災害対応資料集

・199302:1993年(平成5年) 8月豪雨

【概要】

(1)被害の概要
平成5年8月6日、前夜から降り続いていた雨は未明から厳しさを増し、午後になると一段と雨脚は強くなり、「100年に1度の豪雨」と称されるような想像を絶する記録的な豪雨となって、鹿児島市内とその周辺部に甚大な被害をもたらした。
このときの降雨は、8月5日午後12時から7日午後6時までで、川内市の376ミリを最高に宮之城、東市来で300ミリを超え、鹿児島市でも269ミリを記録した。また鹿児島市では、6日午後5時から7時までの2時間で109ミリという局地的集中豪雨も記録した。しかも、鹿児島市北部地域から郡山町にかけて降り始めてから総雨量は350mmを超えた。
このため、鹿児島市内を流れる甲突川、新川、稲荷川の3河川が氾濫して、天文館や西駅周辺等の広い範囲で浸水した。特に、甲突川が国道3号線と平行している草牟田付近では国道が2メートル以上も冠水し、道路はさながら濁流の流れる川と化したほか、長年市民に親しまれてきた甲突川にかかる五石橋のうち新上橋と武之橋が流失した上、県内最古の石橋といわれてきた実方太鼓橋も流失した。
この夜、鹿児島市内では11,000棟余りが浸水し、市民4,000人余りが58か所に設置された避難所へ避難し、不安な夜をすごした。
また、鹿児島市小山田で国道3号線が大きく陥没したのをはじめ、随所で崖崩れも発生した。中でも鹿児島市竜ヶ水地区では国道10号沿いの崖が4kmの区間で22箇所にわたり崩壊し、通行車両1,200台やJRの列車乗客、地域住民など約3,000名が完全に孤立してしまった。これら孤立した人々については、官民一体となった海上からの救出活動で救助されたが、一夜明けた被災地はさながら地獄の様相で、この豪雨により一夜のうちに48名もの人命が奪われ、1名が行方不明となった。
この他、交通網はもちろん電話・電気・ガス・水道にいたるほとんどのライフラインもずたずたとなり、市民生活は混乱を極めた。

表1 被害状況(鹿児島県)

区分 被害 区分 被害
人的被害 死  者 48 衛生福祉関係 千円 10,578,496
行方不明者 農業関係 千円 8,523,722
負傷者 重 傷 12 水産関係 千円 17,500
軽 傷 52 山林関係 千円 9,533,025
合計 113 商工業関係 千円 26,744,988
住家被害 全  壊 298 公共土木施設関係 千円 21,518,169
半壊 193 学校施設関係 千円 2,931,468
一部破損 588 警察関係 千円 300,563
床上浸水 9,378 その他 千円 29,000
床下浸水 2,754 合計 千円 80,176,931
合計 13,211        

(2)災害後の主な経過
6月12日から始まった豪雨災害で、鹿児島県では2度にわたり災害対策本部を設置し対応にあたった。以下主に8月5日から6日の集中豪雨における鹿児島県の災害対策本部の対応(竜ヶ水周辺孤立者救出に係る)の経過を記載する。なお、災害対策本部が解散されたのは、本災害後に発生した台風第7号・台風第13号の対応を終え県内が平静を取り戻した10月12日であり、その設置期間はこれまでに例の無い73日間に及んだ。

表2 災害後の主な経過(鹿児島県の取組状況)

 年 月日 項目
平成5年 8月5日 2210 鹿児島地方気象台から鹿児島県地方に大雨洪水警報が発令
  8月6日 災害対策本部設置(※ 8月1日22:
    1700 第1配備体制発令
    1750 知事から災害発生通報及び対策の指示
    1800 県警察本部からの連絡員派遣
    1826 
    1835 第十管区海上保安本部に出動要請、県警本部に通報
    1840 桜島町にフェリー出動要請
    1900 近隣漁港に出動要請、鹿児島市災害対策本部に避難所開設要請、医療救護班、救助班出動、海上自衛隊に災害派遣要請打診
    2000 海上自衛隊に災害派遣要請(正式)、陸上自衛隊に災害派遣要請打診
    2300 鹿児島市・伊集院町・郡山町に災害救助法の適用決定(8月5日から8月6日にかけての集中豪雨)
  8月7日 1:00 陸上自衛隊に出動要請(正式)
    1930 医療救護班活動終了(災害対策本部救護活動終了)
  1012日 災害対策本部解散

【参考文献】
1)鹿児島県『平成5年夏鹿児島県豪雨災害の記録』平成7年3月。

 

○河川の氾濫等で、被災家屋からの粗大ゴミを中心とした大量のゴミが市街地等に溢れた。除去には、域内外の建設業者等から車両を借り上げるとともに、市職員自らが、収集に回るなどして作業に当たったが、一時的に大量のゴミが出された上、道路寸断等により、埋立処分地への搬入に手間取った。
○土砂:人家→道路端(個人で処理) →集積場→処分場
○たたみ等のゴミ:人家→道路端→集積場→処分場

 

・風倒木被害等緊急対策事業(県単独) を創設し、平成7年度までの3年間に亘り、1)被害の著しい地域への風倒木処理作業者の派遣、2)被害材の混入による木材市場の混乱を防止するための被害材の仕分け、3)風倒木の林外搬出の促進、4)作業道等の災害復旧、に対して助成を行うこととした。
・上記の対策を円滑に行うために、県森林組合連合会等からなる「風倒木処理対策連絡会」を発足させた。

 

・本災害における、復旧・復興体制に関する記録なし。

 

・本災害では、事業全体を統括した復旧・復興計画は立案されていない。
・本災害における主な復旧事業は下記の通りである。
○公共事業
 ・河川激甚災害対策特別緊急事業
 ・災害関係緊急砂防事業
 ・災害関係緊急急傾斜地事業
 ・災害関係緊急治山事業
 ・林地崩壊防止事業
 ・造林事業
○県単公共事業
 ・県単道路整備事業
 ・県単橋梁整備事業
 ・県単河川等防災事業
 ・県単砂防事業
 ・県単急傾斜地崩壊対策事業
 ・県単林道事業
 ・県単治山事業
 ・県単農地等防災事業
【参考文献】
1)鹿児島県『平成5年夏鹿児島県豪雨災害の記録』平成7年3月。

 

○豪雨及び台風13号による家屋の被害により、瓦不足となったことから現場審査の特例措置が次のとおり行われた。
・適用期間
 平成5年9月6日から平成6年1月31日までに現場審査を行うもの。
・特例措置
 現場審査時期:通常は屋根工事完了後であるが、屋根木工事等の屋根下地材の施工が完了し、屋根仕上材が葺かれていないものに対しても、現場審査を行うことができる。
 現場審査合格判定:屋根仕上材の施工を除く工事について審査上支障のない場合は合格とするもの。

 

○豪雨等により家屋に被害を受けた地域において、住宅金融公庫の災害復興住宅金融制度及びがけ地近接等危険住宅移転事業の説明会を開催した。

 

◇概要
○平成7年6月に、鹿児島県と流域の鹿児島市、郡山町、吉田町による「総合治水対策推進協議会」を設置
○河川改修と併せて、流出抑制対策、土砂流木抑止対策、常時浸水地区の内水対策及び避難予警報や対策等についての計画をとりまとめた。

◇甲突川総合治水対策推進の基本的考え方
○浸水被害の軽減のために、以下の方針で積極的な取り組みを行った。
1) 激特事業等による河川改修により、流下能力を向上させる。
2)土砂・流木を抑止するために、砂防・治山事業・急傾斜保全事業を推進する。
3) 団地等の開発に対しては、下流への流量増とならないよう防災調整池設置基準を強化する。
4) 内水排除対策として、本川の堤防より低い地域は本川の水位の影響を受けて水路の排水がしにくいため、スムーズに排水できるように下流へのバイパス水路等の下水路網の整備を行う。
5) 雨水の流出抑制対策として、学校校庭や公園等における雨水貯留を行う。
6) 自然流出抑制機能を保全するため、森林の保育管理を積極的に実施する。
7) 各家庭等における雨水の貯留・浸透を啓発していく。
8) 被害軽減対策として、高床構造とした住宅や防水シャッター等を設置した建築物等、耐水化を奨励・指導する。
9) 防災マップを策定し、防災情報の周知を行う。
10) 河川水位や雨量情報について無線通信網を利用し、適時・的確な情報伝達のための河川情報システムを整備する。

 

○被害概要:浸水家屋11,586戸、浸水面積424ha
○計画概要
・被災前:昭和44年の水害を契機に改修工事全体計画を策定、当初計画では計画高水流量を1,000㎥/s(1/100確率)としていたが、河道拡幅を全体的に行うことは困難なことから、基本高水流量を1,000㎥/s、計画高水流量700㎥/s に改正、300㎥/sについてはダム、遊水池、放水路で対応することとする。
・甲突川は昭和45年度から中小河川改修事業に着手、しかし、平成5年の洪水を契機に激特事業を導入し、洪水発生当日の洪水流出量を水位観測所データから算出された700㎥/s対応の改修を行った。
○計画作成/ 工事期間
・事業:平成5年度~平成9年度
・平成8年3月総合治水対策計画のとりまとめ
○適用事業・事業費
・河川激甚災害対策特別緊急事業:268億円
・河川災害復旧事業:65.8億円

 

○被害概要:1845~49年に甲突川にかけられた五石橋の内、2橋が流失し、3橋(西田橋:鹿児島県、高麗橋・玉江橋:鹿児島市) が残った。
○計画概要
・残った3石橋を河川改修に併せて移転復元を行い、保存することとなる。
・西田橋については、「西田橋解体復元調査委員会」の指導・助言のもと、(財)文化財建造物保存技術協会の設計・施工監理により復元が行われている。
○事業費
・西田橋地域総合整備事業(ふるさとづくり債)
 50億円(用地補償20億円、橋梁10億円、資料館10億円、公園10億円)
・高麗橋・玉江橋街路事業、地方特定道路整備事業・緊急地方道路整備事業(自治省(当時)起債事業)
49億円(用地補償21億円、橋梁20億円、公園地8億円)

 

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