雨により、各河川の上流域で山腹崩壊や沢抜けが多発、土石流が発生

6:10  土佐清水市に避難勧告 下川口地区(

6:51 土佐清水市 自衛隊の出動を県へ要請

7:30 土佐清水市の要請を受け、県から自衛隊へ派遣要請 高知県災害対策本部設置

1100 土佐清水市、災害救助法適用

9月7日

1130 土佐清水市、避難勧告すべて解除

1500 土佐清水市孤立地区(227世帯

2140 土佐清水市孤立地区(322人)

9月8日

県職員20名、災害ゴミ処理等のため土佐清水市に向かう

土佐清水市の自衛隊災害派遣終了

高知県知事、総務部長、土木部長が現地調査のため土佐清水市着

9月26日

平成13年高知県西南部豪雨災害検討会 第

1026日~4日

住民との意見交換

平成13年~

宗呂川、貝ノ川川において、河川等災害関連事業実施

平成13年~

宗呂川において河川激甚災害対策特別緊急事業実施

平成14年

228

平成13年高知県西南部豪雨災害検討会 第

【参考文献】
1) 高知県土木部防災砂防課・高知県土佐清水土木事務所・高知県宿毛土木事務所『平成13年9月高知県西南部豪雨における災害対策について』。
2)国土交通省中部地方整備局富士砂防事務所『災害から明日を築く-土砂災害地域復興の教訓集-』平成20年2月。
3)国土交通省河川局『災害列島2001情報の提供と活用』平成14年5月。

 

・当初、市職員による被害調査を実施し、床上浸水戸数などを把握した。その後、土佐清水市では、被害認定について高知県に問いあわせて被害認定指針を入手し、二次調査として床上浸水のあった家屋について調査することとした。
・しかし、市の職員では対応が難しいことから、県が実施した平成13年の新基準による被害認定講習を受講していた建築士会に調査協力を依頼し、約20名の建築士の派遣を受けて、建築士1名+職員1名が1組となって3日間調査を行った。
・その結果、土砂の流入も多かったことから室内の損傷が大きく、一次調査の全半壊7戸に対して、二次調査の結果は、全半壊232戸と大幅に被害戸数が増えている。


表 一次調査・二次調査による住家被害 [単位:戸]

 

全壊

半壊

一部損傷

床上浸水

床下浸水

一次調査結果

2

5

5

294

208

二次調査結果

18

214

93

 

・高知県が中心となり、国・県・市町村の河川・道路等の管理者や学識経験者を集めて「平成13年度9月高知県西南豪雨災害検討会」を設置し、復旧計画を立案した。
・検討会では住民との意見交換会を実施し、住民の意見を反映した改修手法のまとめを行った。

【参考文献】
1)国土交通省中部地方整備局富士砂防事務所『災害から明日を築く-土砂災害地域復興の教訓集-』平成20年2月。

 

・本災害では、全体的な復旧・復興計画は立案されていないが「平成13年9月高知県西南豪雨災害検討会」では、高知県西南豪雨により被災した土佐清水市、宿毛市、大月町の河川、砂防、道路災害の地域集落の形態を考慮した復旧方針、復旧方法、計画規模および今後の防災対策などを検討している。復旧計画は、平成13年度から平成16年度を目標に実施された。
以下に、検討項目を記述する。
①地域の集落形態を考慮した河川改修の計画規模・計画規模に応じた河川改修方法や横断工作物(堰・端)のあり方・渓流に堆積した土砂・流木の対策・孤立集落の発生しない災害に強い道路ネットワークづくり
②河川、砂防、道路の連携による復旧方法
③被災流量と復旧規模流量の差を補う防災対策
④緊急時の避難誘導体制
○災害対応と体制づくり
・土佐清水市では、災害査定をのための資料作りを県の技術公社に一括委託をした。
・高知県の災害復旧組織対応は、平成9年に被災経験のある高知市等にヒアリングを行い、災害復旧事業を優先し、計画的に行われる一般の改良事業等の実施を極力遅らせる方針をとった。
・平成13年の災害当時、土木関係の職員は3人であり、復旧事業を実施するため平成14年1~3月は四万十川市より1名、4月には県より2名、市内部で1名増員して、計6人で対応した。
○主な復旧・復興事業
・がけ崩れ住宅防災対策事業
・宗呂川:河川激甚災害対策特別緊急事業、河川等災害関連事業、砂防激甚災害対策特別緊急事業、災害関連緊急砂防事業
・貝ノ川川:河川等災害関連事業、砂防激甚災害対策特別緊急事業
・公共土木施設災害復旧事業(一定災)
・河川災害復旧助成事業
・河川等災害関連事業
・中小河川改修事業
・災害関連緊急砂防事業
・災害関連緊急地すべり防止事業
・災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業
○復興事業等の被災者支援
・被災者の中には、義援金を受け取らない人もおり、残った義援金については、社会福祉協議会がボランティア基金を設立した。
・市として、被災者個人への財政的な支援は行っていないが、援護資金の貸付や住民税の一部免除等の公的な支援は実施した。
・平成13年9月高知県災害の出水によって、減免措置の条例を作った。

【参考文献】
1) 高知県土木部防災砂防課・高知県土佐清水土木事務所・高知県宿毛土木事務所『平成13年9月高知県西南部豪雨における災害対策について』。
2)国土交通省中部地方整備局富士砂防事務所『災害から明日を築く-土砂災害地域復興の教訓集-』平成20年2月。

 

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